中国“人”のアフリカ進出。
今回はKenさんのブログ『Tokyo Life』からご寄稿いただきました。
中国“人”のアフリカ進出。
崩壊国家で名高いジンバブエの政府から2011年の1年間に国外追放された外国人は100人余りであった、というニュースがありまして、その内訳は予想どおりというか、ほとんど中国人とナイジェリア人だったそうです。
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中国のアフリカ進出がすごい、という話をよく聞きます。たしかにすごい勢いです。ヨーロッパ人が100年かかってアフリカに進出した人数を中国人は10年で超えたとか、ほんとかどうか分からないうわさもあったりで。
ジンバブエに在留している日本人は青年海外協力隊の人もいれて70人くらいだそうです。他方、こないだ聞いた話では、ジンバブエにある中国大使館が把握している在留中国人は4000人くらいだとか。中国の人口が日本の人口の約10倍なので日本人の10倍いてもおかしくはないけど、実に50倍以上。で、これでもすごい数だとは思うんですけど、現地の人に聞くと「そんなもんじゃないだろう」という話です。中国大使館が把握していない中国人の流入がかなりあるはずだとおっしゃる。1万人は下らないだろうとしたり顔で言う人もいる。
私もこのところ縁あってジンバブエに滞在しているんですけど、たしかになんだか素性わかんない中国人がいっぱいいらっしゃる。現地語も英語もほとんどできない人とか。
アフリカではどこでもよくあるんですが、中国政府がアフリカ支援としてスタジアム、国会議事堂、道路、空港、博物館、そういうものを造ってあげていて、その見返りに鉱山の採掘権を得たりしている。で、その際、建築資材から土木作業員から一切合切中国から持ってくるんですけど、そんなことやって人と物の往来が増えて関係が深まり現地事情にも慣れてくると、アフリカの国が発注する公共事業を中国企業が受注するようになる。なんつったって安いし。あるいは中国企業とアフリカ現地企業(公営企業が多い)の合弁事業なんかが立ち上がったりする。
で、たぶん、ここからは推測ですが、そうやって政府や政府系企業の事業の一環としてアフリカに渡ってきた中国人が現地に居残ったり、あるいはアフリカに行った人の“つて”で一旗揚げようと商売にやってくる個人事業の中国人がけっこういるんじゃないかと思うのです。貿易ブローカー、中華料理屋、商店経営などがよくみられますけど、アフリカらしく農業やその関連の商売、さらには鉱業もあるようにみえまして。
鉱業っていっても、オーストラリアとかで見られるような大規模に投資してやるやつじゃなくて、ごく小規模なものがアフリカではよくあるんです。砂金堀りに毛が生えたくらいのやつ。何を掘っているのか知りませんが、田舎の方に行ったときに思いがけないところに校庭くらいの広さの“鉱山”があって、中国語の看板が立ててあるのを見かけたことあるし、採掘許可をだす役所の窓口は中国人が列をなしてる、という話も聞いたことありますし。
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グローバル化の時代、特殊な技能がなく、高度に知的な仕事をするわけでもない一般労働者の賃金水準はいずれ国際的に収斂(しゅうれん)すると言われてますけど、たとえ日本の労働者が国内で食い詰めるようになっても、この中国人のアフリカ進出の様相がやがて日本人にも見られるようになるとはちょっと想像しにくいです。
いや、かつて日本人も南米に移住したし、アメリカに憧れて裸一貫で勝負、なんてこともあることにはある。でも、再び日本人が、商機を求めて個人で、あるいは家族や友人同士で“最後のフロンティア”アフリカに大挙してでて行くことはもうないんじゃないでしょうかね。日本はもうそこまで若くはないでしょう。
中国が急速に豊かになっているとはいえ、平均すればまだ一人あたりGDPは日本の10分の1、本国にいてはどんなにがんばっても芽がでない人々もまだまだ多いんだろうと思うのです。それが、アフリカでうまくいけば、車買って広い家に住んで、使用人さえ雇うこともできる。そういう成功を目指してアフリカに来ている人が多いんでしょう。
そういう、アフリカにある中国大使館でさえ把握していない人の流れがあるのだと思います。アフリカ54か国に在住登録している日本人は合わせて7000人台です。そしてこれも明確な根拠のある数字ではないですけど、アフリカの中国人は100万人を超えているのでないかという話もあります。
中国のアフリカ進出の勢いがすごい、って中国政府・企業の進出や地下資源の獲得の勢いがすごいっていうのもあるけど、“人”の進出もかなり無視できない水準なんじゃないですかね。
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ちなみに、ジンバブエ政府から追い出された中国人は、ほとんどが無許可営業の飲食店、商店の経営者だったそうです。
執筆: この記事はKenさんのブログ『Tokyo Life』からご寄稿いただきました。
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