クリスマス名物の割に謎すぎる『シャンメリー』の秘密に迫ってみた件
誰もが一度は飲んだことのあるクリスマスには欠かせない飲み物『シャンメリー』。しかしそれを製造するメーカーはもちろん、その歴史はあまり知られてはいません。そこで、謎多き【シャンメリー】の秘密に迫ってみました。
平成最後のクリスマス
さて。平成最後のクリスマス。皆さんはどうお過ごしですか?
こんばんは。放送作家の長谷川大雲です。
私は、夕方に会議と打ち合わせを済ませたら帰りにケンタッキーに寄ろうかと思っているのですが、もし、レジでかわいい女子に当たったらどうしよう、と今から不安な気持ちでいっぱいです。
「あれ、この人、いい年して家族もいないの? クリスマスなのに独り寂しくケンタッキー食べるんだ」
そんな風に同情されたらどうしよう。しかもかわいい子に。そうなったら多分、見栄を張って、本当はチキン3本にビスケット2つもあれば独りで食べるには充分なのに、さも家族がいる風を装うためにかなり多めにチキンを購入すると思います。
どうか、レジの担当がかわいい女子ではなく、私と同年代のおっさんでありますように。
そもそもクリスマス当日、サンタコスをした、やけにかわいい女の子が店頭でビラを配ったりケーキを売ったりしている率が高いのはなぜなのか?
モテない男をたぶらかす戦略なのでしょうか。
事実、私はクリスマスの夜にバイトをしている女性を見かけると「あ。この子、彼氏がいないんだ?」と変にシンパシーを感じ、なんならその寂しさにつけこみ声をかけたら、なんとかなるんじゃいかと短絡的かつゲスな悪魔に心が支配されそうになります。
すみません。しょっぱなから話がズレてしまいました。
本題は、シャンメリーです。日本のクリスマスを盛り上げる名脇役シャンメリーのお話です。
クリスマスの定番シャンメリー
皆さんも一度は飲んだことがあるのではないでしょうか?
クリスマスには欠かせない定番の飲み物「シャンメリー」。
ノンアルコールの炭酸飲料で、見た目がシャンパン気取りなあれです。
ノンアルなので子供の飲み物と思うなかれ、私は、お酒は一滴も呑めない下戸なので今でも愛飲しています。
ただ、クリスマスシーズン以外はあまり見かけないのが残念です。缶入りにして「年中シャンメリー」とかっていうタイトルで売り出したら結構ニーズがあるのではないでしょうか?
とはいえ、シャンメリーの魅力はやはり、このチープなゴージャス感。シャンパンのように瓶に入ってこそ輝きを増します。そして栓を抜く時の〝小さな幸せ音〟がポイント!
そう。あの音です。「ポン!」という気持ちの良い音を奏でると「わーい」などと家族に笑顔が溢れる。
ちなみにこのギミックを装備した瓶入り炭酸飲料を「発音飲料」と呼びます。
シャンメリーの歴史
そんなシャンメリーが誕生したのは、昭和22年というから、戦争の爪痕がまだ色濃く残る終戦直後のこと。かなりの歴史です。
もちろんインスパイアされたのは、進駐軍が飲むシャンパン。「ポン!」と音の鳴る発音栓のギミックもシャンパンがヒントになっています。
発売当時は『ソフトシャンパン』という商品名で、昭和40年代に入ると、その知名度は全国的に浸透。クリスマスには欠かせない商品になっていました。
ところが昭和41年のこと。シャンパンの本場、フランス政府から「シャンパンでもないものに〝シャンパン〟と名付けるのはけしからん!」と名称の使用禁止を求められ、『ソフトシャンパン』という商品名が使えなくなってしまいます。
そこで「シャンパン」の〝シャン〟と「メリークリスマス」の〝メリー〟を組み合わせ「シャンメリー」と変更されるのです。昭和47年の事でした。
あれ?
フランス政府の圧力から名称の変更までに実に6年もかかっています。一体これはどういうことなのか。
もしかしたら新たな商品名が決まるまでに議論が白熱。商品名変更会議も相当開かれたのではないでしょうか。
中にはこんなやりとりもあったかもしれません。
「よし。こういうのはどうだろう。シャンパンの〝シャン〟とメリークリスマスの〝マス〟を組み合わせ〝シャンマス〟ってどう?」
「いや。どうって言われても。〝シャン〟はいいとして〝マス〟はおかしくないか?」
「じゃあ、〝シャンクリ〟?」
「いやいや。何もメリークリスマスの〝クリ〟を取らなくても」
すると、否定ばかりされた男はついに声を荒げた。
「いいじゃないか〝クリ〟だって! シャンクリだよシャンクリ。カワイイ名前じゃないか。どうせあれだろ君は。僕の意見には全て反対なんだろ!?」
「まあまあ。落ち着けって」
こんな議論に6年も費やしてしまったのです。いや。あくまでも私の想像ですが。
いずれにせよ、「ソフトシャンパン」から「シャンメリー」に改名するにあたり、様々な障害があったことは確かでしょう。
シャンメリー最大の謎
さて。そんな幾多の困難を乗り越えてきたシャンメリーには最大の謎があります。
それが、発売元の多さ。
その数はwebで確認できただけでもなんと22社にも及び、全国的には50種類近くのシャンメリーが発売されています。
これっておかしいですよね?
例えばです。『コカ・コーラ』は、コカ・コーラ社の商標であり当然、独占販売。それ以外の飲料メーカーからコカ・コーラが発売されたら大問題です。
ところが、シャンメリーは軽く調べただけでも22社のメーカーから発売されているのです。
なぜか?
シャンメリーブランドは中小企業の味方
実はシャンメリーは、全国の中小企業を中心に組織される「全国シャンメリー協同組合」が商標を取得。
つまり、この組合に入ればどこの会社でも「シャンメリー」を製造販売することが可能。ただし「中小企業生産分野品種」という法律の指定により、大企業の参入はできないことになっているようです。
ようは、全国の中小企業がみんなで頑張って一つのブランドを製造販売。大企業に負けないよう一緒に盛り上げていきましょう!といったところ。
こういう多数の中小企業が製造販売するブランドには他に「ラムネ」があります。
さて。今回、この記事を書く上で購入したのは「トンボ飲料」と「ハタ鉱泉」という二つの会社が製造販売するシャンメリー。
価格は180円台から200円ちょっとで販売されていることが多いです。
パッケージも年々ゴージャスになりブランド力もアップ。
「ドラえもん」や「ポケモン」などキャラクターとのコラボ商品も発売され、目を引きます。
シャンメリーの定義
そんなシャンメリーの定義は以下の二つ
①発音栓(開けたときにポンと音がする)の装備があること
②定型の「Chanmery」という刻印のあるビンに入った炭酸飲料であること
ちなみにシャンメリーも製造販売するこちら「ハタ鉱泉株式会社」はシャンメリーと同じ味でありながら一回り小さなタイプをシャンメリーより安価で発売しています。
ただし、こちらの商品名は「シャンデリア」
価格を抑えるために栓はスクリュータイプでボトルに刻印もないため、組合には入っていても規格外のモノは「シャンメリー」と名付けることはできないようです。
では、いよいよ開封。発音栓を開けるときには注意が必要です。
決して人に向けないよう、ゆっくりひねるようにして開栓しましょう。
「ポン!」という乾いた音。やはりこの音を聞くとなんだか癒されます。
味は安定のちょっと大人の炭酸飲料。最近では色んな味が発売されていますが、基本的にはそんなに変わりません。
懐かしさはもちろん、なんとなくワイン風味もしてパーティにはピッタリ。
ではみなさん。シャンメリーと共に素敵なクリスマスを!
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参考
地域団体商標・地域ブランド情報
http://tiiki-brand.seesaa.net/article/27206119.html
全国清涼飲料協同組合連合会
http://www.e-drink.jp/chanmery/index.htm
トンボ飲料
TABIZINE(タビジン)は旅と自由をテーマにし、日常に旅心をもてるようなライフスタイルを提案します。覗き込めば、世界地図を拡げた時のワクワクがあるような、はたまた旅する非日常を感じ旅へ向かわずにはいられなくなるような、そんな夢見心地にするパワーがあるメディアでありたいと思っています。人生は一瞬一瞬が心の旅。皆さんが何にもとらわれることなく、自由で冒険に満ちた毎日になるような情報をお届けします。
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