失敗した!中古マンションをリノベーションしたAさんに襲いかかる高い代償
盛り上がる中古マンション市場
今や新築マンションは高嶺の花。
そこで今、中古マンション市場が盛り上がっています。
昨年は、中古マンションの取引件数が新築を上回る状態となりました。
しかし、所詮古いマンション、設備から内装のセンスに至るまで、現代の生活水準から見れば見劣りします。
そこで、「リノベーション」。
バリアフリー、広いリビング…私好みの、私だけのおしゃれ空間に仕上げることができます。
そんな贅沢をしても新築マンションより安上がりだったりするのです。
しかし、やはり古いマンション、落とし穴もあります。
今日は中古マンションのリノベで失敗しないためのポイントを紹介しましょう。
デザイン重視で「なんか使いにくい…」
Aさんは建築家に言われるまま、中古マンションのリノベを行ないました。
純白の壁に無垢の床、造花に擬木、室内なのに屋外のような、居ながらにして自然を感じられるカフェのような素敵な空間になりました。
お友達から「まあ素敵」と褒められ上機嫌でした。
しかし、何か使いにくい…壁に触れると手垢がつく、デザイン重視でコンセントとスイッチは隠れた場所に追いやられてしまう。
逆に建物に人間が使われているようで不便です。
建築家に文句を言っても「常に住むことを意識できるでしょ」と言って聞く耳を持ちません。
Aさんはなんか違う…と思いながら、デザイン重視のために我慢する日々が続いています。
管理組合から文句が
とはいえ、私好みのこの空間、満足していたAさんに、管理組合の理事長が訪ねてきます。
「バルコニーと窓と玄関ドアをもとに戻してください!」と。
そうです。この中古マンションの玄関ドア、窓枠、窓ガラス、バルコニーは規約で「共用部分」と定められていたのです。
Aさんはこの共用部分を変更することができなかったのです。
Aさんは木目調のドアを捨て、泣く泣く無骨な古い鉄扉に戻さざるを得なかったのです。自慢のデザインも台無しです。
ゴキブリが出た!ネズミが出た!
そんなある日、ゴキブリが出てきました。
翌月、カサカサ音のする方を見ると、ネズミが逃げるのを目撃してしまいました。
リノベしたのに、新築同様なのに、なぜ…?
Aさんは、業者を呼びました。
業者曰く、「配管が古いからそりゃ出てきますよ~」
見た目は新しくても、配管は古いまま、隣の家も古いまま、長年の垢が付いた配管を伝って「招かれざる客」がやってくるのです。
Aさんはこのとき、古いものは、やはり古かったことに気がつくのです。
飽きた
自分好みのデザインは、そのときの好みでしかありません。
時が移り、流行も変わり、毎日同じ室内を見ていれば、そのうち飽きてしまいます。
造作が細かい分、手間を掛けた分、それが仇となって将来「古いよね」となってしまいます。
リノベとは砂上の楼閣、当時こだわった内装を作る手間と苦労は結局無駄だった…そんなことが頭をよぎるのです。
いざというとき売れない
年をとれば、家族構成が変われば、このマンションもいつか売却することになるかもしれません。
そのとき、私好みのこのマンション、大切な特注品を買ってくれる人はいるでしょうか?
私と同じ趣味、私と同じセンス、私と同じ家族構成、私と同じ価値観、それがわかってくれる人は私しかいません。
つまり、売ろうと思っても他に買ってくれる人がいないのです。
リノベも凝ればいざというとき苦労する。
結局、売れずに自分の首を絞めてしまうのです。
いかがでしょうか、いま流行のリノベも調子に乗るとAさんのようなしっぺ返しが来るかもしれませんね。
(中山 聡/一級建築士・不動産鑑定士)
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