求められるニーズに技術だけで応えて満足してもらえる時代は終わった。自分の役割を過小評価するな。――ニーズのため、枠を超え動いた技術者の“失敗”と“気づき”

求められるニーズに技術だけで応えて満足してもらえる時代は終わった。自分の役割を過小評価するな。――ニーズのため、枠を超え動いた技術者の“失敗”と“気づき”

2018年5月、NTTデータは「Trusted Global Innovator」という新たなブランドメッセージとともに、お客様から今まで以上に信頼される存在を目指して歩んでいきます。ITアーキテクトのプロフェッショナル上西雅也のキャリアと大切にしている考えを通じて、信頼とは何かをひも解きます。

※本記事は、「PR Table」より転載・改編したものです。

ITアーキテクトとしての技術の源泉――性能とひたすら向き合った3年間

NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 方式基盤統括部_上西雅也 氏▲ NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 方式基盤統括部 上西雅也

ITアーキテクトとは、幅広い技術力を活かし、方式技術の各要素を組み合わせてシステム全体の最適設計を行なう、プロジェクトを技術面でリードする人財です。

入社以来、数々のシステム開発プロジェクトで方式設計を担当してきた上西もそのひとり。システム開発の自動化がまだ黎明期であった2011年に、要件定義から試験の各工程を自動化するソリューションを立ち上げて社内表彰を受けるなど、高い技術力と枠に捉われないチャレンジ精神で、NTTデータのシステム開発に貢献しています。

そんな上西の技術力の源泉となっているのは、入社から3年間担当した、複数プロジェクトでの性能試験の経験でした。

上西 「今でこそ性能試験を専門にするチームが社内にありますが、私が入社した当時はまだ存在しておらず、開発メンバーとしてシステム性能試験やチューニングを担当していました。

C言語やJAVAのソースコードを追いかけつつ、ボトルネックの発見やチューニング案の策定に明け暮れ、性能観点でのソースコード解析やOracleのSQLチューニングなどの技術はここで会得しました」

入社4年目になった上西は、性能試験だけなく開発にも関わりたいと思うようになります。そこで当時の上司に希望を伝えたところ、新規開発プロジェクトの立ち上げに加わることになりました。

上西 「そのプロジェクトはお客様にとっても新しい取り組みであったので、お客様も私たちも何からはじめればいいのかわからない状態だったんです。

そこで、プロトタイプ制作を提案しました。そのまま自分でコーディングをしてサービス検証を行ない、どういったサービスにつくりあげていくかをお客様と一緒になって考えました。お客様から要件をいただくのを待つのではなく、一緒になって要件を考えるというのは、今でも非常によい経験だったと思います」

新人時代に培った技術力とシステム要件をお客様と一緒になって考えていく経験は、その後の上西の仕事に対する姿勢の原点となりました。

開発したシステムの、その先にあるもの

お祭り好きな上西氏の様子▲ プライベートではお祭り好きの上西。5~6月は祭り好きには良い季節

開発現場での経験を積み、様々なお客様とのやり取りの中で知識と技術を磨いてきた上西。あるとき彼の考え方に変化を与える、小さな出来事が訪れます。それは、ある百貨店様のプロジェクトを担当した時のことでした。

上西 「参画している開発メンバーが、お客様の業務にすごく詳しいんですよ。開発チームなのにギフトを贈るときの、のしの種類についての勉強会が開かれていたりしたんです。

システム開発を担当していると、のしの種類が何であるかとか、普段はなかなか気が回らないと思うんです。けれど、その時のメンバーはお客様のことをよく知ろうということで、そういったお客様の業務に関する勉強会を定期的に開催していました」

上西も勉強会に参加し、お客様を知ろうと必死にメモをとりました。

上西 「このとき、たとえ開発や方式といった技術側の人間であっても、技術を使った先にあるお客様の業務や事業をきちんと理解していないと良いものはつくれない、と強く感じました。お客様の立場に立つという姿勢を学んだ場でもあり、そうした姿勢はお客様にも認めていただき、信頼を得ることができました。今振り返っても非常に衝撃を受けたプロジェクトのひとつですね」

開発したシステムの、その先を考える。一見当たり前のように思えますが、目の前の問題に必死に取り組んでいると、つい視界が狭くなり考える時間をとることが難しいものです。自分の役割はここだ、と無意識に線を引いてしまうこともあります。

しかし自身の役割を過小評価せず、方式設計という枠組みを越え、お客様と同じ目的に向かって主体的に行動を起こしていくことが大切だと上西は語ります。

薄れゆく関係性と信頼――プロジェクト経験から学んだ距離感

お客様と同じ目的に向かって主体的に行動を起こしていくことが大切。そう語る上西でしたが、実は入社7年目に担当したプロジェクトで苦い経験をしていました。

この年から複数プロジェクトを受け持つリーダーとなった上西。そのひとつに、ミッションクリティカルなシステムを扱うプロジェクトがありました。たとえ大規模災害が発生しても止めてはいけないシステム。複数拠点でのディザスタリカバリ対応を行ないましたが、カットオーバーの直前に、東日本大震災が発生したのです。

上西 「お客様との要件やスケジュール調整も厳しいものになりましたが、私は他の案件と兼務していたこともあり、これまでのようにお客様と密に顔を合わせるのではなく、毎週の定例ミーティングに出席するのみになっていました。

自分が担当者であった時と違い、リーダーとして自分のチームを守らなければならないという意識が強く働き、定例ミーティングでも自分の口からでるのは表層的な受け答えばかり。次第にお客様との関わりが薄くなっていくのを感じました」

カットオーバー後の振り返り会で、営業担当からお客様アンケート結果の共有がありました。その中に「ひとり、私たちの業務をわかってない人がいた」という回答を見つけた上西は、大きなショックを受けたといいます。

上西 「誰のことかは書かれていませんでしたが、他のメンバーはよくやっていたし、自分しかいないと思いましたね。自分だけが一人称で行動できていなかった。このことをきっかけに、自分の受け持つプロジェクトへの関わり方を見直しました」

すべてのプロジェクトに同じように関わるのではなく、上西自身も中に入り密に関わった方がいいものと、そこはメンバーに任せて自分は一歩ひいたところにいた方がいいものに分けて関わるようになりました。

自分は一歩ひいたところにいても、逆にお客様の立場からみて立てた客観的な仮説をもってメンバーと話し合うことができ、プロジェクトそのものとお客様との関係性はよいものになることに上西は気が付いたのです。

技術力の土台の上にある人間力

ITアーキテクトチームのメンバー▲ イノベーション創出の“デベロッパー”をめざすITアーキテクトチーム

様々な出来事を経験し、ITアーキテクトのプロフェッショナルとしてシステム開発に貢献してきた上西ですが、入社から2018年現在までの15年で、ITをとりまく環境はずいぶん変わってきていると言います。

上西 「私がNTTデータに入社した2004年は、システム開発のほとんどが請負案件、開発はウォーターフォール型で、お客様が要求する仕様に従いがっちりつくるといった世界でした。ITに求められるのは業務の効率化や自動化で、お客様も開発者も、課題解決のために何をすれば良いかがある程度見えていたんです。

でも今、多くのお客様がITに求めているのは事業の成長。けれどもそのための道筋に確かなものはない、そんな時代になりました。

たとえば、もう一回行きたくなる温泉旅館ってどういうところでしょうか。温泉が良くて旅館がきれいで飯がうまい。でもきっとそれだけじゃないんですよね。その上にもっと違う、人の心を感動させる何かがあると思うんです。技術も同じだと考えています」

上西は今、ITアーキテクトの立場から、新しい技術によってもたらされるビジネス創出に取り組んでいます。

上西 「イノベーション創出には、プロデューサー、デザイナー、デベロッパーの3タイプの人財が必要と言います。わたしのチームはその『デベロッパー』としての役割を担い、まだ柔らかい状態のアイデアを具現化すべく取り組んでいます。今はブロックチェーン等、デジタル時代の最先端テクノロジーに着目し、技術情報や事例の収集と、実現方法の検討を行なっているところです」

しっかりとした技術力をベースに、お客様と一緒になってとことん真剣に考え、時には意見をぶつけ合う。その積み重ねが、信頼につながっていくのだと上西は語ります。

上西 「技術やスキルといった土台の上に信頼される人間力が加わった時、圧倒的なプロフェッショナルとなる。私はそういう存在になりたいです」

信頼されるお客様のパートナーとして、共によりよい社会づくりに貢献していく。上西の挑戦はまだまだ続きます。

会社説明会では語られない“ストーリー“が集まる場所「PR Table」

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