【速報】2017年の路線価が公表。昨年からの変化は?

2017年の路線価が公表。昨年からの変化は?

2017年の路線価が国税庁から発表された。地価は上がった?下がった? 今年の注目ポイントを解説しよう。

相続税や贈与税の算定基準として公表される

路線価とは、一定の区画に面する道路ごとに国が定めた1m2当たりの土地の価格のこと。その年に相続や贈与で土地を取得した場合に適用され、相続税や贈与税を計算する際の基準となる。

この路線価は国土交通省が毎年1月1日時点で調査している公示地価を基準に、その8割程度の価格に定めることとされている。そのため地価変動の傾向は公示地価と基本的には変わらないが、公表される地点数は公示地価が2万6000地点なのに対し、路線価は約33万3000地点と膨大だ。

全国平均で2年連続上昇。上昇率は拡大

さて今年の路線価はというと、全国平均では2年連続で上昇し、上昇率は0.4%で昨年の0.2%より拡大している。都道府県庁所在地ごとに最も高い路線価が毎年発表されているが、その最高路線価が上昇したのは27都市で、昨年の25都市より2都市(高松市と佐賀市)増えた。

このように全般的には地価上昇の勢いが強まっているようだ。例えば東京都の平均上昇率は昨年の2.9%から今年は3.2%に拡大した。同様に大阪府は昨年の1.0%から今年は1.2%に、京都府は0.8%から1.4%に、それぞれ拡大している。一方で名古屋市を擁する愛知県は昨年の1.5%から今年は1.2%に、上昇幅がやや縮小した。

銀座の路線価がバブル期を超えて過去最高に

都道府県庁所在地の最高路線価では、最も高かったのは東京都中央区の銀座中央通り、いわゆる「鳩居堂前」で、32年連続の日本一だった。価格は1m2当たり4032万円と、過去最高だった1992年の3650万円を上回っている。ちなみに2位は大阪市北区の御堂筋で、1m2当たり1176万円となっている。

銀座中央通りは最高路線価の中で上昇率でもトップで、26.0%(昨年は18.7%)だった。上昇率の2位は京都市下京区の四条通で20.6%(同16.9%)だ。昨年22.1%で上昇率トップだった御堂筋は15.7%に縮小し、札幌市に抜かれて横浜市と同率の4位となっている。

オフィスやマンション、ホテルの建設が地価を押し上げ

価格、上昇率とも最高路線価でトップの銀座では、「GINZA SIX」や「GINZA PLACE(銀座プレイス)」、東急プラザ銀座など 再開発による商業施設の開業が相次いでいる。また訪日外国人客の増加などでホテル需要も高まっているようだ。

そのほかの路線価が上昇している都市でも、中心部でのオフィスビルやマンション、ホテルの建設・開業などでにぎわう状況が続いている。地価が上昇すれば住宅などの不動産を持っている人には資産価値の上昇につながるが、これから家を買う人には住宅ローン返済などの負担が増える。また、相続の際に相続税の税額が増えることにもなるだろう。

今後の地価は景気や外国人客の動向次第!?

問題は都市部を中心とした地価の上昇がいつまで続くかだが、見方は分かれる。一つは東京オリンピックが開催される2020年の前後までは上昇が続くが、その後は失速するというもの。もう一つは2020年以降も地価上昇が続くというものだ。

たしかに東京オリンピックは東京都心部や湾岸エリアで一定の開発需要をもたらしたが、その効果は限定的だ。頼みの綱のマンション需要は東京都心部での価格高騰の影響から、このところ先行き不透明な状況となっている。オフィスやホテル・商業ビルの需要は今のところ堅調なようだが、こちらも景気や訪日外国人客の動向次第では、思わぬ逆風が吹かないとも限らない。

今後も7月1日時点で調査される基準地価(都道府県地価調査)など、地価の動きに注意しておく必要がありそうだ。
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