54種類のゆるキャラがわかりやすく教えてくれる漢方薬の話
皆さんは「漢方薬」と聞いてどんなイメージを抱きますか? 「長ったらしい名前が多くて難しそう」「種類がたくさんあって、どれを飲めばいいのかわからない」――そんなふうに感じている人も多いかもしれません。
木村美紀著による『皇帝の漢方薬図鑑』は、漢方に興味はあるけれど、なんだかとっつきづらそうで……なんて思っている人にピッタリな一冊! この本には全54種類の「漢方薬キャラクター」がユーモラスな姿で登場し、それぞれの漢方薬が持つ特徴や効能について教えてくれるんです。
全体的にはおとぎ話のような絵巻物的大図鑑になっている本書。主人公の女の子は漢方皇帝とともに、「頭ノ国」「腹ノ国」「総身ノ国」「肌ノ国」「婦人ノ国」「心ノ国」という6つの漢方の国を旅します。それぞれの国では「ショウジョウ」と呼ばれる小さな生き物たちが「かぜ」や「便秘」などの症状に悩まされているのですが、そこに現れるのが「漢方薬キャラクター」。各自が持つチカラを活かし、困っているショウジョウたちを救います。
漢方の国をめぐる旅を終えると、漢方薬キャラクターを1ページごとに紹介する「キャラクターファイル」の章へと続きます。「かぜ」ひとつをとっても、「桂枝湯(ケイシトウ)」「葛根湯(カッコントウ)」「小柴胡湯(ショウサイコトウ)」など何種類もが存在する漢方薬。どれを選ぶべきか私たち素人には見極めが難しいですが、本書では54種類の漢方薬キャラクターたちが図鑑形式で解説されているので、この薬はどんな症状に適しているか、どんな効果や副作用があるかなど、わかりやすく知ることができます。
漢方薬キャラクターはどれも、含まれている生薬をあらわす造形をしていたり、仙人や精霊、神仏などをモチーフにしていたりと興味深いものばかり。たとえば「頭ノ国」に登場する「荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)」は、慢性的な鼻づまりをよくしてくれ、鼻炎やにきびに効くとされる漢方薬。主薬の荊芥がシソ科の植物の花穂であることから、漢方薬キャラクターには頭に花をつけ、手足が植物になっている着物姿の花の精が描かれています。
また、「腹ノ国」に出てくる、のぼせと便秘に効果的な「桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)」。主薬がモモなどの種子「桃仁(トウニン)」であること、女性の月経不順や月経困難庄にも使われることから、桃の顔をしたかわいらしいお姫様が漢方薬キャラクターとなっています。
文字の情報ばかりでは頭に入りづらいものも、ゆるくて愛らしいキャラクターとして視覚的に提示されることですっと頭に入ってくる……こうした点は本書の大きな魅力のひとつといえるでしょう。
ほかにも「漢方薬とは」「漢方医学の歴史」といった読み物や、生薬30種類を写真付きで解説した生薬一覧を掲載する「漢方薬の基礎知識」という章もあったりと、漢方薬の入門書として至れり尽くせり。老若男女、幅広い読者にむけた、楽しくてためになる『皇帝の漢方薬図鑑』。皆さんも本書を通じて、漢方薬を知る旅へと出かけましょう!
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