「世界一傾いている建物」とは?

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「世界一傾いている建物」とは?

ロンドンの観光名所で、『ビッグベン』の愛称で知られるウェストミンスター宮殿(英国議会)の時計台が、目に見えて傾いている、とロイター通信などが報じた。報道によると、1970年代の初めに行われた地下駐車場の建設などで地盤が変化したことにより、先端が北西方向に0.26度傾いたという。
[写真:Big Ben / shining.darkness]

『ビッグベン』の傾き自体は大きくなく、今のところ倒壊の危険もないというから一安心だが、では、「世界一傾いた建物」はどこにあるのだろうか。

「世界一傾いている建物」とは?

[写真:Pisa Tower / maha-online]
「傾いた建物」と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、『ピサの斜塔』だろう。

イタリア・ピサ市にある大聖堂の鐘楼として建てられた『ピサの斜塔』(1173年着工、1350年完成)は、296段の階段を持つ高さ54メートルの大建築物だ。地盤が軟らかく不均質だった上に、基礎工事も不完全だったため、塔は、工期の序盤で既に傾きはじめていたという。

1990年から行われた、イタリア政府懸命の改修工事の結果、傾斜の進行は現在止まっているが、その傾斜角は垂直軸から5.5度と、『ビッグベン』の20倍以上だ。

この『ピサの斜塔』こそ、「世界一傾いた建物」だと、長年にわたって認識され、ギネスブックにも掲載されてきた。しかし2009年、ギネスブックは、ドイツ北西部エムデンにある教会の尖塔(15世紀の建設)が、『ピサの斜塔』よりも大きく傾斜していると認定し、『ピサの斜塔』は「世界一」の座から転落することとなった。

恐らく、「自然に傾いた」建物の中で「世界一傾いている」のは、ここだろう。

しかし現在、ギネスブックによって「世界一傾いている建築物」と認定されている建物は、別にある。アラブ首長国連邦の首都アブダビにある『キャピタルゲートビル』(高さ160メートル、35階建て)だ。世界最先端の建築技術を駆使してつくられたこのビルは、『ピサの斜塔』の実に3倍、垂直軸から18度も傾斜している。

もちろん、この傾斜はデザインだ。2011年4月に商業リリースが開始されたこのビル、建物自体は傾いているが、床は水平であり、18階~35階には、5つ星のハイアットホテルが入るなど、最高品質の商業空間となっている。

「世界一傾いている建物」とは?

[写真:キャピタルゲートビルの運営会社ADNECホームページ(http://www.adnec.ae/press/viewPress.php?id=1317290865)より]

※この記事はガジェ通ウェブライターの「乃木 穣」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
現在、中央アジア在住。
平日はユースアクティビティ講師として、週末はライターとして奮闘中。
砂漠の国の生活も早2年目。鷹揚な街の人々に助けられながら、何とか暮らしています。

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