気づいたときはもう遅い!? 一度マツダに乗ったら“人馬一体”のとりこになっちゃうかもよ
▲3月某日。山口県の防府工場見学に加えて、美祢(みね)試験場のサーキットコースにて現マツダの全モデル一気乗り体験もさせてもらう、という贅沢体験をしてきた!! そして参加者一同、“人馬一体”経験者となって東京に戻ってきたのだ
シュッとしたデザインと素敵なボディカラーの秘密を探りにいざ工場へ
今まで、メディア公開されることがなかったマツダ防府工場(山口県)。主力モデルの多くがこの工場から出荷されている、マツダでは国内最大の規模を誇る工場だ。今回、ひょんなことから工場好きな編集部員、わたくし大脇が見学に行ってきた。
仕事柄親戚や友人から最新の車事情や、気になる車について乗った感想などを聞かれることが多いのだが、最近はマツダ車に興味を持っているかのような質問が増えている気がする。
『ディーゼル? いやいや、最近のマツダはデザインと、何といっても色がいいよ、色が』
マツダといえばロータリーエンジンであり、スポーツカーメーカーの印象が強い。近年で言えば、ディーゼルエンジンによる余裕ある走りが個人的な激推しポイントなのだが、冒頭のような言葉を提案前に言い放ってくることが多い気がする。
このように車選びの第一歩は、デザインやボディカラーの印象が強く影響するようだ。
車に限らず、モノ選びというのは見た目からアタリをつけるものなので、まあいいだろう。
ただ、車は安い買い物ではないので、デザインや色が飽きたらどうするのだろう……と、他人事ながら心配してしまう。
やはり車は走る道具なので、運転のしやすさや楽しさも大事に選んでもらいたいと思っている。
こんなことを考えながらも、自動車工場の見学ができるうれしさで、久々にテンションフルマックス状態で防府工場内へと案内された。
▲工場見学用のコスチュームを着て気分は完全にマツダ社員。「コレヨリ、防府工場視察ヲ開始スル!! 皆ノ者、ツイテ参レ!」
現場は魂動デザイン実現のため、全員の知恵を結集していた
大きなメーカーならば、販売台数も多いので、同一ラインで同じ車をじゃんじゃん作り、手間もコストも削減できるが、マツダの規模ではそういうわけにはいかない。かといって、ラインを休ませていたらそれはそれで無駄なコストがかかるわけだ。
『ナニ!? アクセラの次に流れて来たのはデミオ?? 何とその次はCX-5だと!?』
▲そう。防府工場の製造ラインでは異なるモデルがバラバラに流れているのだ。しかもロボットも作業員も全く混乱する様子はない。塗装にいたっては黒い塗装を吹いた車の次に赤い塗装、次はシルバーと続く。これ、全く同じラインでの話だ。素人でもわかるこの不思議な光景に驚愕してしまった
『新世代モデルにシフトする際、工場では効率化と車両品質向上を図るためにモノ作り改革を行いました』
聞けば、モノ作り改革とはあのかっこいいデザインと素敵なボディカラーの車を、価格を抑えて量産するために、職人たちの知力を結集した改革だったようだ。
▲鉄板の切出し方法からプレス技術の工夫改善などで原料歩留まり(素材廃棄割合の減少)を向上させたうえに、製造ラインも高効率化。この技術によって、出荷順に車両製造を実現しているのだそうだ
確かに、車種ごとに製造ラインを分けていたらその分、人やスペースが必要になるし、大量の部品を在庫しておく場所も必要だ。
理屈はわかるが、実際にやってしまうとは……。いやはやマツダのモノ作り魂、恐るべし。
人馬一体というけれど、運転技術の高い人だけが得られる感覚でしょ?
マツダはよく『人馬一体』という表現を使う。TV-CMなどでご存じの方も少なくないはずだ。
直感的には何をメッセージしているか理解できるが、そんな感覚を車で得られるのか?
それは一定以上の運転技術を身につけている人や、運動性能の高いスポーツカーでの話でしょう、と疑っている人もまた少なくないだろう。
が、この人馬一体こそが、マツダファンがじわじわ増加している理由と断言したい。
▲今回、工場見学の他に現行型のマツダ車全モデルおよび、初代から現行型のロードスターを試験場内のサーキットコースで乗ったのだが、思わずここでマツダの言う「人馬一体」を体感&理解してしまったのだ
疲労より楽しさを感じる秘密は、日常で思ったとおりに車を操れる感覚にあり!
試験場の方の指示で用意されたコースを走るのだが、その指示が面白い。
区間ごとに時速20km、40km、60kmと維持すべき速度の指定があるコースを、一時停止を繰り返しながら走るのだ。勾配もあるため、アクセル操作による速度維持が何気に難しい。
▲コーナーを道路中央線に沿って、ステアリングの舵角を一定に固定したまま曲がっていかなければならない区間もある。これをマツダ車と他メーカーの車で試すことができた
結論、この一定の速度維持は全速度でマツダ車がコントロールしやすかった。ステアリング舵角固定ゾーンでも最もきれいなラインで走れたのがマツダ車だった。
また、停止時にカックンとならないブレーキングもマツダ車が一番やりやすかった。(なんなんだ、これは!? これがマツダ新型車の実力なのか!!)
『これはどの車が良いとかいう比較ではなく、各社の車に対する考え方の違いです』
マツダは、フル加速してタイヤを鳴らしながらコーナーを抜けていくような限界走行ではなく、日常の使用シーンでドライバーの運転負担を軽減するとともに、思ったとおりに車をコントロールできる性能を高めているということなのだ。
考えてみたら今回指定された速度はそれぞれ、駐車場を探しているとき、住宅街、流れのある一般道での速度に近い。
つまり、日常で使う速度域で「感覚どおりに加速していく」「狙った速度を維持しやすい」「思ったとおりに曲がる」「スムーズに停車できる」ことを徹底追求していたのだ。
なんだか、前から自分に慣れていて言うことを聞く馬に乗っているような感覚……。(しまった! これがマツダの言う人馬一体かーーーー!?)
マツダが考える車と人の関係性
昨今、注目度が日に日に高まっている自動運転技術。この技術が完成したならば、日常生活における移動というシーンでは、便利極まりない。
現時点で車に対する興味関心が薄い人も絶対に注目するに違いないだろう。車の「新しい楽しみ方」が加わるのだから。
一方、冬季オリンピックに見た、アスリートたちの「道具を使いこなす技」は華麗の一言に尽きる。
レベルはさておき、彼らと同じ競技を趣味レベルで楽しむ人たちも多い。ロードバイク(自転車)などもそうだろう。
この「道具を使いこなす技」には、「道具の良し悪し」や「技術レベル」が組み合わさることで、『操る楽しさ』を体験している行為とも言えるだろう。
普通の人が操れる最速の道具である“車”にも同じことが言えないだろうか。
マツダとは、そんな車と人の関係性を作ろうとしているメーカーなのだろう。
お気に入りのデザインや色であることも大事だが、自分が思ったとおりに操れる車で走ることができたら、絶対に『楽しい』はずだ。
text/編集部 大脇一成 photo/マツダ株式会社
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