推薦入試って?評定基準って?AOや一般入試と何が違うの?
大学入試には、大きく一般入試、推薦入試、AO入試といった分類があり、最近では、推薦・AO入試の入学者比率も増加中。
ただし、「推薦入試やAO入試のしくみや中身について、実はよくわかってなくて…」という高校生も中にはいるのでは?
今回は、このうち推薦入試をクローズアップ。
押さえておきたいポイントやありがちな誤解について、カンザキメソッド代表の神崎史彦先生に教えてもらおう!
【今回教えてくれたのは…】
※推薦入試について神崎史彦先生に教えてもらった 神崎史彦先生
AO・推薦入試対策ゼミ・カンザキメソッド代表。東進ハイスクール講師。全国各地の高校や大学にて(年間60校以上)、志望理由書・自己推薦書・小論文・面接対策の講義・講演を担当し、延べ5万人以上が聴講。『ゼロから1カ月で受かる 小論文のルールブック』『同 面接のルールブック』『カンザキメソッドで決める!志望理由書のルール【文系編】』『同【理系編】』など著書多数。
推薦入試とは?
高校時代の学業成績やスポーツの実績などを中心に評価する入試
「推薦入試は、高校時代の学業成績やスポーツ・文化活動などの推薦基準を満たしている生徒を高校の学校長が推薦する入試です(自己推薦は例外)。ですから、評定平均などの推薦基準を満たしていないと出願できません」(神崎先生、以下同)
推薦基準としては、高校時代の学業成績を数値化した評定平均が問われることが多いが、課外活動の実績や取得資格などが求められることもあり、推薦入試の種類や大学・短大、学部・学科によって違いがある。
なお、推薦入試は制度の性質上、公募制推薦で一部例外はあるものの、専願が基本となっている。
推薦入試にはどんな種類がある?
指定校推薦
「大学に指定された高校の生徒だけが対象となる推薦入試です。私立大学を中心に実施されており、指定校にはそれぞれ推薦枠があります。指定校推薦を受験するに当たっては、高校で行われる校内選考に通る必要があります」
校内選考は、学業成績や部活動、課外活動、生活態度などを総合的に評価して行われるが、やはり評定平均が高いほうが有利。
校内選考を通過すれば、一般的に合格率はほぼ100%だ。
ただし、大学・短大などに進学後の学業成績や生活態度次第では、母校の推薦枠が減らされたり、なくなったりすることもあるので責任は重い。
公募制推薦(一般推薦)
「評定平均など、大学が求める出願条件を満たしていて、高校の学校長からの推薦が得られれば誰でも受験できる推薦入試。公募制推薦(一般推薦)は私立大学だけでなく、国公立大学でも実施されています。人気のある大学や学部では倍率も高くなるので、指定校推薦と違って高確率で合格できる保証はありません」
大学・短大が指定する評定平均をクリアしていることが出願条件となっていることが多いが、中には評定平均の条件をつけない大学・短大などもあるので、出願前にしっかりチェックしておきたい。
公募制推薦(特別推薦)
「スポーツの実績や文化活動、取得資格などが出願条件となっている入試。大会やコンテストの成績、資格・検定であれば級やスコアなどの条件が定められていることが多いですね。こちらも学校長の推薦は必要です」
高校の学業成績をメインに評価する入試ではないが、評定平均に関しても条件がつけられている大学・短大もあるので要注意。
自己推薦
「自己推薦は学校長の推薦が不要なのが特徴。出願条件に評定平均の基準を設けている大学・短大もあれば、設けていない大学・短大もあります。AO入試に近い推薦入試ですね」
高校の推薦書ではなく、自己推薦書(自己PR書)の提出が求められる。例えば「コンピュータのプログラミングが得意」など一芸に秀でた人に向いている入試。
公募制推薦(特別推薦)のように、大会やコンテストなどの公式な実績は必ずしも必要ではなく、打ち込んだことを自分でPRできればOK。
推薦入試の出願条件って?
評定平均の基準が設けられている場合が多い
推薦入試では、高校1年から高校3年1学期までの評定平均が出願条件として指定されることが多い。
例えば、「全体の評定平均3.5以上」といったように全体の評定平均のみを指定する大学・短大もあれば、「全体の評定平均が4.0以上で、英語は4.3以上」など、全体に加えて、特定教科の評定平均を指定する大学・短大もある。
なお、最近は前年から評定平均の基準を上げてくる大学も増えているので注意が必要だ。 「実用英語技能検定、TOEIC(R) LISTENING AND READINGテスト、TOEFL(R)テスト、GTEC、IELTSなどの外部の語学検定のスコアを出願条件としている大学もありますね。これがけっこうハードルが高い場合が多いので要注意です。出願直前に級・スコアを一気に上げるのは難しいので、基準となる級・スコアを調べて早めに準備を始める必要があります。実用英語技能検定なら2年の終わりまでに2級はとっておきたいところ。CBT(オンライン試験)で受験できる検定は結果が出るのが早く、回数を多く受験することをおすすめします。一番良いスコアを提出できますから」
また、大学が指定する出願条件ではないが、指定校推薦の場合、高校が、「英語特進コース」など特定のコースのみに推薦枠を与えることもあるのでこちらも要注意。 「さらに、大学や学部によっては、例えば、『化学I・Ⅱを履修していること』など、指定された科目を履修していることが求められるケースもあります。ですから、推薦入試を意識しているなら、文理選択の際にはよく考える必要がありますね」
推薦入試の選考方法って?
書類審査&面接&小論文が一般的だが、学科試験が課される大学・短大も 「評定平均などが記された調査書、学校長の推薦書、本人が書く志望理由書、自己推薦書、活動報告書等による書類審査と面接のほか、小論文、グループディスカッションやプレゼンテーションを課す大学・短大が多いですね。それ以外に、実技試験や学科試験を課す大学・短大もあります」
国立大学の公募制推薦の場合、センター試験受験が求められることもある。
その場合、センター試験対策もしっかりやっておく必要があるので、志望校を選ぶ段階でチェックしておこう。
評定平均って?
全科目の成績を足して科目数で割った数字が全体の評定平均 「評定平均とは、全科目の成績(5段階)を足し合わせ、科目数で割った数値です。高校1年から高校3年の1学期までの成績を対象として算出するので、高い評定平均を取るには1年次から学校の勉強にまじめに取り組むことが大切です」
評定平均は、小数点以下第2位を四捨五入するため、3.7や4.6といった数で表される。
高校の成績評価が10段階の場合の5段階への直し方は、学校ごとに定められた換算基準により異なるので注意が必要。
例えば、10段階のうち9と10が5になる学校もあれば、8、9、10が5になる学校も。なお、全教科の評定平均のほか、教科ごとの評定平均もある。
また、大学・短大によっては、A・B・C・D・Eの5段階で評価する学習成績概評で基準を示していることもある。
評定平均と学習成績概評の関係は以下の通り。
※【クリックで拡大】評定平均と学習成績概評の関係 【関連記事】評定平均はどう計算される?推薦入試の基準になる?
推薦入試のスケジュールって?
「推薦入試の出願・選考はだいたい10~11月ごろがピーク。早ければ8月から出願を受け付けるAO入試よりは始まりが遅く、年明けに始まる一般入試よりは早い。自己推薦はそのほかの推薦入試より早く、9月ごろに出願期間が設定されていることもあります」
なお、ここで紹介しているスケジュールはあくまで大まかな目安。
大学ごとにスケジュールは異なり、2次募集を行う場合もあるので、志望校が決まったら早めに出願・選考の日程を確認しておこう。
公募制推薦入試
募集要項が発表されるのが、私立大学は6月下旬ごろからで、国公立大学は7月下旬ごろから。
私立大学は10月から出願期間が始まるところもあるが、国公立は11月1日以降となっている。
選考は11月に行われることが多い。合格発表は12月上旬ごろ。
指定校推薦
高校で指定校推薦の募集に関する情報が公開されるのが6~8月ごろ。
校内選考は早ければ9月ごろに始まる。
10月には指定校ごとに推薦される生徒が決まり、10~11月に出願・選考が行われ、11月下旬ごろに合格発表というのが一般的なスケジュール。
※【クリックで拡大】推薦入試の出願・選考スケジュール
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一般入試とは何が違うの?一般入試は一発勝負。推薦入試は1年次からの積み重ねがカギ
「大きく違うのは選抜方法。一般入試は基本的には学力試験で選抜を行いますが、推薦入試は高校時代の学業成績やスポーツ・文化活動の実績、さらに面接・小論文などを中心に選抜を行います。
そのため、一般入試は一発勝負、推薦入試は高校入学からの積み重ねが問われる入試といえますね」
出願条件に関しても、一般入試は「高校を卒業見込みの者」「高校を卒業した者」などの条件を満たしていれば誰でも受験できるが、推薦入試には、学業成績やスポーツ・文化活動実績などで条件が定められていることが多い。
入試時期にも違いがある。
一般入試は1~3月に実施されるが、推薦入試は一般入試に先立って11月ごろに実施されるのが一般的(大学・短大によって違いあり)。
そのほか、一般入試は自由に併願できるのが一般的だが、推薦入試は前述で説明したように専願しか認めていないことが多い。
AO入試とは何が違うの?推薦入試は高校時代の積み重ねが大きく問われる点が特色
大きく違う点の一つは、自己推薦を除く、公募制推薦や指定校制推薦は学校長の推薦が必要とされること。AO入試では学校長の推薦は必要ない。 「また、受験生を評価するポイントにも違いがあります。どちらも書類選考、面接、小論文などで選抜する点は共通していますが、AO入試は、大学・短大側が求める学生像(アドミッション・ポリシー)に基づいて受験生を評価するのに対して、推薦入試は、高校時代の学業成績やスポーツ・文化活動の実績などを基に主に学校長が受験生を推薦するものです」
入試時期に関しても違う。AO入試は出願開始が8月1日以降とされているが、それ以降年明け3月ごろまで、大学・短大によってスケジュールはさまざま。
一方、推薦入試は上で説明したように10~11月に選考が行われる。 【関連記事】推薦・AO入試を受験するなら必見!面接のNG&OK回答例
上位校でも倍率が低い大学・学部なら合格しやすい?倍率が低くても受験者層のレベルが高い場合もあるので要注意
「公募制推薦の場合、偏差値よりも倍率を気にするべきですね。偏差値が上位の大学でも倍率が低かったり、偏差値が中程度の大学でも倍率が高かったりということは確かにありますから。ただし、それぞれ受験生の層が違うので、倍率が低いからといって単純に合格しやすいともいえません」
倍率と受験者層を両方しっかり情報収集したうえで、自分の実力やアピールできるポイントも踏まえて、慎重に志望校を選ぶことが大切だ。
推薦入試に落ちた場合どうすればいい?
公募制の2次募集やAO入試に切り替えるのが一般的だが…
指定校推薦なら校内選考で落ちてしまうこともあるし、公募制なら当然不合格のケースも想定しておかなければならない。ただし、推薦入試は専願が基本なので、秋の入試のピーク時に同時に複数校を受験できないのが悩ましいところ。 「不合格の場合は、公募制の2次募集や推薦入試の合格発表後でも出願できるAO入試を目指す受験生が多いですね。一般入試の対策をしていない受験生が、12月ごろから一般入試目標を切り替えても間に合いませんから」
とにかく早めに進学先を決めたいとの思いから、志望校のレベルを下げてしまったり、やりたいこととは違う学部・学科を選んでしまったりするケースも多いと神崎先生。ただし、それでは、進学後に納得のいく学生生活を送れない可能性もある。 「だから、推薦入試が目標でも、一般入試のための学科試験対策をしっかりやっておくのが理想です。それなら、推薦入試で志望校に合格できなかった場合、一般入試に目標を切り替えることができます」
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投稿推薦入試って?評定基準って?AOや一般入試と何が違うの?は【スタディサプリ進路】高校生に関するニュースを配信の最初に登場しました。
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