確定申告を忘れて諦めていた「住宅ローン控除」。5年以内なら間に合うって本当!?
住宅ローンを利用してマイホームを購入するとき、いくつかの要件をクリアすれば所得税から一定の額が差し引かれる「住宅ローン控除」の制度を受けることができます。そのためには、会社員であっても住宅ローンを利用して住宅を購入した翌年は確定申告が必要です。しかし、確定申告の期限(2017年3月15日)には忙しくて間に合わなかった……と諦めている人もいるかもしれません。でも実は3月15日を過ぎても大丈夫。なんと5年以内ならセーフなんです。どういうことなのか? 専門家に聞きました。
住宅ローン控除を受けるためには初年分は確定申告が必要
お話を聞いたのは、住宅ローン控除に詳しい税理士法人入江会計事務所の税理士・櫻間敬夫(さくらま・たかお)さん。まず、住宅ローン控除の仕組みについて聞きました。
「住宅ローン控除とは、所得税の税額控除の制度の一つで、“要件を満たせば税金が減少する制度”です。住宅の購入を促進したい国の方針に則して定められており、一定要件を満たした住宅を住宅ローンで購入して6カ月以内に住み始めれば、税金上お得になるというものです。
会社員であれば、給料から源泉徴収としてあらかじめ税金が天引きされているので、もともと払っている税金がある程度あるはずです。その支払済の税金からさらに控除されるものがあれば、税金の一部が戻ってきます。確定申告することによって返ってくる、いわゆる税の還付を受けることができます」(櫻間さん、以下同)
正確には住宅ローン控除は“税額控除”、年末調整の段階で実施される生命保険料控除は“所得控除”なので手続きの方法が違います。住宅ローン控除を受けるためには、いくつか要件があります。詳細については、過去の記事も参照してみてください。●参考記事(SUUMOジャーナル)
・確定申告で税金が戻ってくる、住宅ローン控除ってどんな制度?
・住宅ローン控除って、実際いくら戻ってくるの?
生命保険料控除などの控除については、会社員であれば年末調整のときに会社側で処理してくれますが、住宅ローン控除のポイントは初回のみ自身で確定申告を行わないと還付が受けられないという点です。
「住宅ローンで住宅を購入した翌年に、確定申告を行うことで住宅ローン控除の適用を受けることができます。1年目のみ確定申告をする必要がありますが、2年目以降に関しては、確定申告をする必要はありません。初回の確定申告が完了すると、その年の10月ごろに税務署から『年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書』が残りの年数分送られてきますので、こちらをもとに次年分からは会社の年末調整の際に、『給与所得者の扶養控除等申告書』や『生命保険料控除証明書』などとあわせて提出します」
つまり、1年目は税務署から直接お金が還付され、2年目以降は会社の源泉徴収の天引き計算の中で処理され還付されるというわけです。
還付額が大きい住宅ローン控除、5年間分で100万円の還付を受ける人も
では、本題の「住宅ローン控除は5年以内に確定申告をすればセーフなのか」についてですが、確定申告を行えば、「5年以内の過ぎてしまった年数分の還付が受けられる」ということになるようです。ただ、借入時から申告する年分までの書類をそれぞれの年分を作成しないといけないとのこと。
「住宅ローン控除に限らず“還付”に関しては、期限が5年間猶予されているので、5年以内に確定申告をちゃんと行えば還付してくれるというかたちになりますね。
もし平成24年に住宅ローンを借り入れて住宅を購入したのであれば、平成29年の12月31日までに確定申告を行えば住宅ローン控除に関する還付を受けることができます。ただ、平成24年から平成28年の5年間分の還付を受けようとするならば、それぞれの年分の確定申告書を一気につくって提出する必要があります」
確定申告時の必要書類は、銀行から送られてくる「借入残高証明書」、会社から発行される「源泉徴収票」の原本、土地/家屋の「登記簿謄本」や不動産の売買契約書、そして住民票やマイナンバーカードなどです。詳しくはお近くの税務署に確認してみましょう。
申告書の作成は、国税庁のホームページにある「確定申告書作成コーナー」からも可能。思っているほど手間は掛からないわりに、メリットは大きいと櫻間さんは言います。
「住宅ローン控除の限度額は居住を開始した年分に応じて、決められていますが、生命保険料控除にしてもふるさと納税にしても、そこまでの税制優遇は受けられません。かたや『住宅ローン控除』は、大幅な税の還付が見込めるので、メリットが大きいといえます。
これまで、ご相談に来られたお客様のなかには、5年間分で100万円還付があった方もいらっしゃいました。所得や家族構成に応じて変わってきますので、一概にはいえませんが年収500万円くらいと考えると、5年間で50万円くらいの還付が受けられると思います。どうしても申請が手間で、税理士に報酬を払って依頼したとしても、十分な額の還付は受けられるはずです」
申請をしたところで、どうせちょっとの税金しか戻ってこないだろうと侮ることなかれ。もし、控除の要件を満たしているのに、申告していないようであれば損をしている可能性大! できれば5年も待たずに、来年の確定申告に向けて早めに準備を進めておいたほうがいいかもしれません。●取材協力
・税理士法人 入江会計事務所
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