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『アイソレーション』カリ・ウチス(Album Review)

『アイソレーション』カリ・ウチス(Album Review)

 1993年生まれの24歳。エキゾチックな顔立ちに抜群のスタイル、ずば抜けたセンスと気の抜けたようでズッシリ入ってくる個性的なボーカル……と、アーティストとして必要なものを全て兼ね備えた、カリ・ウチス。生まれはコロンビアだが、育ったのは米ヴァージニア州だそうで、幼少期にはサキソフォンとピアノを習得し、学生時代から楽曲制作に勤しんでいたとのこと。

 2012年にリリースしたミックステープ『ドランケン・バブル』が、ラッパーのタイラー・ザ・クリエイターに注目され、2015年にはレディー・ガガに激似(?)のジャケ写がインパクト絶大だったEP盤『Por Vida』をリリース。翌2016年にはフィーチャリング・ゲストとして参加した、ダニエル・シーザーの「ゲット・ユー」がR&Bチャート5位のヒットを記録し、2017年には母国コロンビア・チャートで初のNo.1を獲得した、フアネスとのデュエット曲「El Ratico」が大ヒット。今年2018年1月開催の【第60回グラミー賞】では、前述の「ゲット・ユー」が<最優秀リズム・アンド・ブルース・パフォーマンス賞>にノミネートされ、ブレイクの足掛かりを築いた。

 本作『アイソレーション』は、彼女の才気が一気に高まったタイミングでリリースされたデビュー・アルバム。全曲をカリ自身が制作し、プロデューサーにはオータム・ロウやジャズ・ヒップホップ・バンドのBBNG(バッドバッドノットグッド)、デイヴ・シーテック、ゴリラズなど、ジャンルも様々な個性派たちがクレジットされている。鮮やかなブルーのベルベットに、真っ赤なドレスと合わせたで赤いアイシャドウを付けて寝転ぶジャケットも、センス抜群だ。

 まず、ボサノヴァ風のイントロ「Body Language」で、“このアルバムは間違いなくイイ!”と期待が膨らむ。ファレル・ウィリアムス率いる“i am OTHER”所属の女性ラッパー=ビアが参加した「Miami」、L.A.のトリップ・ホップバンド=ジ・インターネットのメンバーであるスティーブ・レイシーをフューチャーしたファンク・チューン「Just a Stranger」、カバー曲かと錯覚する6/8拍子の70年代ソウル「Flight 22」と、期待を裏切らない出来栄え100点満点の傑作が続く。

 フロアライクな「Your Teeth in My Neck」~ディスコノリのグルーヴ「Dead to Me」、ロックやヒップホップなど、様々なジャンルを取り入れたサイケデリック・ソウル「Feel Like a Fool」などのアップから、レゲトン・シンガーのレイコンとデュエットした、混じり気のない100%レゲエの「Nuestro Planeta」、エレクトロ・サウンドと絡み合う、タイトル通りのまどろむベッドルーム・ポップ「In My Dreams」、エコーが浮遊感を漂わせる美メロの「Tomorrow」など、スロウも完璧。2分弱ではもったいないネオソウル・チューン「Gotta Get Up」や、その先が聴きたくなる「Coming Home」のインタールードまで上質で、どこをとってもポテンシャルが高い。

 楽曲のみならず、ミュージック・ビデオもハイセンス。タイラー・ザ・クリエイターとブーツィー・コリンズが参加した先行シングル「After the Storm」のビデオでは、70年代風メイク&ファッションで妖艶に歌い、歩くカリが存在感を放っている。お菓子のパッケージとして登場するブーツィーと、庭の地面から上半身だけ突き出しラップするタイラーも、もはや芸術。本作は、「ブロッコリー」のヒットで知られるドラム(D.R.A.M.)の「Gilligan」を手掛けた、女性フォトグラファーのナディア・リー・コーエンが監督を務めたとのこと。

 個性的で唯一無二の世界観を表現するカリ・ウチスのデビュー作『アイソレーション』は、R&Bやヒップホップのみならず、ワールドからロック~カントリーまで、どのジャンルにも目を向けていて、音楽への拘りと意思の強さを感じさせられるアルバムに仕上がった。“売れる”ことに意識され過ぎず、このペースで長く活躍してもらいたい。ヒットに徹すると、こういうアルバムは作れなくなってしまうから。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
『アイソレーション』
カリ・ウチス
2018/4/6 RELEASE

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