インフルエンザウイルスの新薬「ゾフルーザ錠」について(吉岡医院)
今回は『吉岡医院』ブログより吉岡幹博さん執筆の記事からご寄稿いただきました。
インフルエンザウイルスの新薬「ゾフルーザ錠」について(吉岡医院)
10月になり秋が深まってきました。
1日1日と日が短くなり、
何となく寂しい気持ちになります。
早いもので今年も残すところ
あと3か月。
何となく気ぜわしくなってきました。
皆様は如何お過ごしでしょうか?
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さて、
インフルエンザの季節が
近づいてまいりました。
医師会のメーリングリストでも、
ちらほらと患者さんの発生を告げる
報告がなされるようになりました。
ところで皆さんは、
今年の3月に新しいインフルエンザのお薬が、
発売されたのをご存知でしょうか。
名前は「ゾフルーザ錠」といいます。
多分ほとんどの方が
初めて聞かれる名前だと思います。
半年以上前の発売ですが、
3月ということでシーズン終盤であったので、
処方された方はほとんどいないと思います。
このお薬の最大の特徴は、
内服がたった1回でいいところです。
つまり薬局でお薬をもらい、
その場でお水を借りて内服すれば、
治療終了です。
とても簡単です。
当たり前ですが、
飲み忘れはほぼゼロです。
皆様よくご存じの「タミフル」は、
1日2回の内服を5日間
行う必要があります。
大体数日で熱は下がるので、
治ったと思って飲まなかったり、
飲み忘れたりすることもあるようです。
しかし決められた用法・用量を守らなければ、
ウイルスが十分減少せず、
他の人に移してしまうこともあります。
そのようなことを考えると、
1回の内服で終了することは、
手軽なうえ周囲にも安心と言えます。
実は今までにも1回で治療が終わる、
インフルエンザ薬はありました。
「イナビル」というお薬です。
このお薬は粉末を吸入するお薬ですので、
吸入が十分できないと、
効果を発揮できないこともあるそうです。
例えば吸入の際せき込んでしまったり、
高齢の方で上手に吸えなかったりすると
1回きりなのでやり直しが効きません。
私は何となく敬遠していました。
でもゾフルーザのように内服となると、
確実性が増すと思われます。
この新薬は、
今まで発売されたインフルエンザ薬と
違う機序で効果を発揮します。
今まで発売されていたインフルエンザ薬は、
「ノイラミニダーゼ阻害薬」という、
同じカテゴリーに属したお薬でした。
商品名では、
「タミフル」「リレンザ」「イナビル」
「ラピアクタ」というものがあります。
タミフルはカプセルで内服薬、
リレンザ、イナビルは粉末の吸入薬、
ラピアクタは液体で点滴薬です。
それぞれ同じような作用点ですので、
効果は比較的似ているとされていますが、
タミフルはややB型インフルエンザへの
効果が低いのではないかと言われれています。
ラピアクタは点滴のお薬ですが、
基本的には口から飲めない、吸えない方が、
対象となりますのであまり使われません。
したがって私はリレンザを
A型、B型ともに効果が安定しているので、
比較的多く使用しています。
リレンザは粉末の吸入薬ですが、
1日2回で5日間使用しますので、
1回きりイナビルよりは安心感があります。
ただ持病に喘息のある方には、
喘息が誘発されることもあり、
注意が必要になります。
今回発売のゾフルーザは、
ウイルスのメッセンジャーRNAの合成を阻害し、
ウイルスの増殖を抑えるお薬です。
いままでのお薬より、
急激にウイルス量が減少するそうで、
翌日にはウイルス量がタミフルの
1/100くらいに下がるそうです。
従って周りの人に移してしまう機会も、
いままでのお薬に比べると、
少なくなることが考えられます。
このように以前の
インフルエンザ薬に比べると、
優れた点が多いと思われます。
ただこのお薬は新薬ということもあり、
薬の値段が少し割高です。
下の表にまとめてみました。
標準的な用法・用量で比較しますと、
3割負担でタミフルが816円、
リレンザが882円であるのに対し、
ゾフルーザは1436円です。
またタミフルには最近、
ジェネリックが発売されており、
それでいくとタミフルの半額ほどです。
従ってジェネリックと比較すると、
ゾフルーザとは
3倍ほどの開きがあるようです。
ゾフルーザは確かに少し割高ですが、
1回の内服で済み速やかに改善するなら、
使えるお薬ではないでしょうか。
例えば小さなお子さんがおられるとか、
奥様が妊娠されているとか、
そのようなときには、
少しでも早く治る方がいいと思います。
これからは患者様に特徴を説明し、
その方に合うお薬を
選んでもらわなければなりませんね。
因みに当院では10月15日より、
インフルエンザの予防接種を開始します。
詳しくは新着情報をご覧ください。
吉岡医院 吉岡幹博
執筆: この記事は『吉岡医院』ブログより吉岡幹博さん執筆の記事からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2018年12月19日時点のものです。
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