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灘中“伝説の国語授業”とは?

 学生時代の授業の内容を覚えているだろうか? 先生の癖や教室の雰囲気、クラスメイト……漠然とした思い出はあるが、授業の内容は全く思い出せない。生涯、記憶に残るような授業がない。
 こんな思いを抱いた新任の教師がいた。『〈銀の匙〉の国語授業』(岩波書店/刊)の著者、橋本武氏だ。生徒の記憶に生涯残るような、そんな教材はないかと考えていたときに巡り合ったのが中勘助の著作『銀の匙』だった。
 『銀の匙』は、中勘助の先生である夏目漱石が美しい日本語だと激賞して『東京朝日新聞』に連載するように働きかけたもの。文豪・漱石が推薦するほどの美しい日本語なのだから、国語の教材にして文句の出ようがない。また、物語の内容が中勘助の自叙伝的な物語のため、ひ弱な幼い子どもがたくましい立派な青年に育っていく過程が描かれており、中学生が自分と物語の主人公とを重ねながら読むことができる。これも教科書としての利点となった。
 橋本氏自身で指導要録を作り、1950年(昭和25年)入学組の生徒が最初の『銀の匙』授業を受けることとなるのだった。
 本書は、進学校で有名な灘校で、中学3年間かけて『銀の匙』をじっくり読み込むという授業を続けてきた橋本先生の実践的授業を伝えるものだ。
 昨年、27年ぶりに橋本氏が灘校の教壇に立ち、「土曜講座」を開き、もちろん授業の題材は『銀の匙』。実際に生徒たちに配られたプリントも本書に掲載してある。
 「大事なのは答えではなく過程です。早急に答えを求めてはいけない、すぐ役に立ものはすぐに役に立たなくなります。」と橋本氏は語る。
 一夜漬けの勉強で、次の日のテストでは良い点が取れたとしても、5年後、10年後、その勉強は記憶に残っているかというと、そうではないだろう。『銀の匙』のような、大人になっても心に残る授業を受けることができた生徒は幸せだろう。教師を目指している学生、現在教師の人にも読んでもらいたい1冊だ。
(新刊JP編集部)


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