磁性流体(Ferrofluid)の動きが面白い『Nano Tree』 開発のきっかけは日本のアートプロジェクト『突き出す、流れる』

磁性流体(Ferrofluid)の特性を活かした動きが面白い『Nano Tree』というアーティスティックな商品が販売されています。

Nano Tree | Ferrofluid Sculpture by Concept Zero(YouTube)
https://youtu.be/tO7ADOPTo44

“磁性流体”とは簡単に言うと、砂鉄みたいに“磁石に引き寄せられる性質を持つ液体”のことです。『Nano Tree』は、ハンドメイドで作られた赤樫の台の上に30mlのガラス容器が置かれ、その中で2.5mlの磁性流体が木をかたどっています。磁石を近づけると磁性流体の木が変形しますが、離すと元の形へと復元するというユニークな動きをします。価格は89.99米ドル(約1万円)で、サイズは2.5×2.5×4.5インチ、色は黒、青、金の3色から選べます。対象年齢は18才以上となっています。

『Nano Tree』の開発・発売元である米ニュージャージーのデザインスタジオ、Concept ZeroのNikola Ilic(以下、Nikola)氏に取材しました。

―なぜ磁性流体に特化した商品を開発・販売するConcept Zeroを創業したのでしょうか?

Nikola:『YouTube』で『Protrude, Flow』というタイトルの動画を見たことがきっかけです。アート分野において磁性流体を活用した元祖と言われている児玉幸子氏(メディアアーティストで電気通信大学准教授)と竹野美奈子氏(陶芸作家)の作品です。※2001年の第5回文化庁メディア芸術祭で、デジタルアート(インタラクティブ)部門の大賞を受賞した磁性流体のアートプロジェクト。日本語では『突き出す、流れる』

Protrude, Flow(YouTube)
https://youtu.be/c4rLG5Aaie4

この動画を見て磁性流体に夢中になってしまいました。そして、“容器の中に磁性流体を入れる”というアイディアが生まれました。

―いつから磁性流体を使った商品を開発しているのですか?

Nikola:2008年に初めて磁性流体を購入し、研究開発に2年かかった後、ようやく初めて商品化することができました。

―『Nano Tree』や他の磁性流体関連商品を購入しているのはどういった人達ですか?

Nikola:科学やアートに興味がある人達です。『Nano Tree』などを購入後、自分の好きなように全く別の新しいものに作り変えている人が多いようです。

―日本へも『Nano Tree』は発送していますか?

Nikola:もちろんです。公式サイトのほうで送料は自動計算していますが、おそらく25~28米ドル(約2800~3180円)程度だと思います。

―磁性流体に特化した商品だけで経営が成り立つものなのでしょうか?

Nikola:おかげさまで2010年からなんとかやっていけています。『Nano Tree』は発売したばかりですが、すでに初回用意した50個が完売間近となっています。『Nano Tree』を増産するための素材を追加発注したところです。

『Nano Tree』以外にもキャンバスや砂時計ならぬ磁性流体時計など、Concept Zeroの公式サイトには動きが面白い商品がそろっているので、興味があれば下記リンクから直接購入することが可能です。

Concept Zero商品一覧
https://www.czferro.com/products/

日本人アーティストから多大なる影響を受けたアメリカ人が開発した『Nano Tree』。『Nano Tree』が若い日本人アーティストを刺激して、磁性流体を使った新たなアートへとつながっていけば面白いですね。

※画像:
https://www.czferro.com

※ソース:
http://sachikokodama.com/about/
http://www.iamas.ac.jp/interaction/i01/works/J/sachiko-minako.html
http://archive.j-mediaarts.jp/festival/2001/digital-art-interactive/works/05di_Protrude_Flow/

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 6PAC) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. 磁性流体(Ferrofluid)の動きが面白い『Nano Tree』 開発のきっかけは日本のアートプロジェクト『突き出す、流れる』
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。