“MADE IN JAPAN”の新生トミーカイラ ZZは、玄人こそ楽しめるホットロッドだ(試乗レポート)

▲99台限定生産という大変貴重な「トミーカイラZZ」に試乗する機会を得た。EVとしてよみがえった新生ZZの実力を紐解いていきたい

▲99台限定生産という大変貴重な「トミーカイラZZ」に試乗する機会を得た。EVとしてよみがえった新生ZZの実力を紐解いていきたい

知る人ぞ知るあのマシンが、EVに

エンスージアストならば「トミーカイラ」の名をご存じだろう。

製造、チューニング、販売を一手に展開するブランドで、現在は、京都に本社を置くGLMが自動車製造事業として継承している。知る人ぞ知るチューニングカーブランドだ。

今回は、そのトミーカイラの中でも2シータースポーツカーの「ZZ」が2代目となったということで試乗させてもらった。

▲初代から受け継がれている、亀のエンブレム

▲初代から受け継がれている、亀のエンブレム

思えば今から18年前に、初代トミーカイラZZで何日間もドライブしたことがあった。

当時は、英国で製造されていたミッドシップレイアウト。まるでレーシングカーのようなスポーツカーであった。アメニティーもレーシングカー並み。まさに男の車だ。

エンジンは日産のプリメーラやシルビアに搭載されたSR20DEをケーヒン製のキャブレーターで架装したユニット。ノスタルジックなサウンドを奏でていた。

メインフレームはアルミニウムで造られ、ボディはグラマーで軽量なFRP。見るからに“地を這う”ような、性能に特化したデザインであった。

何といっても180馬力で、車重が700㎏強だ。十分すぎる加速となることは、容易に想像いただけるだろう。しかしそれ以上に評価できたのは、ロールセンターを低くし低重心化を図り、素晴らしいコーナリングを発揮した点であった。

今回、2代目トミーカイラZZを目の前にして、こんな18年前の記憶をよみがえられずにはいられなかった。

低く構えたフロントカウルからリアにかけて走る造形は、明らかに初代同様のミッドシップレイアウトを表す。さらに全幅が1735㎜あるにも関わらず、ドライバーとパッセンジャーエリアはタイトな空間で、重量をできるだけ中心に集めていた。初代と変わらないレーシングカー思想が満載だ。

一方で、英国で生産されていた初代とは違い、2代目からは「MADE IN JAPAN」である。初代をイメージしながらデザインされていることは分かるが、フレームの設計が違った。

乗り込むとアルミフレームの溶接の跡が足元から覗くことができる。これは少々専門的な見解になるが、酸化を抑えたツヤのある素晴らしいアルゴン溶接がされていた。熟練のハンドメイドだということがよく理解できる。サイドウインドウがないオープンボディのドアは軽量で、エクストリームストリートモデルといったいでたちであろう。雨の日は貸し出せないと言われたことも納得した。(そういえば、18年前は簡易的なソフトトップが装着してあって、雨でずぶ濡れになりながら楽しんだことを思い出した)

▲ライトウェイトフレームとFRPカウルがもたらすレーシングライクな車体構成

▲ライトウェイトフレームとFRPカウルがもたらすレーシングライクな車体構成

▲新デザインは、初代当時のトミーカイラデザインチームが担当したそうだ

▲新デザインは、初代当時のトミーカイラデザインチームが担当したそうだ

▲ウインドウはリアにもない

▲ウインドウはリアにもない

シートに腰を下ろす。レカロ製フルバケットシートの低い着座位置は、ドライバーを本気にさせるポジションだと感じた。

初代はエンジンからの熱気が、アルミフレームから車内に伝わっていたが、2代目はEVというだけあって、そのような雰囲気は全くない。

▲削ぎ落とされてシンプルなダッシュボードとレーシーなステアリング。徹底してレーシングライクなコックピットだ

▲削ぎ落とされてシンプルなダッシュボードとレーシーなステアリング。徹底してレーシングライクなコックピットだ

▲バケットシート。サイドフレームがサポートの役割を果たす

▲バケットシート。サイドフレームがサポートの役割を果たす

さぁ、いよいよスタートだ。

アクセルのレスポンスはリニアで、唐突な発進を抑えた上手な制御である。ゆっくりと走り出すことは容易だ。バランス的には、軽量のフロントにも関わらず路面の凹凸を上手に吸収していた。

サスペンションは、ウィッシュボーン式で剛性が高く、少し間違えると怖いくらいクィックなフィールになったが、そのあたりも手馴れたセッティングでスポーティにまとめられていた。

直線の道路で、フルロードの加速を試す。フルスロットルの瞬間、素晴らしいロードホールディングで電光石火の加速だ。これは、慣れないと目がついていかないだろう。ローンチコントロールが付いているかのように凄い。無駄がない。

コーナーの手前でブレーキを踏むと、ノンサーボが最高のコントロールを表す。しかもブレーキペダルの剛性が素晴らしい。一般的な車とは全く違うフィールということが、ハッキリと分かる部分だ。

これを「ブレーキが重く利きが悪い」と感じる人もいるだろうが、踏めば踏むほど信頼感があるブレーキとはこういったフィールなのだ。細かな調整ができて、これこそ玄人好みのセッティングだ。

コーナリングは、路面をグッと捉えた。凄い横Gだった。バケットシートじゃないと身体を抑えるのに疲れて仕方がない。そういった意味では、理にかなった装備なのだ。

コーナリング中も路面の凹凸をキレイになぞるように動いた。ロールセンターが低くしなやかにセッティングできている証拠だ。

ウイークエンドホットロッドとは、まさにこのトミーカイラZZでは?(ただし雨の心配のない週末に限るが)と思いながら、ジェットコースター並みの加速と正確無比のステアリングフィールを楽しんだ。

▲乗車スペースの後方に搭載されたバッテリー、モーター類

▲乗車スペースの後方に搭載されたバッテリー、モーター類

▲リアエンブレム

▲リアエンブレム

▲タイヤは前輪が205/45ZR17、後輪が225/45ZR17

▲タイヤは前輪が205/45ZR17、後輪が225/45ZR17

▲車高・トゥ・キャンバーといった基本セッティングは、ユーザーが変更できる

▲車高・トゥ・キャンバーといった基本セッティングは、ユーザーが変更できる

▲0-100km/h加速は3.9秒、最高出力は225 kW(305馬力)、最大トルクは415 N・m(42.3 kgf・m)とのこと

▲0-100km/h加速は3.9秒、最高出力は225 kW(305馬力)、最大トルクは415 N・m(42.3 kgf・m)とのこと

【SPECIFICATIONS】

■車名:トミーカイラZZ ■乗車定員:2名

■バッテリー:Liバッテリー

■最高出力:225(305) [ kW(ps)]

■最大トルク:415(42.3)[N・m(kgf・m)]

■駆動方式:MR ■トランスミッション:1速固定

■全長×全幅×全高:3865×1735×1140(mm) ■ホイールベース:2370mm

■車両重量:850kg

■航続距離:120㎞

■車両価格:864万円(税込)~

text/松本英雄

photo/篠原晃一

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