中国人に聞く日本で働く・暮らすって?「バイト先のみなさんから“私たちは家族だよ”と書かれた手紙をもらった時は、感動で涙が止まらなくなりました」
外国人から「日本で働く・暮らす」って、実のところ、どのように見られているのでしょうか?そこで、フロムエーしよでは、さまざまな外国の方から見た日本をご紹介していきます。第10弾は、中国出身の「Yayu(ヤユウ)」さんです。
京都の小料理屋のバイトは素敵な年配のご夫婦が、娘のように可愛がってくれました。
――あなたが日本で経験したバイトはどういったものでしたか?
忘れられないバイト経験が、京都の小料理屋での接客です。
勤務時間は18時~22時の週5日で、時給900円。賄いもありましたね。
この仕事を選んだ理由は、日本と日本語を勉強することができると、家から近くだった(歩いて10分)の2つからです。
――当時の上司や同僚はどんな存在でしたか?
京都の小料理屋は素敵な年配のご夫婦が経営していて、私を娘のように可愛がってくれました。
大将は若い頃に行ったアメリカの話を楽しそうに語ってくれたり、中国の文化に興味があるようでしたね。
お客さんがいない時にはたくさん会話をして、それが日本語の上達にすごく役立ちました。
同僚には日本人の女の子がいました。
彼女はとてもいい人だったんですが、物静かなタイプ。
最初は彼女に嫌われているのかなと思いましたが、すぐにただの恥ずかしがり屋だと気づきましたね。
――そのバイトの最も楽しかったエピソードを教えてください。
最高の思い出は、異国にいても周囲の人に愛されていると感じた時かな。
ちょうど誕生日にバイトがあったんです。
普段夕食の賄いをスタッフルームで食べてから仕事を始めるんですが、大将が「ちょっと待って」と言うんです。
そしたら突然…大将と奥さん、他のスタッフがハッピーバースデイを歌いながら入ってきたんです。
しかもスペシャルディナーをご馳走してくれて、小さなケーキと手紙までくれたんですよ。
手紙の「私たちは家族だよ」というフレーズを読んだ時は、もう涙が止まらなくなりました。本当に感動して、たくさん勇気づけられました。
高校生がバイトをすることには驚き!中国でそんなことは考えられない
――日本のバイトで一番驚いた日本人の行動・考え方は何ですか?
高校生がバイトをすることには驚きました!
中国では、高校生の使命は一つだけ、「勉強」です。
それと、日本人は対面コミュニケーションが苦手で、テキストメッセージで済ませますよね。休憩時間に同じ部屋にいても、日本人は携帯でチャットしていて、お互いに話をしません。
日本人の元同僚は、私に一緒にランチをしないかってメッセージを送ってくるんですが、私たちのデスクは隣ですよ?
中国では直接聞くだけ。「ねぇ、一緒にランチ行かない?」とても簡単ですよね!
――ご自身の国で10代後半~20代前半の就業意識・キャリアプランはどういったものですか?
中国の高校生はほとんどの時間勉強しています。
バイトの時間はありません。
すべては高考(中国の大学入試統一テスト。中国には大学ごとの入試がなく、この試験一発勝負)のためです。
勉強して、良い学校に入り、賃金の良いホワイトカラーの職につき、然るべき相手と結婚する。
中国では幼少の頃からこういった考え方を叩き込まれるます。
ただ、やっぱり時代は変化していて、2016年の統計では大学生の69%がアルバイトをしているみたいですね。
「チャンスは備えあるところに訪れる」
――「天職が見つからない。やりたいことが見つからない。」という悩みにどんなアドバイスをしますか?
「今熱中している事は何?将来の夢はあなたにとって何を意味するの?」と、自分自身に問いかけてみてください。
どんな仕事でも、したくない仕事や好きではない仕事でも、そこから必ず何かを学びとることができると信じてください。
そして学ぶことをやめず、決して夢を諦めないでください。
「チャンスは備えあるところに訪れる」というルイ・パスツールの名言を心に刻んでください。
――日本で暮らして、驚いたこと/好きなところ/嫌いなところを教えてください。
驚いたことはたくさんあります!
電車やバスが1分でも遅れたら、謝罪をアナウンスする。
日本以外ではちょっと聞いたことがありませんね。
それと日本には野菜とかフルーツの無人販売所がありますよね。
支払いが買い手の良心にゆだねられるなんてビックリです。
初めて無人販売所を見た時から日本を好きになり始めました。
あと、春には桜、夏には花火やお祭り、秋は美しい紅葉、そして冬は雪等、季節の移り変わりが大好き!
逆に嫌いなのは、駅の外の喫煙所と、電車のラッシュアワーかな
日本人は「本音での対話」をもっとすべき!
――日本にも取り入れて欲しい・理解して欲しいあなたの国の文化・慣習を教えてください。
ほとんどの日本人は本音や感情を表に出して話そうとしません。
中国ではストレートに本音をぶつけます。
それで傷ついたり怒ることもありますが、無駄な時間を食いません。
本音の対話は、物事をシンプルに解決してくれると思います。
―― 日本で最も感動したエピソードを教えてください。
買ったばかりの自転車をたった4か月で盗まれたことがあったんです。
すごく落ち込んだんですが、中国では盗まれたものが戻ってくることなんてないので、警察にも言わなかったんです。
それが2か月後、警察から「自転車が見つかった」と連絡があったんです!!!
登録番号で私のものだと分かったみたいで。
警察に着くと、電話をくれた警察官は満面の笑みで対応してくれて、見事自転車に再会できたんです!
こんなこと日本でしか起こりえないですよ!
―― あなたにとっての手本、目指したい人物を教えてください。
私の両親ですね。
父は書家で水墨画のアーティストで、独学で学び続けています。
母は今年65歳なんですが、水墨画を学び初めました。
両親は学ぶことに遅すぎる事はないと教えてくれました。 ■プロフィール:Yayu Wang (オウ・ヤユウ)
38歳女性、中国出身
中国で芸術教育を学び、卒業後は小学校教師として勤務。その後、2002年に来日し、2007年に京都の大学を卒業後、ソフトウェア開発会社にてブリッジシステムエンジニアとして8年間勤務。2015年、大手の地図出版社に転職し、中国本土と香港市場のマネージャーとして勤務。現在はフォトグラファー、アーティストとしても活動中。サイトURL:https://www.yayalandstudio.com/
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