村人に化けた人食い狼から村を救え!『嘘つき村の人狼』に参加してきた

読者のみなさんは、“人狼”というゲームをご存じだろうか。複数人で集まって遊ぶパーティーゲームで、それぞれが“村人”と“村人に化けた人狼”になり、“人狼”を全員処刑するか、“人狼”と同じ数まで村人を捕食するかで勝敗が決まるという一見シンプルなゲームである。

一部の層で非常に人気が高いということもあり、筆者も最近になって初めてやってみたのだが、その奥深さたるや、ゲームを終える頃には一本の短編ミステリー小説の登場人物にでもなっていたかのような感動を覚えるほどだった。

しかしなかなかどうしてこの“人狼”、経験者がいないとルールやコツがわかりにくいゲームである。せっかくプレイしても「いまいちよくわからない」ではもったいない。
そこでだ! 初心者の方でも気軽に味わうことができるイベントがあることを伝えたく、レポートを含めて紹介したいと思う。

~嘘つき村の人狼~

特別にリハーサルに参加させてもらえるということで、数人の同僚と一緒におじゃましたのは、お台場『東京カルチャーカルチャー』というところ。
※実際には前売りのチケットが必要である。

巨大観覧車のすぐ近くにあったので、迷うこともなく到着できた。扉を開けて一歩足を踏み入れた時から、我々は“嘘つき村”という村の村人になるというわけだ。

■初めに振り分けられる17の家族

会場には、A~Qまでのアルファベットが振られた17のテーブルが置かれていた。筆者と同僚の1人が案内されたのは“D”のテーブル。このアルファベット1つ1つが村人の“家族(チーム)”を示すらしい。そして今回は、そのうちの3家族が、“村人に化けた人狼”なのだという。おお怖い……。

■1家族1家族に与えられる“役職”

ゲームが始まる前に、1家族ずつ別室に呼ばれ、役職を言い渡される。役職の種類はそのときそのときでまちまちなのだが、今回は全9種類。そのうち筆者は“占い師”を言い渡された。占い師は“夜”にその能力を発動できる。詳しい能力については、後々説明するとしよう。

■ゲームは“昼”と“夜”の半日単位で進行

ゲームはまず”夜”の部から始まる。全員が顔を伏せ、眠りにつく。司会者の号令に応じて、人狼同士が互いの家族を確認し、その日の夜に捕食する1家族を決定する。
※開始時は司会者が犠牲者に取って変わる。

それからが筆者“占い師”の出番である。占いたい家族を指定すると、その家族が“人狼”か“村人”かを知ることができるのだ。
それではAの家族を占ってみよう。結果はなんと“人狼”!
しかしこの結果が、さらなる波乱を巻き起こすことになるのである。

村人には誰が人狼かわからないため、投票によって処刑する家族を決めなければいけない。当然、村人を処刑してしまう可能性もある。それを防ぐために行われるのが“昼の全体会議”である。
村人は人狼を見つけ出すために怪しそうな家族に揺さぶりをかけ、役職に就いている人は夜に手に入れた有益な情報を報告していく。

当然村人に化けた人狼も黙ってはいない。他の村人を疑ったりして怪しまれないよう振る舞い、あたかも役職就きの村人のように、狂言を吐いて村人を混乱させていく。

会議の時間は決められており、会議が終わるまでに全家族が処刑したい人を投票して、最も多くの票を集めた家族は、村人であれ人狼であれ、その場で処刑されてしまう。処刑された家族が村人だったのか、人狼だったのかを知る術はない(※ルールによっては処刑された家族が村人だったのか人狼だったのかを知る役職が存在するが、今回はなかった)。
次の日の朝、人狼による犠牲者がでなかったことを確認するまで、 村人は一時も安心はできないのだ。

■村人を疑心暗鬼に陥れる“全体会議”

この全体会議こそ、この“人狼”の最大の醍醐味(だいごみ)と言える。会話の内容に真偽は問われない。つまり、いくらでも嘘をついていいというわけだ。自分が疑われなくなるのであれば、いくらでも……。

“占い師”という職業は、能力だけを見ればすごく有利に思えるが、筆者が「私が占い師です。昨日占ったこの家族は人狼でした」といっても、他の人狼が「いや、私が占い師です。筆者を占ったら人狼でした」と言うだけで、簡単に筆者も疑われる側になってしまうのだ。
それだけではない。人狼からすれば、占い師は唯一の天敵である。一夜を過ごしただけで“占い師”などと明言すれば、その夜には骨の髄まで食い尽くされてしまうだろう。

1日目で人狼を1家族当てた筆者だったが、葛藤の末にだんまりを決め込むことにした。人狼は全部で3家族。せめてもう1家族わかってから……。そうしてまた正体不明の家族が処刑され、もやもやした気持ちのまま眠りについた。
そして筆者は、もう二度と目覚めることはなかった……。

■やればやるほど深みが増すスルメのようなゲーム

結果、村人の言葉巧みな決死の奮闘もむなしく、人狼の勝利に終わった。ゲームが終わった後は、誰ともなく他の参加者も加わって次のゲームに向けての反省会が行われ、「あの時はこうしておけばよかった」「初めの揺さぶりがちょっと足りなかったか」などとあーでもないこーでもないと話し合ったのが、また面白かった。

時間の都合上2ゲーム目はできなかったが、帰りの電車の中で次回に備えて1人で作戦を練っている自分がいた。自分の作戦を試したくて、会社の連中を集めてまたやりたいとうずうずしていた。
「ハマっちゃいましたね(笑)」
次の日の朝、同僚に言われたそのひと言が全てを物語っていたように思う。

■いつでもどこでも手軽に楽しめることもポイント高

所要時間は大体1時間~1時間30分程度。参加人数にもよるし、人狼がすぐ見つかればあっという間にゲームが終わるときもある。何より“道具を全く必要としない”ところが良い。
今回は公式のイベントだったため演出も大がかりだったが、公園でも居酒屋でも、8人程度集まれば十分楽しめる内容になっている。

本番のチケットは売り切れてしまっていたが、もし機会があれば是非また参加したいと思う。

※今回おジャマしたのは株式会社ドロッセルマイヤー商會主催の『嘘つき村の人狼』というイベントです。今回が初めての開催で、またそのうち2回目も開催するとのこと。もし興味を持った方がいれば、お試しあれ!

公式サイト:嘘つき村の人狼
http://jinrou.info/

※この記事はガジェ通ウェブライターの「鶴岡 俊和」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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