2018年「住みたい街ランキング」関西版発表!上位にランクインした街の特徴は?
株式会社リクルート住まいカンパニー(本社:東京都港区 代表取締役社長:淺野 健)では、関西圏(大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県)に居住している20歳~49歳の男女4600 人を対象にインターネットによるアンケート調査を実施。「みんなが選んだ住みたい街ランキング2018 関西版」を発表した。関東版と同様に、今年から調査方法を一部変更したということだが、果たして気になる順位は?
TOP3に兵庫県が2カ所ランクイン 開発が進む「梅田」にも注目
関西の「住みたい街(駅)ランキング」の第1位は4桁の票を獲得して圧倒的な強さを見せる「西宮北口」。次いで2位「梅田」、3位「神戸三宮」。TOP3に兵庫県が2カ所ランクインする結果となった。住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)
住みたい街ランキング2018関西版の第1位は「西宮北口」
第1位に輝いたのは「ニシキタ」の愛称で親しまれる西宮北口。2位と419票もの差をあけ、ダントツの求心力を誇る。「住みたい街(駅) 年代別ランキング」でも20代、30代、40代のすべてで1位。世代ごとの評価に隔たりがないのが特徴。また兵庫県民のみならず大阪府民ランキングでも3位につけるなど他府県からの支持も厚い。「商業施設や交通が充実しており、行政の市民サービスもよい。実際に住んでいる人たちも住みやすいと言っている」(26歳 女性)といった回答も複数あり、実際のニシキタ居住者たちの高評価が、他都市へ伝播しているのも人気の一因なのだろう。住みたい街(駅)年代別ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)
ニシキタ人気の理由としては、交通の利便性のよさをあげる人が多い。阪急神戸線の特急を使えば大阪の梅田と神戸三宮までともにおよそ15分で着き、宝塚へと向かう阪急今津線との乗り換えも可能なアクセスのよさは他府県民から見ても魅力。この阪急神戸線は今年から始まった「住みたい沿線ランキング」でも1位を獲得。西宮北口の人気と沿線そのものの人気が相乗効果を生んでいる。
「洗練・高級」というイメージもあるようだ。西宮北口ならではの「プチ・ハイソ感」が心惹かれるポイントといえるのではないだろうか。住みたい沿線ランキングトップ5(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)
さらに関西最大級の駅前ショッピングゾーン「阪急西宮ガーデンズ」をはじめとするバラエティに富んだ商業施設の数々と、新築マンションなどの住宅供給の多さから、住まいの選択肢が豊富であることが高いスコアの理由だと考えられる。「阪急西宮ガーデンズ」の隣には甲南大学の西宮キャンパス「CUBE西宮」をはじめ駅周辺には大学や予備校が集まり、西宮北口が20代にもニーズがある原因のひとつではないだろうか。
このように西宮北口周辺は商・住・遊の三つ巴な充実ぶりが広く知られることとなり、若いファミリー層の移住が増えたおかげで、2016年には駅北東の徒歩圏内に「西宮市立高木北小学校」が新設された。少子化が叫ばれる昨今において小学校が新設される例は極めて珍しいと、ニュース番組で報道されたほど。さらに西宮市は待機児童対策を重く見ており、2018年度は民間保育所の整備補助に約18億1300万円を計上すると発表した。「文教住宅都市」を宣言する同市の面目躍如だろう。
大規模な再開発によって、夢だった居住が現実味を帯びる「梅田」
「住みたい街ランキング2018関西版」の第2位に輝いたのは大阪の「梅田」。大阪最大の交通の要衝であり、かつ商業集積地区ゆえに「住みたい街2位」という結果を不思議に思う方がいるかもしれない。
しかしいま梅田は、かつての繁華街という概念を大きく変えようとしている。その要因が「うめきた」(梅田の北部)の新活用。
大阪市は、7月からコンペがスタートするJR大阪駅北側の再開発区域「うめきた2期」(大阪市北区)の全容を発表した。これによるとエリア内は「全面みどり化」、つまり植物を全域に行き渡らせる計画があるとのこと。「まちびらき」は2024年の夏と伝えられており、そう遠くない将来、梅田には広大で心地よい緑地が現れる。そしてきっとその風景は、これまでの梅田の心象とは大きく異なるものであるはずだ。
「うめきた2期」だけではない。いま梅田はかつてない規模の一大再開発が行われている。先行して建てられた「グランフロント大阪」や、1928年に完成し1世紀近い歴史をいだく「梅北地下道」を閉鎖して行う梅田貨物駅跡地を中心とした通称「梅田北ヤード」の工事など、梅田は緑にあふれたカルチャーシティへと変貌を遂げている過程にある。こういった潮流を受け、URをはじめ、梅田のイメージチェンジをアピールする媒体も増えた。加えてJR西日本、南海、阪急が乗り入れる「北梅田駅(仮称)」設置事業が幕を開けた。これら可視化した「梅田の変化感」が人々の胸を躍らせ、都市の成長に期待をいだくようになり、2位というよい結果になったのではないだろうか。
さらに同市の、こういったワクワクさせるムーブメントは、近隣の地域にも影響を及ぼしている。隣接する福島、中津、扇町などがこのごろは「梅田圏」として紹介される例が増え、そこで供給されるタワーマンションも梅田の名を冠した物件が少なくはない。こうして梅田と呼ばれるエリアがワイド化し、そのため「梅田に住む」「梅田で暮らす」ことが実現可能になった。梅田を選んだ理由に「利便性が良いところ。通勤、ショッピングなど困ることがない点。マイホーム購入したとしても価値を維持できそう」(35歳 女性)と、「梅田」という地名自体のブランド力を高く評価する意見もある。こういった街の声を受け、「梅田圏」は今後もますます拡張してゆくとみられる。
開港150年を迎え再び注目を集める「神戸三宮」
「住みたい街ランキング2018関西版」の第3位は「神戸三宮」。「阪神、JR、神戸市営地下鉄と、すべての交通網に近く、百貨店やスーパーも充実している」(49歳 男性)と交通・商業両面の便利さを魅力だとする回答が多かった。
ここも梅田と同じく、大規模な再開発が進行中だ。神戸市は昨年11月、JR三ノ宮駅のそばに高層ツインタワービルを建設する再整備基本計画を発表。このビルは西日本最大級のバスターミナルとしても機能し、バスによるネットワーク結節の要となる。神戸三宮を居住地に選べば、バスによって行動範囲は一気に拡大するのだ。そういった生活向上に役立つ情報のアウトプットが増えたことが第3位という人気につながったのではないか。
また、先ごろ三宮ターミナルビル内の商業施設「三宮OPA」が閉館し、建て替え工事が始まっている。さらに阪急も神戸三宮の「神戸阪急ビル東館」の着工をスタートさせた。こちらは地上29階、地下3階という、近畿地方の駅ビルでは屈指のスケールを誇るものとなる。数年後には神戸三宮のシーンはがらりと変わるだろう。
神戸三宮の強みは、港を擁するゾーンがあり、船便の入り口という役目を担う点にもある。神戸開港150周年を記念する数々のイベントによりマスコミ露出の回数が伸び、寄港・出港する豪華客船の数も増えた。海からのインバウンドの流れも次第に整い始めている。海外から見た「観光地」という側面では大阪や京都に後塵(こうじん)を拝していた感がある神戸が、いよいよ動きだした。
関西では再開発とアミューズメントが「住みたい街」を決めるポイントとなる
こうしてTOP3を振り返ってみると、関西では居住地を選択するにあたり、再開発計画やそれに伴うアミューズメント感が重要視されているのではないだろうか。大規模な再開発の構想があり、行政がそれを実施すると発表し、報道が広く伝えると、「そこに住む私」を夢想しやすくなるのかもしれない。
ならば4位にランクインしている「なんば」は、2018年に完成予定の「なんばスカイオ」や、なんば高島屋大阪店前に誕生する予定の新広場など、今年から来年にかけて話題に事欠かず、今後はいっそうのランク上昇が期待できそうだ。
「草津」一強の滋賀県と、票が分散する京都
ベスト10のなかで注目したいのが、京都を圧し10位となった滋賀県の「草津」。琵琶湖に面して自然が豊かで、かつ商業施設が拡充し、特に隣駅の「南草津」駅周辺の発展は著しい。草津市の人口も年々増加の一途をたどっている。住みたい街(駅)居住府県別ランキングトップ10(滋賀県民/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)
居住府県別ランキングにおいても1位が「草津」、2位が「南草津」と実質草津市の圧勝。滋賀県において草津は一強と呼んで大げさではない。
「通勤に便利で気候もよく、住みやすい。治安もよく、町並みもきれいですごしやすい。京都・大阪へのアクセスがよい」(48歳 男性)と、交通の利便性に対して満足度が高い。自家用車がないと暮らしに不便という印象が強い滋賀県だが、電車移動が比較的ラクな点が好評価につながっているようだ。京都・大阪へのアクセスなら県庁所在地・大津のほうが早いのでは? と思ってしまうが、大津だと県境に近すぎ、反対に滋賀県内への移動が不便になる可能性もある。そんな草津の「ちょうどよさ」が訴求力となったのかもしれない。
ひとつのエリアが強大な支持を得る滋賀県に対し、得票がばらける傾向にあるのが京都。居住府県別ランキングの1位は「桂」だが、ポイントは152と得票数はそこまで高くはない。住みたい街(駅)居住府県別ランキングトップ10(京都府民/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)
この結果は、京都府民が「住みたい」に挙げた場所がいかに分散しているかの証し。しかも1位となった桂は他都市の上位と違い、繁華街ではない。インバウンドの影響をさほど受けぬ、静かに時を刻む街だ。にぎわいよりも落ち着きを優先する京都府民の気質がランキングに表われている。それぞれに思い入れの深い場所が異なるため票が集中しないのだろうか。世界遺産を数多(あまた)有しながらも総合ランキングTOP10に一カ所も顔を見せないのはそのためなのかもしれない。
「穴場だと思う駅ランキング」の1位は昭和レトロな風情の「塚口」
「穴場だと思う駅ランキング」の1位に躍り出たのが「塚口」。兵庫県ではあるものの大阪「梅田」までわずか5駅。阪急神戸線でランクインしているが徒歩圏内にJR福知山線の同名駅があり、縦横のアクセスを可能にしている。さらに阪急伊丹線の始発駅。ターミナルとして申し分ない。穴場だと思う(交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある)駅ランキング(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)
「程よく都会ではない感じで公園などの緑も残っているところが住みやすい」(44歳 女)と、洗練されすぎていない光景に愛着をもつという回答が複数あった。なるほど駅前は昭和ムードがいまなお横溢(おういつ)し、その気取らなさにほっとする人も多いようだ。とはいえランドマーク的存在だった「塚口さんさんタウン3番館」が昨年秋、老朽化を理由に閉館となり、跡地に商住複合型マンションの建設予定が発表された。この街もまた未来へ向けて表情を変えつつある。「穴場」の1位に選ばれたのも、街の蘇生に期待をいだく人が少なくないからではないだろうか。
それにしても、「総合ランキング」でも「穴場だと思う駅」のランキングでも、TOP3に2カ所ずつランクインさせた兵庫県の強さに驚かされる。
関西のランキングをつぶさに見てゆくと、関西人はなんらかのニュース性がある街を居住地に選ぶ傾向があるのかもしれない。これから様相を変えようとしている街が現れれば、順位はいくらでも変動するに違いない。「住みたい街(駅)ランキング関西版」は、関西のうごめきが分かる俯瞰図でもある。●参考
・2018年の結果を見る
「みんなが選んだ住みたい街ランキング2018 関西版」(PDF)/リクルート住まいカンパニー
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