2019年に「東海道新幹線」から“完全消滅”するものとは?
日本を代表する高速鉄道「東海道新幹線」。
50年以上の歴史の中で数々の進化を続けてきましたが、来る2019年末、一つのエポックメーキングを迎えることになります。それは現在、主に「こだま」で運用されている「700系車両」の引退。
700系車両の引退によって今後、東海道新幹線はどのように変わるのでしょうか?
20世紀最後の車両「700系」とは?
20世紀末の1999年、東海道新幹線でデビューした「700系新幹線車両」。その700系車両の数年前にデビューして、今もなお人気が高く、現在は山陽新幹線エリア内を運行している「500系新幹線車両」は、高速化を目指した開発を突き進めた結果、乗降性や居住性、また製造コストが高くついてしまうなどのデメリットがあり、大量生産されませんでした(なお、500系車両とは「エヴァンゲリオン仕様」のデザインで注目を集めていた例の車両です)。
こうした500系車両の経緯から、スピードよりも快適性やコスト性重視の車両が新たに必要となり、本題の700系車両は誕生しました。
700系登場後は、500系や、その前にデビューしたのぞみ型車両「300系」と比べて抜群に居住性(乗り心地・静音性や空調性能)が向上し、生産コストも削減。その後、現在の主力車両である「N700系」が登場するまでの数年間、大量生産されました。
それによって当時まだ運行されていた、開業時から走り続ける「0系」は1999年に、二階建て車両「100系」は2003年に、それぞれ700系車両に置き換わり引退することに。
そして東海道新幹線の全列車が「最高速270キロ」の性能に統一され、全車平均数分程度のスピードアップを実現したのです。
2019年末、700系車両引退で東海道新幹線は何が変わる?
700系車両の登場によって大きく変化した東海道新幹線ですが、来る2019年末、今度は700系車両の引退によって東海道新幹線にどのような変化が生じるのでしょうか。具体的にご紹介していきます。
●喫煙車両完全撤退
若手の方はご想像できないかもしれませんが、東海道新幹線誕生時は全車両でタバコが吸えました。というか、新幹線に限らず寝台列車の一部や通勤電車をのぞけば、ほとんどの車両で普通に喫煙していた時代があったのです。
1976年、「こだま」の1車両に初めて禁煙車両を導入以降、時代ニーズの変化に合わせて禁煙車両の比率が少しずつ高まり、1990年代には全車両の約半数~7割が禁煙車になりました。
現在、東海道新幹線で運行されている車両の中で唯一、700系だけが「喫煙車両」を有していたのですが(全16両中3両が喫煙車)、ついに東海道新幹線の「喫煙車両」は消滅。今後、愛煙家は「喫煙ルーム」を利用することに。
●全席電源コンセント付きが当たり前に
現在主力のN700系から本格的に導入された電源コンセント(700系でもごく一部に設置されています)。今はグリーン車全席と普通車窓側、最前部席、最後部席に配置されています。しかし、2020年以降本格導入される新型車両(N700S)では全席に電源コンセントが設置される予定です。これは出張の多いジネスパーソンにとって朗報なのではないでしょうか。
●全車両の最高速度が「270から285キロ」に!
700系によって、全車両が最高速度270キロに統一され、全体的なスピードアップを達成したことと同様に、今回の700系引退で全車両が「最高速度285キロ」に統一されます。
しかも最高速度以上に「加速度」が全体的にアップするので、加速・減速を頻繁に繰り返す「こだま」のような車両が最新車両に置き換わることで「こだまのさらなるスピードアップ」により「こだまを追い越すのぞみやひかりも、これまで以上に長距離高速運行が可能」という流れに。
その結果、全体的なスピードアップが可能になり、現時点では未定ながら早朝深夜だけでなく、日中時間帯含め数分程度のスピードアップが実現しそうです。
※参考までに…2015年、早朝深夜を運行する一部「のぞみ」の最高速度が270キロから285キロに引き上げられた時は、東京~新大阪間が3分短縮されました
さらには、「トイレ便座に温水洗浄機能」「トイレや洗面台含め、車内すべての照明がLED化」といった、快適性向上の流れは加速していきそうです(自動販売機が廃止されますが…)。
今後、ますます早く利便性を高めていく東海道新幹線。
出張などの折にその変化をぜひ体感してみてください。
WRITING:山田モーキン イラスト:海月あいる
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