ヴィトンの財布ならタイガ。で、高級車ブランドならどれを選ぶのがイマドキVIP?
▲ルイ・ヴィトンの長財布というとイラストのような「モノグラム」が頭に浮かぶかもしれませんが、今、好感度が高いのは「タイガ」という地味な柄なんです。このトレンドは、あなたの車選びにも大きく影響するのかもしれません
「わかりやすい高級品志向」はもはや古い?
超資産家の持ち物は意外と地味で質素だとも聞きます。しかしここ最近になってまあまあのお金が稼げるようになった人……具体的には額面年収600万~800万円ぐらいに達した人でしょうか、そういった人は「これ見よがし」なブランド物の購入に走りがちです。
例えばですが、普段持ち歩く財布はルイ・ヴィトンの長財布で、その柄は遠目からもわかりやすいモノグラム(LとVの文字が組み合わされたアレ)。さらに腕にはロレックスをはめつつ、もしかしたら何らかのハイブランドの大きなロゴが入った上着を着てるかもしれません。
それはそれで悪くないと思います。ハイブランドの製品はイメージだけでなくモノも大変良好ですし、そういった製品を買える立場になった自分のことを、周囲にアピールしたくなる気持ちもよくわかります。やはり「記号性」は大事ですから。
ですがそういった購買行動は今、あまり流行ってないことは知っておいた方がいいでしょう。
「そうなの? ヴィトンの長財布ってもうダメなわけ?」と言う人もいるかもしれませんが、そうではありません。相変わらずメンズのヴィトン長財布は人気ですし、女子界隈からも大好評です。
しかし女子界隈や感度の高い男性の間で人気なのは、わかりやすいモノグラムのアレではなく、一見すると単に地味なおサイフにも見える「タイガ(Taiga)」のヴィトン製長財布なのです。
▲これがルイ・ヴィトン「タイガ」の長財布。ルイ・ヴィトンのロゴがワンポイントで入ってはいますが、全体としては地味とも言える、細かな型押しが施されているシックなラインです
今、高評価なのは「さりげなく高級」であること
……前章ではオブラートに包んだような言い方をしましたが、ハッキリ言っちゃいましょう。今、VIPになりたいなら、あるいは少なくとも「そう見られたい」なら、選ぶべきは間違いなくモノグラムではなくタイガです。
なぜならば最近はタイガ的価値観、つまり「一見フツーな感じなんだけど、よく見ればかなりの高級品であることがわかるアイテムを、さりげなく身に着ける」という価値観が、リアルVIPたちの間では主流だからです。「これ見よがし」はちょっと古いんですね。
▲これを持つのが悪いわけでは決してありませんが、若干の「今さら感」を持って見られてしまうケースもあることは、現代人の基礎知識としていちおう知っておくべきかと
これと似た潮流は他ブランドにおいても同様です。
独特の格子柄で有名なバーバリーをハイブランドと呼ぶべきかは微妙ですが、あのバーバリーの格子柄も最近は外に見せるアイテムに用いるのではなく、あくまでもコートなどの裏地からチラリと見えるだけに抑えるのがおしゃれとされています(まぁバーバリーのアレはそもそも裏地用だったので原点回帰とも言えますが)。
またその他、「名の通ったハイブランドよりも、無名だけど、素材と縫製にこだわりまくってる小規模アトリエが作ったジャケットを着てる人の方が、逆にエライ」みたいな潮流もあります。
では「タイガ的高級車」とはどれのことか?
前置きが長くなってしまいましたが、今がそういった時代であるならば、その目線を車選びにも流用しない手はありません。
や、「車は近所の買い物と子供の送迎に使えればそれで十分」と考える人は別ですが、なるべくステキな車に乗って、できれば(いわゆるVIPカーという意味ではなく)VIPっぽく見られたいと考えている人は、わざわざ車名は挙げませんが「わかりやすい有名ブランドの大型セダン」とかに乗ってる場合ではありません。今すぐ買い替えましょう。
しかし「モノグラムではなくタイガ的な車」とは、いったいどんなモデルなんでしょうか? ……ともに考えてまいりたいと思います。
まず有力候補となるのがメルセデスAMGの現行Eクラスセダン、E43 4マチックです。
▲メルセデス・ベンツ Eクラスの刷新に合わせて16年10月に登場したメルセデスAMG E43 4マチック。専用開発された3L V6エンジンは最高出力401psを発生します。中古車は総額1000万~1100万円ぐらいが目安
AMGというのは、今さら説明するまでもありませんがメルセデス・ベンツの超高級&超ハイパフォーマンス版。歴代AMGモデルはどれも車として大変素晴らしいですし、「裕福な人間に見られる」という記号性も重要なポイントとなる車です。
しかしちょっとした欠点もあって、それは「エクステリアがこれ見よがしである」ということです。比較的派手な純正エアロやごっついエアダクトなどは、もちろんその性能に応じた合理的なものなんですが、昨今の目線で見ると少々「これ見よがし」に過ぎるきらいもあります。まるで「全身モノグラムの人」みたいな……。
ですが現行E43であれば、そのビジュアルは比較的ノーマル寄りです。下の写真をご覧ください。車に詳しい人はもちろん一目瞭然でしょうが、普通の人はどちらがベンツのアバンギャルドで、どちらがメルセデスAMGのE43なのか、見分けが付かないのでは? しかし実際に近寄ってよくよく見れば、やはり質感はケタ違いであり、性能も(当然ですが)ケタ違い。……これぞ「タイガ的な車」と言えるはずです。
▲こちちらは市場でたくさん出回っている現行メルセデス・ベンツ Eクラスのアバンギャルド
▲で、こちらがメルセデスAMG E43 4マチック。詳しい人間が見ればその違いは明らかですが、小ぶりなリアウイング等もあって、遠めにはわかりにくいかも。でも、そこが逆に今っぽいのです!
アルピナのデコラインを撤去してしまうというチラリズム
また「バーバリーのあの格子柄は、チラリと見える裏地だけにとどめる」という寸止め的世界観は、アルピナBMWの現行B3またはD3で実現させることができます。
アルピナというのも、ご存じのとおりBMW各車をベースに作られる珠玉のマシン。5シリーズベースや7シリーズベースのアルピナに乗るのもステキだと思いますが、昨今の潮流を考えると、やや奥ゆかしいサイズ感である3シリーズベースのB3またはD3リムジンを選ぶ方が「今っぽい」気がします。
▲現行アルピナBMW B3 ビターボリムジンは、現行BMW 3シリーズをベースとするアルピナモデル。そのディーゼル版がD3になります。現在の中古車相場は総額700万~850万円といったニュアンス
「何言ってんだお前! アルピナは『裏地だけにチラリ』どころか、ボディ全体にドドーンッと派手なデコラインが入ってるじゃないか!」
そうおっしゃる人もいるかもしれません。それはもうそのとおりなんですが、あのデコラインはそもそも装着しないことも可能ですし、装着済みの中古車であっても除去することが可能です。あれ、塗装ではなくステッカーですから。
派手なデコラインがないので遠目にはごく普通の現行BMW 3シリーズにも見えるけど、よく見ると「世界のアルピナ」であることがわかる……というのはかなりおしゃれです。せっかくのデコラインを撤去したくない人は「白ボディに銀のデコライン」「銀のボディに銀のデコライン」というのも寸止め感があってステキかもしれません。
他にもある「さりげなく高級」なタイガ的高級車たち
その他、「名の通ったハイブランドよりも、無名だけど、素材と縫製にこだわりまくってる小規模アトリエが作った超上質ジャケットを着てる人の方がエライ」という観点に近い1台は、最終型のランドローバー ディフェンダーでしょうか。
や、ランドローバーは決して「無名のアトリエ」ではありませんが、メルセデスやらレクサスやらのような高級イメージでもないはず。しかし最終型のディフェンダーは知る人ぞ知るというか、好きな人は大好きな、かなりのVIPオーラが漂う1台です。同じウン百万円を出すなら、わかりやすいドイツ製高級車よりもこちらの方が逆にVIPっぽく見えるかも。
▲こちらがランドローバーの本格オフローダーであるディフェンダーの最終型。残念ながら正規輸入は行われませんでしたが、専門店で容易に探すことができます。相場は総額700万~1400万円付近と、上下に広い感じ
空冷世代のポルシェ 911もいいでしょう。
筆者などは自動車の売買に関してはスレているため、最新世代の派手な911を街で見ても「パワーローン(ポルシェの残価設定ローン)で買ったのかな?」ぐらいにしか思いませんが、中古車相場が超高騰しているタイプ964をキレイに乗っている人を見ると、「……趣味のいい大金持ちに違いない!」と勝手に思ってしまいます。まぁ実際はその人も、中古車販売店独自の残価設定ローンで買ったのかもしれませんが。
▲「デッドストックの超高級古着」のような趣がある空冷世代のポルシェ 911、タイプ964。ここ数年は中古車相場が世界的に高騰し、総額700万円以上は当たり前の世界になってしまいましたが
以上、「タイガ型」と「バーバリー型」「小規模アトリエ型」「古着型」の候補車両を挙げてみましたので、興味のある方は下記物件リンクから現車をチェックしていただければと思います。
ただ、今回挙げたのはどれもそれなりに高額なモデルですので、「そんなカネねえよ!」という人もいらっしゃるかもしれません。ちなみに筆者がまさにそれに該当します。
そんな場合は、例えばですがシトロエンのDS5なんてどうでしょうか? 筆者の草野球のチームメイトで、ラーメン店の元社員である某君が先日これの中古車を200万円ちょいで買ったのですが、乗ってる姿は「超儲かってるラーメンチェーンの総帥」にしか見えません。シトロエンというある種の謎ブランドであることが、謎を呼んでいるのでしょう。これが200万円ちょいの普通のドイツ車では、絶対に「総帥」には見えないはずです。
余談でした、すみません。
▲日本では12年8月に登場した、シトロエンの高級ライン「DS」シリーズのフラッグシップ、DS5。中古車は総額200万円付近から探せますが、個性的だからでしょうか、これに乗っている人は「謎の金持ち」に見えて仕方ありません
【関連リンク】
本文中に登場したモデルの中古車を見るtext/伊達軍曹
photo・illustration/ダイムラー、アルピナ、ジャガー・ランドローバー
ポルシェ、プジョー・シトロエン、編集部
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