日本とは違う? 一緒? 語らずにはいられないバンコクで見たいろいろなシーン
▲非常に親日で知られるタイの首都バンコク、日本人も多く居住している都市ですが、街のなかはいろいろと違っていること、または似ていることがあります。バンコクモーターショーを取材しつつ感じた、街中の様子を少しお届けしましょう
バンコクは日本と似ているところもあるけれど、車のエンジンは様々なところに流用され、巨大な中古パーツマーケットが存在する
バンコクの渋滞はかなりひどいもので、世界的にもトップクラスといわれています。そうした渋滞のなかでも警察官による交通違反の取り締まりはしっかりと行われています。
日本の警察官というと、服装規定などがかなり厳しい感じがしますが、バンコクのおまわりさんはちょっと違いました。
ものすごい排ガスのなかで交通整理をしたり、違反者の取り締まりをしなくてはならないですからその装備も特殊です。
強い日差しを避けるためにサングラスは必需品ですし、マスクをしていることも多いのです。ですからほとんど素顔はわかりません。
▲バンコクで交通関係を担当する警察官はサングラスとマスクが必需。高速道路でも生身で立って、交通整理や監視を行っている
車のナンバープレートは、日本のプレートとあまり変わらない縦横比です。
ベース色は目立ったところで白、黄色、赤の3色がありました。現地の方に確認したところ白は自家用、黄色は営業用、赤は仮ナンバーとのことでした。
仮ナンバーは高速道路を走ってはいけない、夜間は走ってはいけないなどのルールがあるそうですが、あちらこちらの高速道路で見かけましたし、夜間でも多く見られました。
日本で仮ナンバーを見かけるより明らかに頻繁に見ます。タイでは車を買うと仮ナンバーで持って帰り、その後正規のナンバーを取り付けるそうです。
仮ナンバーが多いということは、車が売れているということなんですね。
▲ナンバープレートの縦横比はほとんど日本と同じ感じ。公用ナンバーでもう少し横長のものを見かけることもあった
高速道路網はけっこう発展しています。とくに都市高速はしっかりと整備されているのですが、何しろ交通量が多いのです。
ですから道路が車をさばききれず、年がら年中渋滞しています。
料金所には現金払いのゲートと、日本のETCのような非接触型料金徴収システムのイージーパスとMパスのゲートがあります。
イージーパスとMパスは運営会社が異なり、以前は路線によっては片方しか使えなかったのですが、現在はどちらのシステムでもどの路線でも使えるようになったということです。
▲イージーパスとMパスを利用する車は専用ゲートを使うが、圧倒的に現金派のドライバーの方が多い
▲タクシーなどで高速道路を使う際は、乗客がそのたびに高速料金を支払うことが多く、運転手はあまり立て替えたがらない
▲渋滞を表示する電光掲示板も増えてきている
タイでは二輪車の人気も高く、バイクタクシーをはじめとして自家用の二輪車も多数走っています。
日本と大きく異なるのは、ほとんどがスクーターであるということです。日本でもスクーターは高い人気がありますが、タイはほとんどがスクーターといった雰囲気です。
なので、クラシックモデルもスクーターが人気で、街を歩いている間にはクラシックスクーターの専門店も見かけました。東南アジアではよく見かけるんですが、スクーターの後ろに横乗りしている女性も多かったですね。
▲ベスパを専門に扱っているショップの前に置かれていたのは、ペスパ・オールステート(アメリカ製ベスパ)の側車付きという世にも珍しいモデル
▲スカートの女性はバイクにまたがることはしないで、横乗りで後ろに乗ります
タイでは自動車のエンジンが、様々な場所で流用されています。
例えば、チャオプラヤ川を運行しているボートも専用のエンジンを搭載しているものもありますが、小さなボートなど(とくに全長が長くて、全幅が狭い長細いボート)は車用のエンジンからシャフトを伸ばしてスクリューを装着しているものをよく見かけます。
▲自動車用エンジンのクランクシャフトから直接動力をアウトプットしてポンプとして使用している例
じつはバンコク郊外、スワンナプーム国際空港の近くには巨大な中古パーツ街が存在しています。
この中古パーツ街は以前はバンコク中心部、ワットポーの近くのチャオプラヤ川沿いにあったのですが、政策によって郊外に移転されました。
ここを訪れて感じるのは、ボディさえあれば、何でも作れるのではないか? と思えるほどに様々な中古パーツが揃っていることです。
もちろんエンジンも様々な種類があり、ボートでもポンプでも何にでも使えそうです。
ここはタイ国内だけではなく、東南アジア各国にパーツを出荷するハブポイントにもなっているとのことでした。
一言でいってしまえば「たくましい」のがタイの社会。ぬるま湯につかっていると、いつかは日本は追い越されるのではないか? と思わせるほどに熱い。
▲中古パーツ街に積み上げられた各種パーツの数々。あらゆるパーツがこの一帯で手に入る
text&photo/諸星陽一
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