Mavic Pro対抗「GDU O2」の実機を用いてフライト機能や機体構造をご紹介

DJI Mavic Pro の対抗馬として注目されている小型 GPS ドローン「GDU O2」を入手したので、公式発表だけでは分からない GDU O2 の機能や構造、注意点をご紹介します。GDU O2 は、独自のスライドアーム方式によりアームを機体内部に収納できるだけでなく、付属の送信機と合体することにより可搬性に優れた製品です。付属のポーチに入れると、まるで弁当箱のようにカバンやバッグに入れて持ち運べます。DJI Mavic Pro を強く意識して開発された GDU O2 ですが、価格は $732(約 79,000 円)と安く、それが大きな魅力です。最初にご紹介するのは何と言っても注目の機体構造です。アームは本体内部に収納されており、手でアームを引っ張り出して展開します。折りたたみ式ではなく、スライド式です。スライド式の場合、アームは機体内部に配置されることから外観的にスリムです。またアームと機体の接合部分が節になっていないため、フライト中に不意にアームが折れ曲がったりする心配もありません。しかしモーター底部の台座を力を込めて引っ張り出し、押し込んだりすることになり、その時の力によって大事なアーム部分がイカれないか心配になります。何より心配なのがアームを収納する時です。プロペラが機体側を向いていることに気付かずアームを押し込んでしまうと、プロペラが支えになり破損する恐れがあります。また、アームを規定の長さまで伸ばしておかないと飛行が安定しません。GDU O2 の場合は白いラインが見えるまでアームを伸ばします。プロペラは 2 枚のブレードが遠心力で展開する仕組みですが、星型ヘッドのボルトでモーターに固定されているので、DJI ドローンのようにワンタッチで交換することはできません。なお、モーターの底部には折りたたみ式のランディングギアがありますので、アームを出し場合にはこの部分を活用すると良いでしょう。容量 4,000mAh のフライトバッテリーは本体の上部に挿し込む仕組みです。平べったくてかなり重たいです。電源 ON / OFF の仕方は DJI ドローンと同じです。GDU O2 の機体と送信機はほぼ同じ大きさで、送信機の上部と機体底部のマグネットで合体します。2 段式の弁当箱のような厚みになります。両方を繋ぐマグネットの磁力は意外と強く、送信機を持って逆さまにするだけで機体は落ちない程度です。送信機はスマホ用ゲームパッドのようなデザインで、USB ケーブルでスマートフォンと接続します。ケーブルは標準で Lightning が装着されていますが、Micro USB と Type-C コネクタも同梱しており心配する必要はありません。注意点は送信機の充電にオーディオケーブルのような専用ケーブルを使用する必要がある点です。送信機を充電する際にはお気を付けください。ここからは操縦の要となるスマートフォン用アプリ「GDU Mini」の機能をご紹介します。アプリは Google Play ストアや Apple Store で配信されています。アプリも DJI を意識しており、異なる部分は多々ありますが、機能や操縦方法は DJI Go 4 そっくりです。GDU O2 の主要な機能にはジョイスティックを使ったマニュアル操縦や自動離陸・着陸、ワンキーリターン、写真・動画の撮影、ジンバル操作の他、ドローニー撮影、ロケット撮影、フォロミー(送信機を追尾)、アクティブトラックのように被写体を追尾しながら旋回する「ビジョンサークル」、オービット飛行(送信機の周りを旋回)、Point of Interest(POI)、ウェイポイントフライト、ジオフェンス設定(地図上で飛行可能な範囲を設定する機能)といったものがあります。GDU O2 は多機能にも見えますが、これらの大半は DJI ドローンでも既にサポートしており、特に真新しい機能は見当たりません。しかもこれらのインテリジェントフライト機能の完成度や実用性、安定性は DJI ドローンの方が優れているので、空撮目的にフライト機能を重視している方は再検討することをおすすめします。何が優れているのか、その一つは上下左右に可動する 3 軸ジンバル付きカメラです。ブレはほとんど無く、下だけではなく、上にも左右にもカメラを操作することができます。そして送信機のジンバルリセットボタンを押すだけでカメラの向きの元の位置に戻せます。これが意味するのは、単純にホバリングや直進飛行の状態で地表を舐めるような空撮が可能だということです。これは DJI のエントリーモデルに無いアドバンテージになるので、この機能は非常に大きなメリットだと言えます。カメラは送信機に付いている 2 つのダイヤルで操作できます。カメラそのものも Sony 製をイメージセンサーを使用しており(1/3 インチですが・・・)、写真や動画の画質もそこそこ良好です。また、本体に 16GB のストレージを装備しており、Micro SD カード要らずである程度の空撮が可能です。カメラハードウェアよりも豊富な撮影機能を有している点が GDU O2 の大きな特徴と言えます。写真だと 5 倍のデジタルズームをしながらの連写、カウントダウンタイマー、枚数を変更できる連写、連続撮影(何秒おきに撮影)が可能。動画だとタイムラプス撮影やスローモーション撮影が可能です。また、カスタマイズできるカメラパラメータは EV とホワイトバランスのみで、画面をタップして露光量を調節したり、AF / AE ロックやパノラマ撮影を利用することはできません。GDU O2 のマップ機能も見逃せません。FPV ビューとマップビューはワンタッチで切り替わり、マップビューでは直接、ウェイポイントフライトのミッションを作成したり、地図上に沿って仮想的なフェンスを敷く「ジオフェンス」を作成することもできます。ウェイポイントフライト機能は個人的に重要な要素です。その点において GDU O2 は私の需要に亭号します。Mavic Air が発売された今となっては GDU O2 は過去の物になりましたが、そうとは言っても中々充実した機能を持ちながら Mavic Pro や Mavic Air よりも大幅に安いことは十分魅力的です。ただ個人的には、GDU O2 に敢えて冒険するよりも、国内版がちゃんとあって評価も良い、そして予備バッテリーを含むアフターパーツが充実している点を考慮すると、選ぶべきなのは DJI ドローンでしょう。バッテリーは標準で一つしか同梱せず、現状だと単品販売はされていないようなので、今は見つけるのがとても困難です。またランディングギアの高さも気になります。一応モーター底部に折りたたみ式のものが付いていますが、かなり低く地面の凹凸で着陸時にジンバルの接触が懸念されます。少なくともランディングギアは高くしたいのですが、今はそれさえも見つかりません。GDU O2 の機体としての魅力は十分高いものの、実際の運用やメンテナンスを考慮すると様々な問題に直面します。こうした観点からやはり国内で正規に販売されている製品を選ぶべきだと思います。

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