丁度よく盛り上がり、グッと場がしまる「乾杯の発声」テクニック

これまで3000回以上のMCを経験されてきた丸山久美子さんに、「上手にあがりを隠して、人前で堂々と話す・ふるまう方法」について伺う連載の第7回目。今回のテーマは「ちょうどよく盛り上がり、ぐっとしまる、乾杯の発声の仕方」についてです。年度末や年始、歓送迎会で飲み会続きの方も多いかもしれませんね。ぜひ参考にしてみてください。f:id:k_kushida:20180313103229j:plain

丸山久美子(まるやま・くみこ)

まるっと空気を掴むMC、展示会専門接客アドバイザー

1982年、和歌山県生まれ。「人前で話せるようになりたい!」という憧れを叶えるべく、20歳で展示会プレゼンターとしてデビューするも、本番中にてが震えてマイクを落とすなど、さまざまな大失敗を繰り返す。「あがりを克服する方法」や「緊張をなくす方法」を模索するが、改善どころか逆にあがりに拍車がかかり、体調にまで悪影響が。しかし、憧れを捨てきれず、「あがり」や「緊張」と向き合い独自のメソッドを開発。再スタートを図る。以来、展示会やイベントへ3,000回以上出演し、リピート率90%を超える人気MCに成長。2015年から講師活動を開始。「人前で話せるようになりたい!」と願う全国の人々へ、「あり方とやり方」の両面から具体的なノウハウを提供している。

Twitter:Kumiko Maruyama

春、歓送迎会の季節ですね!歓送迎会で必ず行うのが“乾杯”!でも、どうやって音頭をとれば良いのか分からない人も多いのではないでしょうか?

今回は、盛り上げたい飲み会から、きっちり整えたいホテルで行うパーティーなど、あらゆる乾杯シーンで使えるテクニックについてご紹介します。

こんにちは!

まるっと空気を掴むMC・丸山久美子です。

「乾杯役を任されたけど、何を言えば良いか分からない!」普段は全く気にしていないのですが、この時季は、そんなお悩みが増えるタイミングでもあります。乾杯は1人しか任されない目立つ役。せっかく任された大役ですし、盛大に場の空気を盛り上げたいですよね。

私はMCとして、結婚式や表彰式などあらゆる式典の乾杯を見てきましたが、「上手!」と感じる人は、ごく一部しか居ませんでした。つまり、ほとんどの人は乾杯を盛り上げる事ができていないのです。そんなリアルな現場から集めたエトセトラを紹介しますので、ぜひ実際の乾杯シーンでお役立いただけましたら幸いです。

乾杯前のスピーチは短く

あらゆる現場を見てきて言える事は、乾杯前のスピーチは「短い方が良い」という事です。スピーチ自体もそうですが、1文1文も短い方が好印象なのです。

【よくあるスピーチ例】

「ただいまご紹介にあずかりました、営業部のAです。今日はBさんの送別会という事で、え~・・。Bさんとは同じ部署で、大変お世話になりました。」

【好印象なスピーチ例】

「営業部のAです!Bさんの送別会!という事で!Bさん!大変お世話になりました!」

乾杯は、宴会開始の合図。誰しもが「やっと開宴だ!」と前のめりになるタイミングです。

スピーチ自体を短くまとめると同時に、1文1文も短く、歯切れ良く進めましょう。テンポの良いスピーチは、乾杯への期待感も高める事ができます。

1文1文を短く!ぜひ使ってみてください。

盛り上がる「乾杯!」の言い方

乾杯役の人の多くは、乾杯の“言い方”ではなく“スピーチの内容”を考えてきます。もちろん、スピーチの内容を考える事は大切です。しかし、見落としがちなのが、乾杯の“言い方”。どれほど素晴らしいスピーチをしても、どれほどテンポ良くスピーチができても、いざ「乾杯!」と音頭をとるときの言い方が下手だと、盛り上がりに欠けるヌメッとした空気になってしまうのです。では、何と言えば乾杯を盛り上げる事ができるのでしょうか?

私がMCとして様々な乾杯現場を見てきて、これがベスト!と辿り着いたフレーズがコレです。

「それでは!声高らかに!ご唱和ください!乾杯!」

このフレーズを使えば、必ず会場から大きな声で「乾杯!」と声が返ってきます。一緒に乾杯!って言ってね~!という指示がしっかり伝わる言い方なので、聞いた側も声が出しやすいのだと思います。

このフレーズを知ってから、私自身も乾杯を行う際に必ず使うようになりました。確実に場の空気が盛り上がるので、以前なんとなく言っていた「…では、乾杯!」などの言い方には戻れなくなりました(笑)騙されたと思って使ってみてください。本当にオススメです!

乾杯を盛り上げる司会術

司会を任された場合に使えるテクニックも紹介したいと思います。

司会として大切なポイントは、乾杯までの流れをスムーズに誘導する事です。ほぼ100%の確率で、乾杯前にはスピーチがあります。司会がこのスピーチ部分を上手に誘導できるかで、場の空気が大きく左右されるのです。乾杯役をAさんとして例を挙げてみますね。

例えば、司会が「それでは、Aさん。乾杯のご発声をお願いします。」と言うと…

それを聞いた全員の手は、自然とグラスに向かいます。もうすぐ乾杯するから準備しなきゃ!という気持ちになるのです。しかし、実際はどうでしょう?スピーチがあるので、すぐに乾杯は行いません。すると、準備万端で待っていた人達のテンションはどんどん下がってしまい、会場の空気がドンヨリしてきます。

残念な事に、超有名ホテルの結婚式でも、この様な誘導をするプロ司会者は大勢居ます。しかし、いくらプロがやっている言い方でも、場の空気を盛り下げては意味がありません。

もし、あなたが司会を任された場合は、場の空気が盛り上がるよう、上手に誘導をしてあげてください。

ひとつひとつ誘導してあげる事がポイントです。

「それでは、乾杯に先立ちまして、Aさんからご挨拶をお願いします。」

まず、スピーチをお願いするのです。これなら、その場の全員が話を聞く体勢を整えることでしょう。

次に、Aさんのスピーチが終わり、いよいよ乾杯に移るタイミングでこう言います。「それではグラスをご用意ください。」準備へと誘導します。

最後に、「ではAさん、乾杯の音頭をお願いします。」で完璧です。

このように、司会を任されたら「スピーチ→準備→乾杯!」と、上手に誘導してあげましょう。

【参考図書】

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『上手にあがりを隠して人前で堂々と話す法』

著者:丸山久美子

出版社:同文舘出版

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