宇宙特集:BO NINGEN Special Shoot & Interview
Edit: Ryoko Kuwahara | Photo Edit : Ryoko Kuwhara | Photography: Akiko Isobe | Hair&Make-up: Masayoshi Okudaira | Model: BO NINGEN
Edit: Ryoko Kuwahara | Photo Edit : Ryoko Kuwhara | Photography: Akiko Isobe | Hair&Make-up: Masayoshi Okudaira | Model: BO NINGEN
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BO NINGENの魅力のひとつは中毒性と言われる。音圧、シャウト、歪み、ループーーともすれば不快にもなりかねないファクターが彼ら4人を通すことでトリップを誘う装置へと変わる。その装置がいかに生まれえたのかという疑問とともに、音楽と宇宙という壮大なテーマをぶつけてみた。
——ノイズ、サイケというと、幻想的だったりトリップするような感覚という意味でなのか、よく宇宙的な表現を使われますよね。BO NINGENも今はまたちょっと違うフェイズだけど、昔は特に轟音というイメージがあって。うるさいはずなのに気持ちいいという不思議な感覚に陥るんです。
TAIGEN「確かにBO NINGENはうるさいという定評がありますよね(笑)。まあ、ノイズでいうと、赤ちゃんがノイズを聴いて寝るのは気持ちいいからというのと、守るためにシャットダウンしているという両方の説がある。見ていると気持ちいい感じなんだろうとは思うけど、胎児の時は身体の中で聴こえてくる音がうるさかったと思うんですよね。轟音での恍惚はその疑似体験なのかな」
MONCHAN「僕は一回、無聴覚を体験したことがあって。完全なサイレントで鼓動と脈の音しか聴こえないところに入ったことがあるんだけど、そこに2時間くらいいたら錯乱するらしいんです。本当にものすごく気持ち悪くなったから、雑音は大切だなと思いました」
TAIGEN「すごいね、そんな体験してたの知らなかった(笑)。でもね、うちらの昔の曲を聴いていると、実はアルバム全体でうるさいわけじゃないんです。だから、ライヴの印象じゃないかなと。ライヴでは、他のバンドに出てない周波数は出てると思う。ベースで言うと他のバンドがカットする周波数をカットしないし、ギターもアンプに無理させてようやく出る音だし、ドラムも歪みとかが全然違う。この間、MONCHANが『ライヴハウスのドラムを使ってても自分の音が出るんだね』って言われてたけど、うちらは機材が違ってもやらなきゃいけない環境が続いてたので、自分の音を出すというのはずっと技術+気合いでやってきた。他のバンドで削られている音が出ていたり、音が綺麗に切ったり別れたりもしてないから、聴覚的にこれまで体験したことがない音としてうるさいと言われるかもしれないし、うるさいけど嫌じゃないということにもなるかもしれない。なんにしろ、『こんなの初めて』って言われるのは嬉しいよね(笑)」
——(笑)。作るときにもヘルツだったり、そういう部分でのトリップ感を意識することはありますか?
TAIGEN「作るときにはないけど、録音物にするときに周波数のところで色づけしていくというのはあります。イギリスっぽいのはミッド・レンジで、アメリカっぽい音にするには高音のザラッとしたところをつけるとか。国によって周波数の好みがあって、日本人は高周波数を高尚なもので、低周波数はよくないと思っているという説があったりする。能などでも、高音で神を呼ぶという考えがあるから高い音を使うとか。日本は地震もあるし、昔の建築からしても下からの音というのがあまりよいとは思われていなかったのかもしれない。それに比べ、大雑把に言うと欧米ともに海外はもっと大地に近い音が力の源とされている気がします。イギリスも低音を意識する文化だからライヴハウスはもちろん、パブですら下の音が出るんです」
——国ごとに捉え方が違うのはおもしろいですね。
TAIGEN「フロア内を宇宙と捉えると、その宇宙観もアメリカとイギリスで違うと思う。クラブミュージシャンが言う『低音で宇宙を目指しています』というのが、イギリスはどちらかと言うとインナーで、アメリカはPファンクから来てるイメージ。ダブステップも元々イギリスの内に入ってくるその感じから生まれたんだけど、アメリカに吸収されて中域が出る感じになっていったのがわかりやすい違いだと思う」
YUKI「でも、フロアが宇宙というのはほんまやなと思う。全てが過去になるんですよ。ライヴでバーンって音出して、フロアの一番奥のほうにいる人に届くのは厳密に言うと自分らからしたら過去やから、なんかそういう意味で言うと、ライヴという場では演者とお客さんとがその時間や空間を超えて繋ぎ止めよう、繋がろうとしてるのかなと思う」
TAIGEN「本当にそうだね。届くまでに絶対0.1秒は差が出るから」
MON CHAN「うん。物質が全部素粒子で形成されているとすると、見えないところにもものは詰まっている。そこに音という波を通し、膜を振動させて聴こえているわけで。なにも音を発しなければ波もなく繋がりもないけど、音を発信することによって見えないけれど振動で繋がる。その顕著な例がライヴであり、それは視覚や熱、匂いなど全ての五感を使って伝えるという行為だと思います。そうやって考えていくと、距離の問題ではなく、繋がるということが重要になってくるんですよね。だから宇宙の概念も変わってきていて、昔は月などという場所の概念だったけど、今は内側だったり感覚的な部分を宇宙と定義しているんじゃないかなと思います」
——その定義の変化は近年特に顕著ですよね。ジャケットなどのヴィジュアルを手がけるKOHHEIさんからしても、思うところがあるのでは?
KOHHEI「外側にある宇宙と内側にある宇宙がコレスポンド(一致)しているという考え方はすごく古くからあったと思うんです。ものをどんどん細かくしていったら原子、電子、中性子、素粒子となって、それぞれが似たような構造をしているわけじゃないですか。なにかがあって、なにかが回っていてという。大きいスケールで言っても、太陽があって地球が回っていて、僕らの時間という意味では無限にどちらにも続いている。その中のどこに自分を置くのか、どこに視点を置くのかというコントロールをしているかもしれないとは漠然と感じます」
——ヴィジュアルと音楽制作のどちらにおいても?
KOHHEI「僕はどちらもやり方に違いはないんです。どちらかと言うとヴィジュアル寄りの考え方で、デザインするところから始めてどう組み合わせるか。その中で時間軸や視点を探ることはしているんじゃないかな」
TAIGEN「ヴィジュアルは視点勝負な部分もあるもんね」
KOHHEI「音楽は3分の曲は3分かけないと聴けない。弾く側にしても、先の2分、後の1分とかを同時に見ながらやらないといけないし、そうじゃないと曲なんて作れない。独特の時間の感覚ですよね。でも写真や絵画という、一瞬で全てが見えると思っていたヴィジュアル的なものの中でも、この先はある程度そういう時間の感覚が出てくるんでしょうね」
TAIGEN「ああ、そうだね。写真で大きく撮っておいて、後で使う部分だけ抜くというのもいまの技術だとできるけど、それでは出せないシェイプやディテールがある。音でも、綺麗に録っておいて後で変えることもできるけど、焦点を合わせておいたら密度や出方が全く変わる。そういうところで、自分たちの作品をどういう視点で見ているか、見てほしいかというコントロールはできるし、その視点を伝えるのは重要だと思う。もちろん音楽は再生環境に依存する部分もあるからその時々のフォーマットがあるけれど、そこを超越した視点、つまり音や作品への向き合い方は劣化しないはずだから」
Edit: Ryoko Kuwahara | Photo Edit : Ryoko Kuwhara | Photography: Akiko Isobe | Hair&Make-up: Masayoshi Okudaira | Model: BO NINGEN
photo Akiko Isobe
hair&Make-up (Head Piece & Mask) Masayoshi Okudaira
direction & interview Ryoko Kuwahara
BO NINGEN 最新シングル「Kizetsu no Uta」MV
BO NINGEN
『Kizetsu no Uta / Live in Paris』
発売中
完全生産限定盤 紙ジャケ仕様 全6曲収録
01. Kizetsu no Uta
02. Slider
03. Henkan
04. Koroshitai Kimochi
05. Natsu no Nioi
06. Daikaisei Part II, III
Track 1 :New Song
Track 2, 3, 4, 5, 6 : Live Track Recorded at La Cigale, Paris, France, 1st March 2016
http://boningen.info/kizetsu-no-uta-live-in-paris-new-release-01062016/
BO NINGEN
ロンドンを拠点に活動する日本人男性4人組サイケデリックロックバンド。ロンドンのアートカレッジで出会い、結成。UKベースに活動しているにもかかわらず全曲日本語で構成された歌詞と、70年代サイケデリックを体現したような風貌、ヘビーサイケ、スペースロック、ノーウェイブ、クラウトロック、ベースミュージックの要素が混然一体となって押し寄せるグルーヴで人気を確立。これまでに3枚のフル・アルバムをリリースし、グラストンベリー、レディング、コーチェラ、フジロック、サマーソニックなど、世界各地の大型ロックフェスティヴァルにも出演を果たし、インターナショナルなロックバンドとして高く評価されている。2016年はフジロックへ出演、さらにプライマル・スクリーム、スーパー・ファーリー・アニマルズ、サヴェージズのサポートアクトを務めるなど世界中の各世代の大物アーティストが今、最も注目するアクトとして高い評価を獲得している。
http://boningen.info
宇宙特集
『Voyage of Time : Life’s Journey』Sophokles Tasioulis Interview
http://www.neol.jp/culture/54182/
画家・笠井麻衣子インタビュー
http://www.neol.jp/culture/55162/
都市で暮らす女性のためのカルチャーWebマガジン。最新ファッションや映画、音楽、 占いなど、創作を刺激する情報を発信。アーティスト連載も多数。
ウェブサイト: http://www.neol.jp/
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