意識を後方に置き去りにするほどの加速、テスラ モデルS P100D(試乗レポート)
▲ネット経由で(新機能を含む)車両のソフトウエアをダウンロードすることで、たえず最新の機能を使えるのも、テスラの魅力の1つ。アップロードにより、将来的には完全自動運転も対応する
0→100㎞/h加速 2.7秒の異次元の加速はEVならでは
テスラモデルS P100DはモデルSの高性能バージョンだ。Pはパフォーマンスを、100はバッテリー容量(kWh)を、そしてDはデュアルモーター(前後軸に1個ずつ。すなわち4WD)を意味する。同社のイーロン・マスクCEOは設立当初からEVの優位性を証明するため、環境性能のみならず動力性能でもIC(内燃機関車)を凌駕することを目標に掲げた。P100Dはいわばその証明の総仕上げだ。なにしろこれ以上速くても人間が対応できないレベルに達してしまった。
システム出力611ps、最大トルク967N・mというカタログスペックは、しかしEVの場合、バッテリーの温度や充電量によって変わるので目安でしかない。試乗日は寒かったからそれより幾分低かったはずだ。だがそんなの関係なかった。直線でごく短時間のフル加速を試みると、掛け値なしに市販車最高レベルの加速を見せた。「ボク、いま加速したんだよね? 」と脳が、意識が置き去りにされたような感覚。0→100㎞/h加速2.7秒。同じ加速性能の車は数車種存在するが、もし0→50㎞/h加速を計測すれば、間違いなくモデルSが圧勝する。EVは“加速し始め”が異次元だから。
ところで、モデルS P100Dのカタログ上の航続距離は613㎞。「EVは航続距離が……」と十把一絡げに心配する人がいるが、7掛けとしても430㎞なら十分のはず。どこかの新市場の問題と同じで(得体の知れない)安心を求める人は永遠に満足しないわけで、EVに向いていないとしか言いようがない。
▲オートクルーズや自動車線変更などの部分自動運転に加え、スマホ(専用アプリをダウンロード)を用いて無人の車を駐車してくれるサモン機能も備えている
▲GPSの情報などを用いて、急な坂道など過去にサスペンションの高さを調節した場所で、その情報に基づき自動的に車高を調整してくれるスマートエアサスペンションを装着
▲センターに配された17インチタッチスクリーンで、ほとんどの操作を行う先進的インテリア。ラゲージには子供2人が乗れる後ろ向きシートをオプションで装備する
【SPECIFICATIONS】
■グレード:P100D ■乗車定員:5名
■エンジン種類:モーター
■最高出力:611[ps/rpm]
■最大トルク:967[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD
■全長x全幅x全高:4979x1950x1440(mm) ■ホイールベース:2960mm
■車両価格:1767.9万円
text/塩見智
photo/河野敦樹
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