琥珀さんの拳の重さを……黒い高級車の衝撃を感じろ! 4DX版『HiGH&LOW THE MOVIE』のバイブスがヤバイ

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4DXで明らかになる“こだわり”のヤバさ

左から、琥珀(AKIRA)、コブラ(岩田剛典)『HiGH&LOW THE MOVIE』(C)2016「HiGH&LOW」製作委員会

アクションシーンの影に隠れがちだが、久保茂昭監督がPV制作で培った美意識あふれる画づくりも『HiGH&LOW』の大きな魅力。4DX効果はバイオレンスシーンだけでなく、映像と音楽の力をさらに補強してくれるのである。

例えば、劇中屈指の美しさで知られる達磨一家の集合シーン。鮮やかな赤い法被と傘の間を縫って日向紀久(林遣都)が登場するこの場面では、4DXの“雨”効果がひんやりとした空気を感じさせてくれる。RUDE BOYSの本拠地・無名街が焼かれるシーンでは、炎の中から立ち上がるスモーキー(窪田正孝)が感じた熱を、“熱風”効果で表現。ほかにも“雪”や“潮風”などの様々な状況を。使用していないのは“香り”くらい。思いのほか『THE MOVIE』には様々なロケーション・シチュエーションが登場していたのだ。

また、人物が建物に入る場面や、移動シーンでも微妙にシートの角度が変化。基本的にカメラワークにあわせて座席を動かし、細かな場面での視線の変化を再現しているのである。セットや衣装だけでなく、製作陣がいかに細かな部分にまでこだわっていたかが明らかになった。

PKCZ feat. AFROJACK, CRAZYBOY, ANARCHY, SWAY, MIGHTY CROWN (MASTA SIMON & SAMI-T) / MIGHTY WARRIORS(YouTube)
https://youtu.be/uvpPX50ElpE

そして、他のあらゆる映画と一線を画すのが、ICE率いるMIGHTY MIGHTY WARRIORSのライブである。「音楽とファッションの力で自分たちの理想郷を作る」ことを標榜するチーム・MIGHTY MIGHTY WARRIORSは、クラブFUNK JUNGLEで夜な夜なパーティーを繰り広げるので、当然ながら劇中にも何度かライブシーンが登場。ICE役のELLY、バーニー役の白濱亜嵐、9役のANARCHY、パール役の野替愁平(SWAY)ら“本職”のアーティストによる「MIGHTY WARRIORS」「FUNK JUNGLE」のパフォーマンスでは、ベース音に合わせた突起物の隆起による刺激により、身体を振動させる。ライブハウスでじっくり音楽を聴くタイプの方も、強制的にノセられるはずだ。

グ・ジェウォン(CJ 4DPLEXクリエイティブ・ディレクター)インタビュー

4DXの担当者は、何を目指し、どこにこだわって4DX演出を施したのか。CJ 4DPLEXクリエイティブ・ディレクター グ・ジェウォン氏のインタビューをご紹介しよう。

――今回の4DX演出に、『HiGH&LOW THE MOVIE』の製作陣はどのように関わっているのでしょうか?

最初に、松竹のプロデューサー1名、宣伝担当者1名、セールス担当1人ほか、6名様による4DX演出試写で確認していただきました。その場にいらっしゃった全員が大満足で、「4DXのモーションと映画が自然と和み、アクションに迫力が加わった感じで、とても良かった」、「緊迫した場面で4DXにより、より緊張感が増して良かった」、「音楽とアクションが多い映画だけあって、4DXには最適だった」など、4DX公開への大きな期待感を抱くコメントをいただきました。LDHさんやキャストのみなさんはスケジュール上、試写に参加できなかったとのことでしたが、4DX版公開後にご鑑賞いただけるように機会を設けられたら、と思ってます。

――衝撃や座席の角度の変化といったさまざまな4DX演出は、どなたがどうやって決めているのでしょうか?

定期的に日本の観客を対象にした満足度調査や、大作映画上映後の劇場による現場のフィードバックなどを通じ、4DXは「より楽しい鑑賞・体験の経験」を感じられるように改善されています。韓国の本社とハリウッドに4DXスタジオがあり、約30人のプロデューサーによって、蓄積されたノウハウを活かして、特定のシークエンスのデータベースシステムを構築しています。

――琥珀やコブラ、黒い高級車など、場面やキャラクターごとに衝撃の大きさや種類が異なっていたのに驚きました。どんな基準で演出を決めているのでしょうか?

それぞれのキャラクターの役割、各キャラクターが乗っている車両の種類と特性、劇中の流れを考慮して演出をしました。特に、琥珀の最後の戦い(3対1で戦うシーン)は、映画のクライマックスであるだけに、インパクトあるアクションとして仕上げるための演出を加えました。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』4DX演出では、各キャラクターを分析し、それぞれ異なる個性を表現したことが大好評だったので、『HiGH&LOW THE MOVIE』でも同様に、各キャラクターの個性を表現するようにしました。また、キャラクターによって、バイク、大型トラック、スクーターなど、様々な乗り物を操る点で、それぞれの特徴を分析し、固有のリズムや動きにあわせて動きの程度を把握し、乗り物の特徴を明らかにするような演出を加えました。現在絶賛上映中の映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』4DXでもバイクチェイシングが大好評ですが、『ミッション:インポッシブル』シリーズ、『ワイルド・スピード』シリーズなど、4DXデータベースに蓄積された様々なシーンを介して、さらにディテールにこだわった演出ができたと思います。

“水”の効果はオン/オフ切り替えが可能

――車の事故シーンなど、一部の“4DX演出がない”シーンも気になりました。あえて4DX演出を施さない場面もあるのでしょうか?

車の事故が出てくるシーンは、あるがままの状況、そのままの情報伝達をすることが重要だと判断し、動きは最小限にし、最後の部分だけモーションを加えることで、劇的な流れと緊張感を与えるようにしました。これ以外のシーンはネタバレになるため、実際に4DXの劇場で楽しんでいただきたいです。

――ライブシーンでは、何を意識して4DX演出を加えられたのでしょうか?

4DXは2016年から、日本でも大きな反響をいただいた映画『BIGBANG MADE』や、台湾のロックバンドMAYDAY (五月天)などのグローバルなミュージシャンのコンサート映画を介して、音楽/ライブシーンに関連する独自のノウハウを持っています。アニメーション映画『リメンバー・ミー』の4DXでも“リズミカルモーション”で反響を起こしたことがあります。『HiGH&LOW THE MOVIE』では、特にTHE MIGHTY WARRIORSのライブシーンで観客が映画の中の現場にいるかのようなリズム感を満喫できるように、臨場感、リズム感を最大限に活かしたモーション演出に気を配りました。秋には、映画『ボヘミアン・ラプソディ』もグローバルに4DX上映を計画中なので、4DXが音楽ジャンルの映画にもマッチすることを証明できればと思います。

――4DX版が完成するまで、本編をどのくらい観返しましたか?

ハイライトのアクションシーンや、4DX演出の多いシーンだけではなく、作品がもつ全体の世界観や流れを把握すべく、数え切れないほど何度も観ました。

――4DX演出を加えるにあたり、最も苦労したシーンを教えてください。

クラブでのシーンや、最後のバトルシーンです。クラブでのシーンでは、リズムだけを作り出すのではなく、起承転結の流れを自然にするような強度やバランスをとることで苦労しました。また、最後のバトルシーンでは、スローなど、様々なバトルの描写が表現されると同時に、カメラの動きも複雑なシーンなうえ、これらの多様な要素が絶えることがなかったので、モーションチェアのような4DX演出においても考える部分が多かったです。しかし、年間でトータル100本超えの映画を4DXにて演出し、その作業を通じて蓄積されたデータベースをもとに、細かいシーンでもディティールを逃さず、最高の体験を与えるために工夫しました。

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