宇宙生物学界の最前線を追う
世の中には、その分野の人間以外には存在自体があまり知れ渡っていない学問や研究が多くある。「宇宙生物学」もそのひとつに数えられるだろう。
そんな宇宙生物学の最前線を追ったのが『地球外生命を求めて−宇宙は生命にあふれているのか?』(マーク・カウフマン/著、奥田祐士/訳、ディスカバヴァー・トゥエンティワン/刊)だ。
宇宙生物学とは、読んで字の如く、宇宙に存在する可能性のある生物についての研究である。そして本書の内容は世界中の、生物学者の研究や学説の潮流などを追ったルポルタージュであり、生命の根源を探る研究の一端が把握できるものだ。
だが、ひと口に生物=生命と言っても、その言葉の意味するところはじつに曖昧だ。
世界中の学者の間でも、生命の定義について統一した説の確立にはいたっておらず、非常に難しい問題だ。そんな中、地球以外にも生命が存在する科学的な可能性はたしかに存在する。本書では、その可能性を類稀なる探究心で追い求める研究者たちの姿と研究の内容が紹介されている。
地球においての極限環境生物――例えば、深度数キロの密閉された地下鉱山や極寒地域などの普通に考えれば生物が生存できるはずのない環境下で活動する微生物やアミノ酸――の存在。
地球に飛来した隕石に付着した、生命の痕跡らしきものを巡る科学者たちの奮闘。惑星ハンティングと呼ばれる、新たな星々の発見に情熱を燃やす研究者などが好奇心をそそる。
もし、これらの研究によって地球人類以外の生物の存在が立証されたら、実に様々なものの常識が塗り替えられるだろう。
限りなく広く深い宇宙の中に、奇跡のように存在する地球の生命たち。その生命の根源を知り、さらに新たな生命の可能性を感じてみてはいかがだろうか?
(ライター/石橋遊)
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