モーターを「燃費」ではなく「パワー」のために使う! 驚異的な加速力を味わえるハイブリッドカー3選
燃費より出力重視に振ったハイブリッドカー
エンジンとモーターという、2つの動力源を持つハイブリッドカーを2頭立て馬車に例えた場合に、ポニーの2頭立て馬車ではなく、サラブレッドの2頭立てを選びませんか? というのが今回のお話。
エンジンの代わりにモーターが働けばその分ガソリンを消費しなくて済む。だからハイブリッドカーは低燃費。それが一般的なんだけど、この発想を切り替えて、エンジンとモーター両方が全力を出したらちょっ速だよね、というハイブリッドカーもあるのだ。
しかも低速から大きなトルクを発揮するモーターが加わるから、アクセルを踏んだ瞬間から怒濤の加速がバビューン! と。そんなガソリンエンジン車には望むべくもないドライブフィーリングが味わえる。
もちろん、ほとんどのハイブリッドカーには両方のパワーを発揮するモードが用意されている。例えば高速道路の追い越しの際とか、加速力が欲しいときに使えるように。そりゃポニーが1頭より2頭いた方が力強い。けれど2頭のポニーが全力で走るのと、サラブレッドではやっぱり速さが違う。
ハイブリッドカーに搭載されるエンジンやモーターは、車としてシステムを燃費に振るか、出力重視に振るかで変わってくる。例えば、トヨタでいえばプリウスもあれば、先日ル・マンを制覇したTS050ハイブリッドもある。それぞれに適したエンジンやモーター、その制御システムが与えられている。
TS050ハイブリッドが市販化されるようだけど、たとえ出ても恐らくボクら庶民には縁のないような価格になるだろう。でもね、出力重視に振ったハイブリッドカーなら実は中古車で手軽に狙えるのだ。
2006年に登場したレクサス GS(初代)の場合、ライバルのBMW M5に負けない高級スポーツセダンに仕立てたかったのだと思う。同車に搭載されたハイブリッドシステムはまるでワープ空間に突入したかのような、強烈な加速を見せてくれる。
3.5Lのガソリンエンジンは当時のISと同じだけど、そこにモーターのパワーを加え、システム全体では最高出力345psを発揮する。しかもレクサスゆえ静粛性が高いため、実際の加速速度と、静かに、かつ瞬く間にぶっ飛んでいく周囲の風景とのギャップが、M5にはない高級スポーツセダンの新しい世界を見せてくれる。
4.3Lエンジンを搭載するモデルもあるが、それを上回る「4.5L車に匹敵する加速性能を持つハイブリッドカー」という意味で、車名に450hが入る。3.5Lエンジンは最高出力296psで、これに200psのモーターが組み合わされる。中古車の平均価格は115.8万円。100万円前後で走行距離5万km未満も狙える
レクサス GSと同じパワーユニットは、2008年に登場したトヨタ クラウン(13代目)にも搭載された。しかしクラウンに武闘派ハイブリッドシステムという組みあわせはウケが悪かったのか、14代目にフルモデルチェンジした際はエンジンが3.5Lではなく2.5Lになり、システム全体でも220psと文字どおりパワーダウン。
だから13代目クラウンハイブリッドはある意味希少車なのだ。現行型の15代目クラウンには再び3.5L+モーターが復活したけど、現段階で中古車はゼロ。14代目は先述のとおり3.5L+モーターは存在しない。それならば掲載台数も多くてお手頃な、13代目の程度のよい中古車を選んで楽しんだ方が正解じゃないかな。
3.5Lエンジン+モーター、システム全体で345psはレクサスGSと同じだが、10・15モード燃費15.8km/LとGSの14.2km/Lより良い。フロントグリルがメッシュのアスリート顔に対して、ハイブリッドはロイヤルサルーンと同じ横ルーバー。中古車の平均価格は136.4万円。2011年式で走行距離5万km以内で200万円前後。
一方で日産は2014年に登場した13代目スカイラインに初めてハイブリッドシステムを搭載した。
スカイラインがGT-Rと決別して久しいけれど、逆に言えばもともとGT-Rを擁したくらい、スカイラインはスポーツセダンの代表格。GT-Rとは異なる新たなスポーツセダンの可能性を探すべく3.5Lのガソリンエンジンにモーターを組み合わせ、バッテリーには高出力が可能なリチウムイオンバッテリーを採用した。(上記のGSやクラウンはニッケル水素電池)
結果0-100km/hの加速は4.9秒と発表当時のハイブリッドカーとしては世界最速に。現行型ポルシェ 911カレラの4.6秒にはわずかに及ばないものの、5.1秒のケイマンなら後塵を浴びせることができる。
クラウンを上回る364psを発揮。JC08モードで17.8km/Lと低燃費なのも魅力だ。4WDモデルも選べる。走行距離5万km以内なら支払い総額で250万円前後で狙える。
かつて90年代にスズキスポーツが400馬力の1.6Lエンジンを前後に2基搭載したカルタスを開発したことがある。アメリカではインディ500同様に有名なレース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に挑むためだ。動力源を2つ積んで速く走るという発想は、約30年前からあったのだ。
21世紀になった今なら、ハイブリッドカーという手がある。今年のル・マンではトヨタが優勝したが、それまではアウディやポルシェのハイブリッドカーが席巻していた。そんなハイブリッドカーのもうひとつの魅力を、中古車で手軽に味わってみない?
text/ぴえいる
photo/尾形和美、篠原晃一、編集部
関連記事リンク(外部サイト)
一足先にカローラハッチバック(プロトタイプ)に触れてきました。あれ? カローラってこんなにいい車だったっけ? ってくらい気合い入ってましたよ!
新型カローラハッチバック(プロトタイプ)がすごい!走りもデザインもスポーティに磨かれた!
日刊カーセンサーは、中古車だけでなく新型車やドライブ、カーグッズ、レース&イベントなど幅広いジャンルの情報・ニュースをお届けするエンタメ系自動車サイトです。面白くて役に立つネタを全力で配信しています。
ウェブサイト: http://www.carsensor.net/contents/
TwitterID: carsensor
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。