ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

爆ヒット中の映画『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督インタビュー「映画が観た人の現実を前向きに動かしている。これほど嬉しいことはありません」

カメラを止めるな!

「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。」映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として製作され、「ゆうばり国際映画祭」など数多くの映画祭で賞賛を得た映画『カメラを止めるな!』が現在大ヒット上映中です。

当初は2劇場と小規模でスタートした本作も、あまりの面白さに口コミが広がり続け上映劇場数が86劇場まで増殖中(7/26現在)。今後もさらにヒットを続けそうです。

物語のモチーフは「37分ワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」。映画がはじまると、ソンビ映画好きなら思わず惹きつけられ、時には吹き出してしまうシーンが次々と登場。それだけでも面白いのですが、後半はガラリと変わり「そういうことだったのか!」と思わず驚いてしまうという、二度美味しい、いや、二度以上美味しい映画なのです。本作の監督・脚本を務めた上田慎一郎監督に、作品について色々お話を伺いました!

――本作大変面白く拝見いたしました! まずこの斬新なアイデアをどんな事から思いついたのかをお伺いしたいのですが。

上田監督:5年前に、劇団PEACE(2014年解散)の「GHOST IN THE BOX!」という舞台を観まして、物語の構造がすごく面白いなと思ったんです。この舞台を原案にして映画化したいと思い、最初はその舞台の脚本家や出演者の方と一緒に企画を進めていたんですがなかなか前に進まず一旦企画は頓挫。2年ほど前にとあるコンペに出すのをきっかけにまたこの企画を引っ張り出して、基本的な構造以外は登場人物も展開も丸ごと変えて、新たな作品としてプロットを固めていきました。その企画コンペには落ちたんですが、ちょうどその直後にこの「シネマプロジェクト」のお話をいただいたんです。「シネマプロジェクト」というのは新人の監督と俳優がワークショップを経て一本の映画を作るという企画です。

――なるほど。そうなると、映画の構想が浮かんだのが5年前という事で、結構長い時間がかけられているんですね。そこからどの様に映画にしていきましたか?

上田監督:プロット段階ではどんなキャスティングでいくかわからなかったので、細かなところまでは詰めていませんでした。参加する俳優が決まり、本作を撮ることが決まった後に、脚本は俳優に当て書きで執筆しました。

――映画を拝見した後、映画初出演の演者さんが多いと資料で読んでビックリしたんです。あまりにも自然だったので。それは当て書きというのも大きな理由だったのですね。

上田監督:オーディションで12人の俳優を選抜しました。選ぶ時は、演技がうまいということより、人間として面白い人ということを重視しました。俳優たちが元々持っている個性を活かしたキャラクターで書いたので、それを自然だと、魅力だと感じていただいたのかもしれませんね。

――その人自身に魅力があるということですね。

上田監督:そうなんです。不器用で、人間的に面白くて「一緒にやりたいな」と思う人を選びました。監督役をやった濱津隆之さんとか、その娘役の真魚さんとか、プロデューサー役のおばちゃんの竹原芳子さん等も、映像作品で名前がある役をやるのは初めてくらいなんですよ。ヒロインの女優をやった秋山ゆずきさんはゲスト女優としてお願いしました。

――秋山ゆずきさんの役柄は特に難しそうですよね。前半は怖がる演技が下手な女優さんを演じて、それが徐々に……という。

上田監督:僕は『悪魔のいけにえ』(1974年)が大好きで、秋山さんには『悪魔のいけにえ』のDVDを渡して、ヒロインの本気で逃げまどっている感じや悲鳴を参考にしてもらいました。

――なるほどなるほど! やはり、というか、もちろん『カメラを止めるな!』のテーマになっていますから、監督はゾンビがお好きなんですね。

上田監督:ゾンビ映画では、いまのゾンビ映画のはじまりともいえる、ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)が結局一番好きかもしれないです。ちょうど僕が『カメラを止めるな!』を編集しているときに、ロメロとトビー・フーパー(『悪魔のいけにえ』監督)が亡くなって、残念ですけれども、勝手に背中を押された気持ちになりました。『死霊のはらわた』(1981)も大好きです。

――『死霊のはらわた』は特に自主制作の工夫と愛がすごくつまっていますものね。

上田監督:そうそう、ホラーって、やり過ぎるとコメディになっちゃったりするじゃないですか(笑)。『死霊のはらわた』もやり過ぎてて完全にコメディで、手作りのチープ感みたいなものも含めて愛しちゃってます。

――本作のワンカットシーンでは「映画ってこうやって作っているんだ」という驚きを感じる人も多いと思います。

上田監督:あれ、楽しかったけど大変だったんですよ! 観てもなかなか分からないと思うんですけど、ワンシーンワンカットの部分では脚本上に書かれている計算したトラブルと実際にぼくたちが浴びたガチのトラブルとが混ざっています。

――ガチのトラブルが!

上田監督:カメラのレンズに血がかかっちゃっうシーンがあるのですが、これは全然計算外で、現場であたふたしながら目配せして「どうする?」「よし拭こう!」って拭いたりとか。二度目を観ていただける時があれば、そんな部分にも注目していただけると(笑)。

――それは私ももう一度拝見するのが楽しみです(笑)。最後に、現在大ヒット記録中で、リピータが続出している件について率直なお気持ちを教えてください!

上田監督:一年前、汗と血にまみれながら、みんなで廃墟を駆け回って作った小さな映画。その映画がここまで沢山の方に拡がり、そして愛して頂けるとは、正直言って想像もできませんでした。僕らの映画だったものが、みんなの映画になってきている。有難いことに「仕事頑張ります」とか「自分も何か作りたくなりました」とか、そういった言葉を沢山いただきます。映画が観た人の現実を前向きに動かしている。これほど嬉しいことはありません。映画ってすごい。まだまだこの映画を沢山の方に届けられるよう、みんなで一緒に駆け回ります!

(C)ENBUゼミナール

藤本エリの記事一覧をみる

記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

山寺宏一&高木渉で『ポプテピピック』

GetNews girl / GetNews boy