米津玄師はなぜ売れ続けるのか?! ベスト50に6曲チャートインの秘訣【Chart insight of insight】
入れ替わりが激しいHot100だが、なかなかチャートが落ちない楽曲もいくつか存在する。なかでも、米津玄師の粘り強さは特筆すべきだろう。今週のHot100において、彼の名前が表に出ている楽曲が、10位以内に3曲、50位以内には6曲もチャートインしているのだ。
とりわけ、今週3位にランクインした「Lemon」の勢いは尋常ではない(【表1】)。配信が始まったタイミングでの2/26付で2位になってから現在に至るまで、ベスト5に居座り続けている。フィジカルとダウンロードを合わせたセールスポイントも最低で6位(紫のグラフ)と実際に売れているのだが、このチャートアクションの最強の武器が動画再生数だ(赤のグラフ)。3/12付で初登場1位になってから現在まで、常にベスト3位内。しかも、13週も1位になっているのだ。YouTubeでは現時点で1億2千万回以上もの再生回数を記録しており、今もなおじわじわと伸び続けている。
加えて、ルックアップ(CDのPC読み取り数)も同じく常にベスト3位内というのも驚異的(オレンジのグラフ)。これは、レンタルでの回転が非常にいいということだろう。実際にCDを買ったりダウンロードするファンが多数いる一方で、動画を見てレンタルするグレーユーザーも大きく取り込んでいることで底上げしているといえる。もし彼が動画を公開していなかったら、ここまでの数字には至っていなかったかもしれない。
この視点で、今週5位にチャートインしている「LOSER」も見てみよう(【表2】)。この曲は昨年9月にリリースされたものだが、なにかトピックがあるごとにチャートの上位に上ってきている。もちろん大きな波はあるが、ここでも注目すべきは動画再生数だ(赤のグラフ)。セールスチャート(紫のグラフ)やツイッターのポイント(水色のグラフ)の影響も大きいが、動画再生数だけはコンスタントに上位をキープしているのがよくわかる。
DAOKOとの「打上花火」(今週7位)や「ピースサイン」(今週29位)といった楽曲も、やはり動画再生数がチャートインの大きな要素となっている。ちなみに、動画再生数だけでいえば、米津玄師絡みの楽曲がベスト50に8曲がチャートインしている。彼の場合はラジオやツイッターなど様々なメディアを駆使してプロモーションされているが、やはり動画の強さは圧倒的であり、鮮度を保ちながら映像と共鳴する音楽が彼のアイデンティティでもある。そして、彼のスタイルには、今の時代にアーティストがブレイクするためのヒントがあるような気がするのだ。Text;栗本斉
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