人気著者が語る、ベストセラーを生み出す戦略とは?

 出版界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』!
 第39回の今回は、新刊『一瞬で夢がかなう!「人生のシナリオ」を書き換える法』を刊行したクリス岡崎さんです。
 日本における自己啓発・コーチングの第一人者であるクリスさんが本を書き始めた理由や新刊で伝えたいこと、またクリスさんの活動の先にある大きな夢とは何なのか?などなど、幅広くお話を伺ってきました。

■「難しいことを小学生でも面白いようにアプリケーション化するのが僕の役目
―クリス岡崎さんといえば日本の自己啓発の第一人者であり『億万長者専門学校』などの著書で知られていますが、クリスさんが本を書くようになったきっかけを教えていただけますか?

クリス(以下敬称略) 「僕は子どもの頃から本は大好きで、ものすごい量を読んでいたんだ。中学生の時にチャレンジしたのが1日1冊読むっていうやつ。3年間で1000冊読もうと思っていたね。図書館やら本屋さんやら、1000冊目指して読んでたよ」

―当時はどのような本を読んでいましたか?

クリス 「小説とか物語が多かったね!名作文学といわれるものはほとんど読んだし、高校に入ってからは政治の本だったり主義哲学に関するものや宗教関連の本も読んだよ。歴史の本も読んだね。ビジネス書は読んでいなかったけど、何かのノウハウについて書かれた本は割と好きで読んでいたね」

―著書を見ても、物語性を意識されていることが感じられますよね。最初から最後までの流れが物語的というか。

クリス 「あ、本当?そこらへんは本を書く前にずいぶん勉強したよ!
僕はアンソニー・ロビンスのセミナーがきっかけになって、セミナーってものにたくさん行くようになったんだけど、そこでノートを取る時に、ただ黒板の文字を書き写すのではなくて、どんな構成でセミナーが作られているのか、何が何に繋がるのか、掴みがあって、引き込みがあって、最後に全体をさらってくるというような全体の流れ、僕は“セミナー・ダイヤグラム”って呼んでるんだけど、その流れを意識していたね。
でも、ハリウッド映画の作り方とか、脚本の書き方なんかのセミナーはたくさんあるし、本も出ているから、勉強すればかなりの人は商業的に使えるストーリーを書けるんじゃないかな!名作は作れないかもしれないけど」

―「幸せなお金持ちになる方法」という内容を書いているにしても、クリスさんほどエンターテインメントとして読めるように書いている方って今までいらっしゃらなかったと思うんですよね。

クリス 「いやぁ、うれしいなあ!やっぱり僕はアンソニーから学んだということもあって、哲学とか大学の教授が語るような難しいこと、最新の学術発見などを、小学生が聞いても面白くて、さらに使えるようにするっていうフィルターの部分、難しい概念とか考え方を単純なアプリケーションにすることが僕の仕事だと思ってるんだ!
経済とか法律とか、難しい考え方や概念はたくさんあるけど、小学生でも楽しんで聞けるようなものにしないといけないよね。そういうのが役割だと思ってるよ」

―『億万長者専門学校』に限らず、クリスさんは多くのベストセラー著書をお持ちですが、ご自身の書籍がこれほど様々な人に受け入れられている理由も、難しいことがわかりやすく書かれている点にあるのでしょうか。

クリス 「僕が日本でセミナーを始めた時、出版社の方から本を出すお話をいただいて、“やったー!夢が叶ったぞー!”って喜んだんだよ。いつかは本を書く人になりたいと思っていたからね。それで話を進めていくうちに5社くらいの出版社から声がかかって、もう有頂天だよね!それだけでもう本を書いた気分になっちゃった(笑)
でもね、それからいろんな方と話して“ちょっと待てよ、日本では年間に7〜8万冊の本が出て、その中で10万部売れる本なんてそんなにない。書店に行けば過去に出た本もあるわけだから、一般の人から見たら10万部売れた本はざらにあるかもしれないけど、実際はその年に出た本の0.1%くらいのもので、よほどのベストセラーじゃないと本屋さんに並ばないんだ!”って気づいたんだよね。
よく考えてみると、僕は本屋さんに置いてある本を書く人になりたかったんだ。それに気づいた瞬間にハードルがものすごく上がったよね」

―確かに、それは並大抵ではありませんね。

クリス 「そう。その当時“億万長者養成講座”っていうコンセプトのセミナーをやっていたんだけど、その名前が気に入って、このコンセプトのまま本を書いたらいいよね、となった。それが『億万長者専門学校』なんだけど、その時に出版してもおそらく初版が3000〜5000部くらいで、それほどプロモーションもないだろうと思ったから『よし!これをベストセラーにする戦略として“億万長者専門学校”っていうセミナーをやろう』と思って、年間20回くらいやったんだ。毎回200〜300人集めて、3年半で8000人弱の人たちに来てもらったよ。そこで、“本が出るから応援してね!出たら5冊買うんだよ”と(笑)
それと、そのセミナーで質問されたところとかウケたところはもう少し膨らませたり、反応が薄いところは言い方を変えたりということを何十回もやっているうちに、内容が充実してお客さんが望む形になっていったんだよね。それが反映されている『億万長者専門学校』は、30回くらい構成や内容を練り直したのと同じだから充実した内容だったんだと思うよ」

―クリスさんは著作だけでなくセミナーも「一回で人生が変わる」と人気を博しています。このように、セミナーを通してクリスさんから学ぶと人生が変わると言われていることについてはどのようにお考えですか?

クリス 「これまでにダイエットの本や恋愛の本も含めて様々な本を読んできたけど、海外の本と日本の本は大きく違うね。
海外の本って、ビジネス書でも誰かが研究してデータを取って何年もかけて一冊作る。その中には統計があり、裏付けがあり、仮説があり、そういうものを駆使して読者を説得していくものが多いんだ。でも、日本の本は体系化されているというよりも、著者の体験が8割くらいな感じで“私はこうやってうまくいったからこうだよね!”とか“私のクライアントはこういう人が多くてこうだ”というものが多いよね。
だから、確かにあなたの体験はリスペクトするけど、違う人もいるんじゃないかな、というのがすごくあったんだ。
つまり、日本では自分の体験でこうだ!ということを押しつけるものだから、フィットする人にはフィットするけど、そうじゃない人には全然合わないっていうのがすごく多いと思う。だから、自分のタイプがわからないで本を読むと無駄が多いんだ。人それぞれベースが違うんだから。
そういうことがあって、人それぞれの違いをリスペクトしつつも色々なタイプ、例えば、視覚タイプ、聴覚タイプとか、行動タイプや計画タイプ、内向型外向型の人達にもそれぞれ合うように統合して原理を見せられる本やセミナーにしたいなというのがあって、そのせいかもしれないね」

■第2回「目標を達成したのに虚しくなってしまう理由」に続く



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