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「海賊の国」スールー王国の歴史(歴ログ -世界史専門ブログ-)

「海賊の国」スールー王国の歴史

今回はtamam010yuheiさんのブログ『歴ログ -世界史専門ブログ-』からご寄稿いただきました。

「海賊の国」スールー王国の歴史(歴ログ -世界史専門ブログ-)

スールー王国

 

19世紀に巨大化したフィリピン諸島のイスラム王

現在のフィリピン共和国を構成する島々は、スペイン植民地統治以前は一つの権力により統治された経験はありません。首長制の小集落やそれから少し発達した小王国がいくつも散在し、人々は交易や農業、自然採集などをしながら暮らしていました。

特に海上交易に従事する人々は流動性が高く、定住せずにビジネスに有利な土地に自由に動き回っており、土着の王権のうち、権威を高めてそのような人々を引きつけて中国との交易に当たらせたものが周囲の島々への支配権を強めるという歩みを見せました。

スペインによるフィリピン諸島の植民地化が強まる中で、19世紀前半にこの地で巨大化したのがスールー王国です。

1. スールー諸島とは

スールー諸島

スールー諸島はフィリピンの南部にあり、ミンダナオ島とカリマンタン島の間に横たわっています。南シナ海からモルッカ諸島に船で向かう際の交通の要衝にあたります。

ミンダナオ島と同じく人々はイスラム教を信仰し、経済発展が続くフィリピンの中でも産業に乏しく発展が遅れ貧しい地域の一つです。

ミンダナオ島〜スールー諸島〜カリマンタン島北部の人々の中には海洋民が多く、定住せずに自由に船で各地を行き交う伝統がありました。現在は定住化させられていますが、そのような伝統があるためかこの周辺の海域では現在も海賊が出現します。

【領事班からのお知らせ】スールー海域における商業船舶に対する襲撃事件に伴う注意喚起 : 在フィリピン日本国大使館
https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000206.html

ミンダナオ島でも貧しさやキリスト教徒への反発から、イスラム過激派アブ・サヤフ・グループが力をつけてきていますが、スールー諸島も彼らの本拠地の一つです。

マニラを中心としたスペインの植民地政策によりフィリピン南部は発展から取り残されてしまうのですが、一時はイスラムの大義の元に周辺海域を支配し、対中国貿易で大いに栄え、スペインやイギリスなどとも渡り合った歴史があります。

・関連記事
「「スペイン領フィリピン」が世界史にもたらしたもの」『歴ログ -世界史専門ブログ-』
https://reki.hatenablog.com/entry/170606-Spanish-Philipine-History

2. イスラム化したスールー王国

イスラム化したスールー王国

スールー諸島が中国の文献に初めて登場するのは14世紀のこと。1417年〜24年には「東王」「西王」「峒王」が明朝に初めて朝貢したとあります。

この頃のスールー諸島は首長社会がやや発達した程度で、真珠の産地として知られました。本格的に王国として発展するのは16世紀ごろにイスラムを受容してからで、同じくイスラムを受容したカリマンタン島のブルネイ王国と王族同士婚姻関係を結びました。

イスラムを受容して以降、ブルネイはフィリピン諸島へのイスラム普及の本拠地となり、ポルトガル商人がムラカからマルク諸島へ向かう際の港として栄えました。ブルネイはマニラにも勢力を持ちますが、マニラの保有を目論むスペインに敗れ16世紀後半にはフィリピンから締め出されてしまいます。

この時スールーもスペインの攻撃を受けますが壊滅はせず、ブルネイ勢力の衰えと共にこの海域で強い勢力を持つようになっていきました。

3. マギンダナオ王国の台頭

マギンダナオ王国

ミンダナオ島南部のマギンダナオ王国

17世紀に強大化したのは、ミンダナオ島南部のコトバトを拠点とするマギンダナオ王国。

この地もスールーやブルネイと同じく16世紀初頭にイスラム化しました。

王統系譜によると、王族はマレー半島南部のジョホール出身のカブンスアンという男で、現地のサマル人を引き連れてイリャナ湾岸に定住。ここで地元のイラヌン人にイスラム教を伝え、次いでプラギ川流域に住むマギンダナオ人にも布教しました。

コトバトを中心とするマギンダナオ王国は河口近くにあり貿易に有利な場所にあり、南部の穀倉地帯を抱えるブアヤン王国を内包し、ミンダナオ島南部に勢力を持つサンギ諸島出身のサンギル人との交流を通じて、モルッカ諸島のテルナテ島との深い関係にありました。

 
マギンダナオ王国の興隆と衰退

マギンダナオ王国の興隆と衰退

Photo Credit: Cotabato to Balut Island
http://www.manilaoldtimer.net/Travels/Cotabato.html

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