魔女が鍋でグツグツ煮込んでいるものは……実はビールだった!?

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ハロウィンといえば仮装ですが、定番の魔女仮装をした人も多いのではないでしょうか。

不思議な薬を作ったり魔術が使えたり、どこまでが本当に出来ることなのか、とてもミステリアスな存在。よく魔女のイメージとして描かれるのが、グツグツと不気味に煮えたぎる大きな鍋をかき混ぜている様子。魔女は一体何を煮込んでいると思いますか?

「実は魔女が煮込んでいるのはビールなのかも」なんて面白い話を聞いたので、少し紹介します。

イギリスでは、中世までビールは各家庭で作られていて、ビール作りは女性の仕事。まさにおふくろの味というように、オリジナルの組み合わせやスパイスでその家ならではのビールが作られていたそう。

アサヒグループのホームページにある『世界のビールの歴史』<6世紀~14世紀 エールビールの発展>にもそんな記述が。

各家庭に伝統のレシピがあり、その家の娘が嫁に行く時の嫁入り道具は、家の伝統のレシピとビール仕込み用の鍋でした。それほど、女性たちはビール作りに習熟していたとも言えます。エールハウスが繁盛していき、新規参入が相次いでいくと、ビール作りができる魅力ある女性は、エールハウスの主人になっていきます。これらエールハウスの女性は「エールワイフ」と呼ばれていました。旨いエールビールが作れるエールワイフは尊敬され、男性達に人気がありました。エールワイフは男性のアイドルでもあったのです。反面、エールワイフは魔女のようにも考えられていました。エールハウスによっては、分量を偽ったり、混ぜ物をしたビールを売りつけられたり、酔った客の財布が抜き取られることがあったからです。そういったエールワイフへの刑罰は、例えば分量をごまかしただけでも火あぶりの刑に処せられるなど、特に厳しいものでした。

エールハウスはエールビールを提供する、いわゆる居酒屋。お酒に酔った場所では、物を失くしたり、記憶が曖昧になったり……実際に悪意のある被害もあったと思いますが、自分のミスも「これも魔女の仕業」と都合の良いように責任転嫁してくる人も出てきそうです。エールワイフが男性のアイドル的存在というのも、何かそこに渦巻く愛憎劇がありそうな気がしてしまいます。エールワイフが魔女狩りにあっていたことも、時代の恐ろしさを感じますね。

そして、「各家庭に伝統のレシピがあり、その家の娘が嫁に行く時の嫁入り道具は、家の伝統のレシピとビール仕込み用の鍋」。この鍋こそ、魔女の鍋だったりして?

また、同じページには、「エールハウスでは軒先に目印としてほうきを掲げ、これは『エールステーク』と呼ばれました」ともあります。魔女といえば、ほうき! 魔女(エールワイフ)のいるお店には 目印としてほうきがあったんです。

この話は、「そう考えられていた部分もある」という話なので、ビールを作っている女性はみんな魔女! 魔女はみんなビールを作っている! というわけではもちろんありません。でも、魔女が大きな鍋で怪しいものを煮込んでいるのではなく、みんなに振る舞おうと美味しいビールを作ってくれていると想像すると、少し微笑ましくなりませんか? ミステリアスな魔女が、一気に親しみやすい街のおばさんに!

来年のハロウィンは、魔女の仮装でみんなにビールを振る舞って陽気に楽しむのも良いかもしれません。

『世界のビールの歴史』<6世紀~14世紀 エールビールの発展>
http://www.asahibeer.co.jp/enjoy/history/europe/england02.html

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