泣いたゴリラ
この記事は猿矢 晃さんのブログ『優しい唄歌い』からご寄稿いただきました。
泣いたゴリラ
世界で初めて人間と手話で会話したゴリラ。それがココです。
ココはメスのローランドゴリラ。生後3か月で病気にかかっているときに、パターソン博士と出会い手話を教わりました。そしてなんと1000語もの単語を習得したココは、手話でパターソン博士と会話ができるようにまでなりました。例えば、虫歯で歯が痛いことをココは手話で伝えて、治療してもらったりしています。以下の動画*1で、ココの手話の様子がわかります。
*1:「Koko Speaks To Us」『YouTube』
http://www.youtube.com/watch?v=Po2JGdx9WBI&feature=player_embedded
そしてココとの対話により、人類は人間以外の動物が何を感じ何を考えているのか、初めて知ることになったのです。
例えば有名なお話として、ココと子猫のボールの話があります。パターソン博士は、ココにたくさんの絵本を手話で読み聞かせてあげました。ココは猫の絵本がすごく気に入って、誕生日プレゼントに猫をおねだりしたのだそうです。3匹の子猫を見せると、その中から自分と同じようにしっぽのない1匹を選び、母親のように体をなめてやったりしてすごく可愛がったのだそうです。
子猫に“ボール”という名前をつけて、とてもとても可愛がっていたのですが、ある日ボールは車にひかれてしまって亡くなってしまいました。その話を手話で聞いたココは……なんとボールの死を理解し、とても悲しいと手話で話したのです*2。
*2:「Koko the Gorilla plays with her kitten, All Ball」『YouTube』
http://www.youtube.com/watch?v=XqTUG8MPmGg&feature=player_embedded
ではココは死をどのようなものだと認識しているのでしょうか。ココが研究者ムーリンと“死”について会話した内容を以下に記載します。
※ムー=ムーリン
ムー:念を押しますよ、このゴリラは生きているの、それとも死んでいる?
ココ:死んでいる さようなら。
ムー:ゴリラは死ぬとき、どう感じるかしら? ――しあわせ、かなしい、それとも怖い?
ココ:眠る。
ムー:ゴリラは死ぬと、どこにいくの?
ココ:苦労のない 穴に さようなら。
ムー:いつゴリラは死ぬの?
ココ:年とり 病気で。
「苦労のない 穴に さようなら」
動物のなかで人間がいちばん賢いと思っていましたが、もしかしたら、死とか生とか根源的な概念に対しては、動物たちのほうが深く直感的に人間よりも理解しているのでは? と思ってしまいました。「苦労のない 穴に さようなら」は、実際には「Comfortable hole bye」と語られたのだそうです。
苦労のない穴ですか……もしかして“死”ってそんなに恐ろしいことではないのかな、なんて考えてしまいます。自然から離れて生きる人間は、“死”を直感的に理解できず、未知のものとして極度に恐れるわけですが、大自然のなかで生きる動物たちは、人が思うよりも、“死”を優しい存在であると認識しているのかもしれません。
執筆:この記事は猿矢 晃さんのブログ『優しい唄歌い』からご寄稿いただきました。
ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。
TwitterID: getnews_kiko
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。