ビジネスマンこそ日本茶を? 自由が丘、東横線沿いの「ジャパニィズティー」が気になる

自由が丘に行くたびに思うのが、本当にここは「スイーツの街」だなぁ、っていうこと。老舗洋菓子店やパティスリー、人気のアップルパイやチーズケーキ専門店などが立ち並び、そこかしこから甘い香りが漂ってきます。
街行く人もなんとなく女性が多くて、皆さん洗練されたスタイルの方ばかり。筆者のように普段からカジュアルで着やすい服ばかり着ている者にとっては、なんとなく背伸び気分で歩きたくなる街なのです。
けれども最近、自由が丘駅の北口を出て、そのまま東急東横線の線路沿いを歩いて2分くらいのところに、気になるお店を見つけました。


「ジャパニィズティー……」

なんとも古風な筆文字に、急須のマーク。そう、ここは日本茶のお店なんです。「すすむ屋茶店」はもともと鹿児島にある日本茶専門店で、その支店として2016年9月にオープンしました。

迎えてくださったのは、自由が丘店店長の住吉さん。
あの、「ジャパニィズティー」って文字、めちゃくちゃ目を引きますね。
住吉さん:鹿児島在住の書家・石原美紅さんに書いてもらったんです。同じ文字が本店にもあるんですよ。おかげさまで、文字をご覧になって入ってこられるお客さまも多いです(笑)。
ですよねー! さっき前を通りかかっていた学生さんも「ジャパニィズティー」って読みあげてましたもん。声に出してみたくなる言葉です。

店内はスタイリッシュな感じですね。なんか、コーヒースタンドみたいです。
住吉さん:そうですね。コーヒーのように、日本茶も産地や農家、茶匠、焙煎の加減やブレンドによって味わいや香りも異なります。食後に気軽に飲んでいただくのはもちろん、シーンや好みに合わせてお茶を選んでいただけたらいいなと思うんです。いろんなお茶の楽しみ方を提案していけたらと思って、立ち寄っていただきやすいようなお店にしました。
最近、海外でも緑茶がブームになってきているみたいですし、改めて詳しく日本茶のことを知りたくなってきました。
日本茶といえば、静岡や京都の宇治がお茶どころとして有名ですけど、鹿児島でも栽培されているんですね。
住吉さん:そうなんです。鹿児島は日本茶の生産量第2位なんですよ。産地としては日本の最南端にあたるので、新茶の時期も本州より早いんです。「八十八夜」と言われるように、立春から88日目……だいたい5月1〜3日に新茶を摘むことが一般的ですが、鹿児島の場合、種子島や屋久島など早いところでは3月末に出荷が始まるところもあります。当店では4月下旬から新茶をお出ししますよ。
なるほど。「新物」は縁起がいいと言われますけど、真っ先にゲンを担ぎたいひとは鹿児島のお茶を選ぶといいんですね。あぁ、なんだかさっきからお茶のいい香りがします。
住吉さん:今、緑茶をアロマポットで炊いているんです。お茶の香りって、心を落ち着かせてくれますし、消臭効果もあるんですよね。もしご家庭でされるなら、好みに合わなかったものや、賞味期限の切れてしまったものなどを使うと、捨てずに済みますよ。

おぉ……! これはいいアイデア! アロマオイルだと香りが強すぎて、なんとなくそわそわしちゃうんですよね。これなら香りも穏やかだし、家に帰ってからくつろぐのにも良さそうです。

それにしても、ひと口に日本茶といっても、いろいろあるんですね。緑茶もいろんな種類があるし、ほうじ茶、薩摩紅茶……うーん。迷います。どれかオススメのものをいただいてもいいですか? せっかくなので、煎茶の正しい入れ方も知りたいです!
住吉さん:では、当店でいちばん人気の「こくまろ」を入れますね。甘みの強い「サエミドリ」と、こくがあって飲みごたえのある「ユタカミドリ」という品種をブレンドしてあるんです。

うわぁ……きれいな深緑色。こんなに鮮やかな茶葉、あまり見たことがない気がします。
住吉さん:当店の煎茶は「超浅煎り」という焙煎方法なんです。茶葉の個性を引き出せる方法なんですけど、味わいを安定させるのが難しいので、他のところではあまり取り入れられていないんです。当店は母体が鹿児島で4代続く製茶会社で、お茶の栽培から加工、鑑定、販売までを手がけているので、実現できました。
なるほど……確かに、最近サードウェーブ系のコーヒー屋さんなどでも浅煎りが主流になっていますけど、豆そのものの個性や果実味が引き出されるぶん、味にブレが出やすくなって、バランスを取るのが難しくなる、って聞いたことがあります。
個人的にはフルーティな香りが好きなので、浅煎りのコーヒーは好みなんですけどね。超浅煎りの煎茶……! 期待しかないです!

住吉さん:まず急須に茶葉8gを入れて、70〜80℃ほどのお湯180〜200ccを直接茶葉に当たらないようにそーっと注ぎます。それからフタを閉めて1分間待ちます。この間、急須はゆらしません。
そして……。

コポコポコポコポ……


シュッ! シュッ! (急須を振り下ろす音)

スッ……
住吉さん:はい、どうぞ。
……び、びっくりした! いきなり何が始まったのかと思いました!
住吉さん:(笑)。紅茶と同じように、急須の最後の一滴にうま味が残っているんですよ。こうして最後までしっかり注ぎきって、急須にお湯が残らないようにするんです。

うわぁ、お茶の穏やかな甘い香り。では、いただきます。
……え、なんかお茶とは思えないくらいのとろみ! 口の中でとろんと溶けて、コクのある味わいが広がります。後味はスッとさわやか。まったく渋みもないですし、お茶を飲んだ後に残るキシキシ感みたいなのもないです。すごい! こんなの飲んだことない!

ほら、お茶を入れた後なのにこんなに茶葉が青々とみずみずしいんですよ。もちろん、2杯目おかわりしちゃいますよね!

2杯目なのにこんなに色鮮やか! でも甘くておいしい!
住吉さん:十分に茶葉が蒸らされているので、2杯目は軽くお湯を通すだけでいいですよ。
本当にお茶って心が落ち着きますね……。月並みな言葉だけど、日本人に生まれて良かった。
あ、でも落ち着くだけじゃなくて、なんとなく気持ちがスッキリしてきました。
住吉さん:緑茶にはカフェインも含まれているので、気分を高揚させてくれるような効果があるかもしれませんね。
なるほど。コーヒーやエナジードリンクだと「さぁ! やるぞ!」って感じになりますけど、緑茶だと「さ、そろそろ始めようかな」みたいな、平熱よりちょい高めな感じ。緊張と緩和のバランスがいい具合に保たれて、なんだか仕事もはかどりそうです。職場でもこういうふうに飲めたらいいのになぁ……。
住吉さん:出先だったら、ティーバッグで入れる、というのもひとつですよ。急須がなくても、お茶の温度さえ少し気をつけてもらえたら、おいしくいただけます。ポットのお湯を2、3回カップ同士で移し替えれば、適温になりますから。
それなら簡単ですね。よし、じゃあ今度からオフィスにも煎茶を常備しておこう。
お店には煎茶ティーバッグ(5個入り 540円)はもちろん、テイクアウトできる本日の日本茶(432円)などもあるので、職場近くの方は立ち寄ってみるといいと思います! 私もこんなティースタンドがある街に通いたい!
お店情報
すすむ屋茶店 東京自由が丘
住所:東京都目黒区自由が丘1-25-5
電話番号:03-6421-4142
営業時間:10:00~19:00(喫茶:10:30~18:30)
定休日:第1・3水曜日
ウェブサイト:http://susumuya.com
※金額はすべて消費税込です。
※この記事は2017年3月の情報です。
書いた人:大矢幸世

転勤族の父親と夫を持ったがために、愛媛、群馬、東京、京都、福岡、鹿児島、福井を渡り歩いた流浪系ライター。現在地は東京。地元はしいて言えば福岡。立命館大学卒業後、百貨店勤務、フリーペーパーの編集を経てフリーランスに。月刊誌や広報誌、WEBなど各媒体で執筆中。著書に『鹿児島カフェ散歩』(書肆侃侃房)。 Twitter:@saci_happiness
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