ターミナル駅なのに西武新宿駅が「微妙な場所」にある理由

「都心のターミナル駅」と聞いて、どんな駅を思い浮かべますか?

東京駅や大阪駅、名古屋駅や新宿駅など都心の中心地に立地し、JR/民鉄/地下鉄含め各路線が多数乗り入れている駅をイメージするのではないでしょうか。

しかし、中には“少しずれた場所”に立地するターミナル駅も。思わず「なぜこんなところに?」と思うその疑問を解き明かしていきたいと思います。

今回クローズアップするターミナル駅は「西武新宿駅」。

f:id:tany_tanimoto:20170414171839p:plain

西武新宿線のターミナル駅である「西武新宿駅」とは?

通常、「新宿駅」というとJR東日本を中心に小田急・京王・東京メトロ丸の内線・都営地下鉄新宿線や大江戸線が乗り入れ、1日の平均乗降客数が約342万人(2015年)と世界一を誇る巨大ターミナルを指します。

さらに昨年、駅南口の甲州街道沿いに、国内最大級のバスターミナルである「バスタ新宿」がオープンするなど、ますますターミナル駅としてスケールアップを続けています。

その新宿駅から北へ400~700mほど離れたところにあるのが、今回クローズアップする「西武新宿駅」。

大手私鉄の1社である西武鉄道の基幹路線である新宿線(西武新宿駅~本川越駅)の、都心側のターミナル駅で毎日、多くの通勤電車をはじめ特急「小江戸」も、同駅から発着しています。

…といっても実はこの西武新宿駅が「西武鉄道の中で最大のターミナル駅」というわけではなく、1日の平均乗降客数が約18万人弱と、同じく西武鉄道の基幹路線である池袋線のターミナル駅「池袋駅」はもとより、西武新宿駅の隣にある「高田馬場駅」よりも少ないのです。

その理由は、やはり立地環境。

お隣の高田馬場駅がJR山手線と東京メトロ東西線の2路線に対してスムーズに乗り換えられる利便性が、通勤客を中心に広く支持されています。

それに対して西武新宿駅の場合、他の路線に乗り換えようにも最低10分程度は徒歩で移動する必要があるため、都心のターミナル駅であるにもかかわらず、どこか「長閑な雰囲気」を駅全体が醸し出しているのも、この駅の大きな特徴かもしれません。

本当は新宿駅に乗り入れる予定だった?西武新宿駅の謎

そろそろ話の本題に入ります。

なぜ巨大ターミナル駅「新宿駅」から離れた場所に「西武新宿駅」があるのか? その理由で現在、最も有力な説は「当初目指していた新宿駅乗り入れが、諸事情により中止となり、現在の場所に駅が固定化された」というもの。

今の場所に駅が設置されたのは、65年前の1952年。

当時、高田馬場駅から新宿駅に延伸・乗り入れを目指していましたが、新宿駅の区画整理事業や駅ビル開発などが予定されていたため、「仮駅」として開業しました。

そして時は流れて、東京オリンピックが開催された1964年、新宿駅東口に新たな駅ビルが完成(現在の「ルミネエスト」)した際、その2階部分に西武線のホームを設置して、本格的に乗り入れる予定でした。

しかしビルの制約上、狭いホームしか設置できず(島式ホーム2線で6両編成対応分※ちなみに現在の西武新宿駅はホーム2面3線で10両編成に対応できる長さ)、高度成長期で乗客数が急増していた当時、将来を見据えた時にこのホームでは乗客を適正にさばくことができないことから、乗り入れを断念。

結果的に仮駅として開業した今の場所が、西武新宿駅として正式なターミナル拠点となったのです。

もし仮に新宿駅東口ビル2階に乗り入れていたら、西武鉄道にとって新宿駅は名実ともに“真のターミナル駅”となっていたことでしょう。

WRITING:山田モーキン イラスト:海月あいる

関連記事リンク(外部サイト)

【マンガ】仕事の能率を上げる!最強のAI活用術
女性の「グチ」は正面から受け止めるな!“避雷針”になれ!――山口拓朗の「夫婦円満法」
【マンガ】ワンマン社長、出会いと別れのお花見

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. ターミナル駅なのに西武新宿駅が「微妙な場所」にある理由

リクナビNEXTジャーナル

ビジネスパーソンのための、キャリアとビジネスのニュース・コラムサイト。 キャリア構築やスキルアップに役立つコンテンツを配信中!ビジネスパーソンの成長を応援します。

ウェブサイト: http://next.rikunabi.com/journal/

TwitterID: rikunabinext

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。