あの新聞は和服姿の小言おじさん? 現代だからこそ必要な “芸人式”新聞の読み方
インターネットを通じて情報収集することが当たり前になってきた昨今、よく目にする光景の1つが「炎上」だ。毎日のように立場の違う人間同士の議論が巻き起こり、ときには謝罪にまで追い込まれる人も少なくない。こんな状況に対し、少し窮屈さを覚えている人も少なくないのではないだろうか? お笑い芸人・プチ鹿島氏の『芸人式新聞の読み方』は、今の時代にあえて旧メディアとも言われる新聞の読み方を指南する1冊だ。
「新聞はミステリー小説だ」という章から始まる本書では、筆者・プチ鹿島氏が新聞各紙をキャラ付けしてみせる。プチ鹿島氏いわく「高級な背広を着たプライド高めのおじさん」と分析する朝日新聞は、「『新聞は社会の木鐸である』という言葉を今も信じて正義を追求する」も、「『大朝日』のプライドも見え隠れ」する存在。一方で、対照的な存在として挙げられる産経新聞は、保守的な態度が目立つ「和服で小言を言っている頑固なおじさん」と分析。
たとえば、大きな動きとなった安保法案反対デモを主催してきた学生団体「SEALDs」の扱い方を見てみると、”保守的なおじさん”である産経新聞は、SEALDsと共産党との間に繋がりがあるのではないか? という点をチクリと指摘。デモ参加経験者に年配者が多いことをデータで示し、あくまでデモの盛り上がりは一部でしかないことをアピール。一方で、”正義を追求するプライド高めなおじさん”朝日新聞は、天声人語で「政治に声をあげる若者の姿は頼もしい」という趣旨のコラムを掲載し、「若者頑張れ」という応援ムードを際立たせていたそう。
新聞各紙によるこうした論調の違いは、キャラ付けしてみると理解しやすく、筆者はほかにも夕刊紙やスポーツ紙までも分析し、各紙の読み解き方を教えてくれる。
今や、新聞記事もネットニュースの1つとして配信される時代。そのため、もともとのキャラなどお構いなしの「炎上」も相次いでいるが、本来新聞とは各紙によって論調も言葉遣いも異なる存在。本書は、そんな当たり前のことを再認識させてくれる1冊だ。
終盤、「『大いなるムダ』を楽しめる土壌がなければ、新聞は楽しめない」と筆者は警鐘を鳴らす。今の言論空間に窮屈さを感じている人にこそ、本書で新聞各紙のキャラクターを知り、そのことを通じて言論との接し方を改めて考えてみてもらいたい。
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