新社会人に聞いた、お母さんから届いた「仕送り」にまつわるエピソード

【画像1】みまちゃんに届いた仕送りのうちの一例。この回は日用品が多かったようだ(画像提供/みまちゃん)

この春、親元から離れ独立した人も多いことだろう。そんな一人暮らしビギナーにとって、何よりありがたいのが「親からの仕送り」。日用品や野菜などの食材、さらには地元のローカルフードまで、親の愛情がたっぷり詰まった段ボールは心強いサポートになる。そこで今回は、仕送りにまつわるエピソードを探るべく、新社会人の皆さんを直撃。親から届いた仕送りの中身を教えてもらった。

段ボール箱いっぱいにつまった私の好きなもの

まずは、大分県大分市出身の「みまちゃん」。大学進学を機に上京して以来、母親から不定期で送られてくるという仕送りの中身がコチラだ。●みまちゃん(大分県出身)の主な仕送りの中身

・九州醤油味のポテトチップスやせんべいなど

・九州で有名なインスタント麺の「うまかっちゃん」

・自宅でずっと使っている大分県の醤油「カトレア醤油」

・大分の郷土料理の「やせうま」

郷土色あふれるラインナップに母の愛を感じる。

「母が送ってくれるものは小さいころから本当に好きだったものの選りすぐりなので、食べているときは実家にいるような気分になります。どれも幼いころから慣れ親しんでいる味で、思い出がたくさんあるし、なによりおいしいです。九州の醤油は甘くてとろみがあるのが特徴で、九州限定で、九州醤油味のさまざまなお菓子が売られています。

また、大分の郷土料理の『やせうま』は小麦粉を使用した平たい面を茹でたものに、きな粉と砂糖をまぶした食べ物なのですが、これも大好きです。これは乾麺のものを送ってくれます」(みまちゃんさん)

大学2年生~3年生の1年弱、アイルランドに留学していた際は日本の調味料やインスタントみそ汁、正月用にぜんざいなどを送ってくれていたそう。

さらに、届いた段ボールには必ず手紙が同封されているという。

「手紙といってもメッセージ程度の短いものですが、毎回かなり元気付けられます。特に、高校を卒業してひとりで東京に出てきたときは大変心細かったのですが、私の大好きなものばかりが詰め込まれた仕送りが届いたときは、母が何を送ったら私が喜ぶか考えてくれたというのを感じ、うれしくて涙が出ることもありました。東京で就職したため、これからもしばらくは離れた地で暮らしていくことになると思いますが、支えてくれる親への感謝の気持ちを常にもち続けたいです」(みまちゃんさん)

のっけから泣かせるエピソードではないか。ちなみに、仕送りが届くのは実家に帰省したのち、一人暮らしの家に戻ってきた直後のタイミングが多いそう。「帰省したときに『アレが不足しているから送ってほしいな~』、という話をしたりするので」とのことだ。【画像1】みまちゃんに届いた仕送りのうちの一例。この回は日用品が多かったようだ(画像提供/みまちゃん)

【画像1】みまちゃんに届いた仕送りのうちの一例。この回は日用品が多かったようだ(画像提供/みまちゃん)

2カ月に一度のペースで届く地元の味と、実家のみかんと手紙

次に、実家は福岡県の岡垣町という「ゆーい」さん。彼女も大学進学のタイミングで上京。以来、頻繁に届くという仕送りの中身がコレ。●ゆーいさん(福岡県出身)の主な仕送りの中身

・インスタントラーメンの「うまかっちゃん」

・地元(岡垣町)で有名な「ぶどうの樹の燻製ハム」

・九州のお菓子屋さん さかえ屋の「なんばん往来」

・九州のお菓子屋さん 蒸気屋の「焼どうなつ」

・実家の庭でとれたみかん

・おばあちゃんからのお手紙

九州出身者にとって「うまかっちゃん」はマストらしい。やはり、関東のとんこつラーメンじゃ物足りないのだろうか? あと、最後の2つがずるい。こんなのが届いたら、絶対に泣いてしまうだろう。

「大学入学から卒業までの4年間は2カ月に1度のハイペースで送られてきました。二日酔いの体に、『うまかっちゃん』が染みましたね(笑)。たまに入っている実家の庭で採れたみかんやおばあちゃんの手紙にも随分と勇気づけられました」(ゆーいさん)

2年に一回届く越前ガニ

福井県の越前市が実家の「はっしー」さん。大学在学中の6年間、たまに送られてきたという仕送りの主な中身が以下。●はっしーさん(福井県出身)の主な仕送りの中身

・コシヒカリ

・越前ガニ

・さくらんぼ

コシヒカリに越前ガニと、仕送りというよりお歳暮のような贅沢さである。さくらんぼはお父さんが山形に単身赴任していたため、仕送りに一緒に入っていたそう。

「2年に1回は『友達とみんなで分けてね』と越前ガニかさくらんぼを送ってくれていました。普段あまり連絡はとらないのですが、1回だけ仕送りの段ボールの中に手紙が入っていたことがあり、とても驚いたのを覚えています」(はっしーさん)

余裕がなくなってしまった就活時を支えた仕送り

最後は島根県隠岐の島に実家がある「N.M」さんの仕送り。●N.Mさん(島根県出身)の主な仕送りの中身

・海藻からつくられた「藻塩」のチョコレート、キャラメル

・あごだし

・「あらめ」「めかぶ」などの海藻

・サザエの炊き込みご飯

甘いもの好きというN.Mさんの嗜好を押さえつつ、やはり故郷を感じられるセレクトだ。特に「あごだし」が渋い。

「大学生のころはよく送られてきました。学校やバイト終わりに寒い夜道を歩くことを配慮してか、特に冬場が多かったですね。最初のころはサランラップやティッシュなどの日用品やココア、箱から開けてバラになったお菓子などをギュウギュウに詰めた段ボール箱が送られてきて、『自分で買ったほうが安いから送らなくていい』なんて、怒って連絡してしまったこともありました。

でも、大学4年生になって就職活動が始まると、中々バイトもできずお金に余裕がなくなってしまい……。さらには毎日忙しく、買い物に行く時間もなかなかとれませんでした。そんなときに親から届いた日用品や一つのチョコレートがとても心強く、うれしかったのを覚えています。いまは仕送りはありませんが、逆にイベントのときは小さなものですがお花やお菓子を送っています」(N.Mさん)

なお、「これからは私が仕送りできるように、社会人一年目を頑張ります!」とのこと。お母さん、あなたの愛情ちゃんと届いてますよ!

いずれの仕送りからも、にじみ出る親心。それを子どもたちもありがたく受け止めているのが、何ともほほ笑ましい。地方出身者にとって実家からの仕送りは単に物質的な支援というだけでなく、時に元気を与えてくれる「精神的な支え」にもなっているようだ。
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