【泡盛】沖縄料理の名店「かよい船」から本場の泡盛の素晴らしさを学んできた【老舗】
泡盛と言えば沖縄の地酒。
原料にタイ米を使用し、黒麹菌によってデンプンを糖化して酵母でアルコール発酵させた蒸留酒です。沖縄の心と技に育まれてきたお酒とも言えます。
平均的なアルコール度数は25度から30度。
独特の香りとすっきりとした喉越しは、一度味わえばクセになる!
沖縄に行ったことすらない関東人の私ですが、泡盛大好きです。
とはいえ、飲んだことがあるのは有名どころの銘柄のみ。
東京の居酒屋さんで気軽に飲める銘柄なんて、せいぜい1~3種類くらいのものですからね。
しかし、実際に存在する沖縄の泡盛のメーカーは47社!
私が飲んでいる泡盛なんて氷山の一角どころか先っぽだけですよ!
もっといろんな泡盛を味わってみたい!!
というわけで、やってきたのは下北沢で創業48年を迎える超老舗沖縄料理店「かよい船」! 現在、下北沢で1〜2位を争うほど古いお店となったこちらでは、常時48種類の泡盛が用意されているとか……。
これはぜひ、珍しい泡盛を飲ませてもらわねば!
「いらっしゃい!」と明るい笑顔で迎えてくれたのは、マスターの内間正善さん。
こう見えて御年70歳。若々しい! 肌ツヤがいい!
その秘訣は、「泡盛を毎日飲んでるからだよ~」とのこと。泡盛って、お肌にいいの!?
真偽のほどは定かではありませんが、お肌の曲がり角が急カーブしてる私としては、わらにもすがる思いでその説を信じたいと思います。
「かよい船」に置いてある泡盛は、沖縄出身の内間さんが東京の人たちにもぜひ知って欲しいと仕入れた、知る人ぞ知るような名酒ぞろい!
マスター曰く「沖縄本島でもなかなか目にしない泡盛もたくさんあるよ~」とのこと。
島で作られているものは、その島以外ではなかなか流通しないらしいのですが、「かよい船」は48年という実績があるため、手に入れることができるのだそうです。
こちらは瓶に入った「瑞泉」の古酒。
これは数十年熟成されたものらしい……1杯 1,400円。
これは泡盛ひよっこの私には恐れ多いので、マスターおすすめの泡盛を次々と試してみることに。
まず最初に差し出されたのは、「久米仙」(ロック・800円)。
これは知ってます! 有名どころですよね。
この会社には、看板もらっちゃってるから、オススメしとかないとね!あっ、本当だ。看板に「久米仙」の名前が入ってる。
さて、味の方はというと……おいしい!
泡盛独特の香りが強いけど、喉越しはスッキリ。
いかにも泡盛飲んでる~~って感じ! これ、好きです!
メジャーな泡盛だけど、実はクセがけっこう強い。これ好きってやつは大抵飲兵衛だね。久米仙は売れてるけど、ずーっと味が変わらないところがいいんだよ。たまにあるからね、××とか××みたいに味が変わっちゃうところが……。思わぬタイミングで泡盛業界の裏事情を聞いてしまいました……。
マスターが続いて出してくれたのは、「龍」(ロック・800円)。
これ、私は知りませんでしたが、沖縄では女性を中心に人気の泡盛だそう。
確かに香りがあまりキツくなく、明らかに飲みやすそうな感じがあります。
これ、ぜんぜんクセがない。
そんなに種類飲んでないけど、これまで飲んできた泡盛の中でもダントツにおいしい!
「龍」の特長は、味が素直なところだね。泡盛初心者や女の人でもグイグイいけるくらい。でも、通な人でもこれを最初に飲む人はけっこういるよ。わかります。泡盛らしい風味はあるのですが、サラッとした後味というか……爽やか系の泡盛ですね。
どんどん行きます。お次は「美しき古里(ふるさと)」(ロック・800円)。
沖縄の今帰仁村にある酒蔵の泡盛で、なんとマスターの故郷のお酒なんだとか!
地元に帰ると、友達といつもこれ飲んで夜19時くらいから朝6時まで騒いでんだよ~。みんなもう60歳過ぎてんのにな~。実はこの泡盛の度数は20度と比較的低め。
ですが、朝まで延々と飲み続けるためには、これが一番とのこと。
20度という度数の低さゆえ、マイルドな味なのかと思いきや……とんでもない! 口に含むとぶわ~っと豊かな風味が広がって、濃厚な後味が残ります。
なにこれ、度数低いのに全然水っぽくない!
この酒蔵の泡盛は、30度の「まるだい」っていうのも入れてるんだけど、個人的にオススメなのはこっち。水割りにしても風味が損なわれないから、おいしく長時間飲めるんだよ。ちょっと度数低めの泡盛の水割りでエンドレス宴会……その発想自体がさすがです。
ここで、マスターから「泡盛続きだとすぐ酔っちゃうから」と、おつまみの差し入れが。
沖縄式の豚の角煮「ラフティ」(1,000円)です!
箸で簡単に切れちゃうほど、トロットロに煮込まれています! 絶品!
料理はすべてマスターの手作りらしいのですが、味はかなり本格的。
泡盛にぴったりの沖縄料理もぞんぶんに堪能できるお店なのです。
さて、再び泡盛に戻ります。マスターの思い出の泡盛だという「まるた」(ロック・800円)。
ユウサクがね、来ると必ずこれ1本開けるんだよ。俺すらぜんぜんついていけなくて、あいつは本当すごい男だったよ。化けもんだよ。……ユウサク?
誰のことかと思ったら、よくよく聞いたらあの名優・松田優作さんのことでした!
生前このお店をひいきにしていたそうで、亡くなられた後に奥さんが来たこともあったとか。そうか、これは松田優作さんが愛した泡盛なのか……。
ひとことで言うと、この泡盛は渋い。
そこはかとない苦みがブワッと口の中に広がって……独特のクセが効きますね!
木の根っこからとった水で作ってるからね~。これを愛飲していた松田優作さん、やっぱり渋好みだったんだなぁ~。カッコイイ!
これは、男性にぜひ飲んでいただきたい泡盛ですね!
まだまだ行きますよー! 続いてのオススメは「萬座」(ロック・800円)。
昔はけっこう匂いがキツめだったんだけど、今はすごくまろやかになったんだよ。言葉どおり、そんなに匂いのクセは強くなく、サラッと飲めてしまえそう。
しかし、予想外にこれがなかなか個性がある味。
なんというか、クセは少ないんだけど、口の中でネットリ残るというか。
ああ、でも甘みがあって、ひたすら飲み続けていられそうな。
マスター「萬座は飲みやすいけど、かなり効くから、ガバガバ飲まない方がいいよ~」
ええっ、マスター。時すでに遅しです……。あっという間に飲み干してしまいましたよ。5杯目ということもあり、すでに私はもうフラフラ。
最後に出してくれたのは「常盤」(ロック・800円)。
比較的辛口の泡盛だそうで、通好みの一杯だとか。
この時点でかなり酔っぱらってフニャフニャしていた私。
しかし、これをひと口飲んでみてビックリして叫んでしまいました……。
まるで洋酒のような、芳醇(ほうじゅん)すぎるほど芳醇な香り……。
とんでもなくクセが強いのに、飲む手が止まらない!
すごい強烈な、今まで飲んだことがないような泡盛です!!
昔はみんな鼻つまんで飲んでたくらいだったけど、今はちょうどいいくらいのクセの強さが残ってて、泡盛好きにはたまらない味になってるんだよ。クセがありすぎだけど、そのクセがクセになる。嫌いじゃないなぁ、この感じ。眠気も覚めました。あらためて、泡盛が銘柄によって味が違うことを体感しました。
今回、6銘柄飲み比べてみた結果。
個人的には、一杯目は「龍」。二杯目には「萬座」。そのあとに延々「美しき古里(ふるさと)」を飲み続けたい感じ。
たま~に「まる田」や「久米仙」も挟みつつ、1杯だけで帰る日はガツンと「常盤」ってとこでしょうか。
しかし、ここにある泡盛の銘柄は48種……早く泡盛ひよっこの名を返上すべく、今後も通い続けたいと思います。
下北沢にあって、沖縄の心をとことん堪能できる「かよい船」。
泡盛や古酒だけでなくハブ酒もある、とことんディープなお店です。
ぜひ、足を運んでみてくださいませ。
お店情報
かよい船
住所:東京都世田谷区北沢1-45-15 鈴なり横丁内
電話番号:090-1547-8125
営業時間:18:00~翌2:00
定休日:無休
※本記事は2017年6月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。
書いた人:西たまお
大学在学中より映像ディレクターを志したものの2年で挫折。その後は映像制作会社で宣伝を務めた後に、広告代理店に社内ライターとして勤務。2016年より独立し、フリーとなった。主にWEBサイトで健康や食に関するさまざまな記事を執筆中。ちなみに現在は、プロフィール写真から30キロくらい太っている。 Twitter:@nishi_tamao_
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