なぜ女芸人はウケにくいのか? 女だらけの「R-1ぐらんぷり2017」を女芸人が徹底考察

なぜ女芸人はウケにくいのか? 女だらけの「R-1ぐらんぷり2017」を女芸人が徹底考察
画像は「R-1ぐらんぷり2017公式サイト」より
女芸人の抱えるハンデと、とてつもない爆発力について考えている。

2月28日(火)19:00から「R-1ぐらんぷり2017」の決勝戦がカンテレ・フジテレビ系で放送される。

コンビで出場して日本一を争う「M-1ぐらんぷり」に対して、ひとり芸で誰が一番おもしろいかを決める大会が「R-1ぐらんぷり」だ。

決勝進出者は以下である。

「R-1ぐらんぷり2017」決勝進出者
ブルゾンちえみ/三浦マイルド/横澤夏子/レイザーラモンRG/ルシファー吉岡/マツモトクラブ/石出奈々子/アキラ100%/ゆりやんレトリィバァ「R-1ぐらんぷり2017」公式サイトより

レイザーラモンRG、マツモトクラブ、ゆりやんレトリィバァ、ルシファー吉岡、そして「R‐1ぐらんぷり2013」で優勝した三浦マイルドと、決勝進出経験者が多いのも今大会の特徴だ。

しかし、やはり気になるのは女芸人の多さである。大会史上過去最多となる、女性芸人が4人いることに注目したい。

なぜ女芸人はウケにくいのか

女芸人は、ウケにくい

女性蔑視ではなく、自分がアマチュアの芸人として舞台に立って、また他の芸人を見てきて感じたことである。

もちろん、そうではない場合もあるが、お笑いにおいて、男性と比べて「自分の性別」を持て余すことが多い。

理由はいくつかあると思う。

「女芸人に面白い人が少ない」という印象を抱くのはなぜ?

一見当たり前の様に思えるかもしれないが、大きな理由は、男芸人と比べて女芸人の人数が少ないからだろう。そのため、お客さんも女芸人にはすこし肩の力を入れて見てしまう。

また、女芸人全体の中で、いわゆる売れている女芸人が一割いると仮定する。男芸人の中にも、売れている男芸人が一割いるとする(計算式が雑なのはご勘弁ください)。

売れている芸人の割合が同じだとしても、女芸人は元々の数が少ないから、「女芸人に面白い人が少ない」という何となくの印象が生まれてしまうのだと個人的には分析している。

女芸人がウケにくいのは「女性らしさ」の取り扱いの難しさ

他に挙げられるのは、女性らしさだろう。女性らしさは、ウケを邪魔することがある。ちょっと違うのだが、上品より下品がウケるというとわかりやすいだろうか。

上品で売る人でも、その上品さはわざとつくった上品さだったり、過剰な上品さであることで笑いをとることが多い。自分の出身校「フェリス女学院」をネタに取り入れた「清く正しい上品なお漫談」を行っているたかまつなながそうだと思う。

おばさんキャラを活かしたりするタイプもいる。ひとりコントで周りの男女におばさん目線から毒を吐く田上よしえなどだ。

念のために言っておくが、もちろん、女性ということをうまく使った人たちもいる。ショップ店員のまねなどを持ちネタにしている柳原可奈子などだろう。

女性らしさを前面に出さないネタをやる芸人で、面白い人たちは挙げきれないだろう。ネタの強さで勝負しているという意味でたくさんのバリエーションを持つ友近鳥居みゆきだろうか。

ただ、女性らしさを消そうとして、自分のもともとのキャラクターまで上書きしてしまい、から回って、良さが出なくなってしまっている芸人もいる。そのバランスの取り方が難しい。

つまり、女芸人ははじめから、女性であることによる選択を強いられている、とも言える。(女性としての)自分の持っているものをどう生かすか、あえて生かさないか。

うまくいくと、ウケ方が半端ではない。多数派である男芸人にはないものを持っているのだから、それを使いこなせれば、斬新なネタを産み出すことができる。

お笑いは緊張と緩和、そして裏切りである。まさかこんな風にくるか、という裏切りをつくり出しやすく、その裏切りの幅が大きくとれるのも女芸人だ。

個人的な体験に即して言うなら、私がアマチュア・フリー芸人として舞台に立っていたときには、女性らしさを生かしたネタをあまりつくらなかった。こだわりがあったわけではなく、女性らしさを生かさないネタが思いつきやすかったからだ。

はじめ舞台に立ったときには自分がどう面白くならないといけないかを考えていた。女芸人で売れている人のDVDを見て参考にしていたこともあった。

けれど舞台に立ち続けるうちに、「つくった自分」でネタをやっているときは反応が薄く、ほとんど素である、動きの硬さや棒読みのぎこちないところがウケていると気がついた。それにことばのチョイスと間を練れば、大きな笑いも起こるようになってきた。

大学生最後のお笑いの大会でやったネタがどっとウケた時、自分の、というよりは、女芸人でも大きな笑いが取れるのだ、という可能性の広がりにぞくぞくしたことを覚えている。

というわけで、女芸人4人には、注目である。

個人的には、普段テレビでは男性二人(with B)を従えたネタを見せているブルゾンちえみが、R-1ではひとりでどう戦うのか楽しみだ。準決勝を見てきた人に話を聞いたが、粗くてシュールだったという。

アマチュア芸人による「R-1ぐらんぷり2017」の優勝予想

さて、ここで優勝予想だ!! と行きたいところだが、R-1ぐらんぷりは優勝者の予想がしにくい。敗者復活枠が3つもあるからだ。

敗者復活枠から誰が上がってくるかをまず考えてみる。メンバーはこちらである。

「R-1ぐらんぷり2017」復活ステージ 出場予定者
キャプテン渡辺/中村涼子/紺野ぶるま/あばれる君/とにかく明るい安村/まとばゆう/スリムクラブ真栄田/ぶらっくさむらい/パーマ大佐/平野ノラ/もう中学生/ナオ・デストラーデ/AMEMIYA/脳みそ夫/西村ヒロチョ/パタパタママ木下/ニッチェ近藤/アイデンティティ田島/サンシャイン池崎/バイク川崎バイク/エハラマサヒロ/守谷日和/藤崎マーケット田崎佑一/中山功太/おいでやす小田/藤崎マーケットトキ/粗品(霜降り明星)/クロスバー直撃前野/ZAZY/ヒューマン中村 「R-1ぐらんぷり2017」公式サイトより

(以下、無責任な予想であることをご了承ください)

ZAZYは上がってくるだろう。ネタの完成度が年々良くなっていると感じている。ただ、フリップを使うネタを決勝と最終で2本やるのだとしたら飽きられてしまう可能性がある。というのも、過去にフリップネタのヒューマン中村が1本目はとても面白かったが、2本目に失速した感じがあったからだ。

で、ほか2人である。めちゃめちゃ個人的な好みでいけばキャプテン渡辺に、オンエアバトルでネタを飛ばしてもオンエアになった人間力で上がってきてほしい。

いま、という意味で言えば、脳みそ夫サンシャイン池崎だろうか。

脳みそ夫は水槽に漬かった脳みそと繰り広げる漫談からスタイルを変えて、メディア露出が増えた、確実に能力のある芸人。サンシャイン池崎は「イエェェェーイ」でおなじみだが優勝しないほうが面白いと思う。

音ネタでいえばピアノ漫談のまとばゆうもいいが、優勝するまでの強さがあるかどうかは難しいところだ。

とりあえず、敗者復活予想は、ZAZY、脳みそ夫、サンシャイン池崎ということにしておく。イエェェェーイ。

決勝進出が決まっているメンバーでいうと、今年こそレイザーラモンRGに勝ってほしい気がするが、コント番組ですでにお馴染みのトランプ大統領ネタをやるとして、2本目をどうするのかがすこし心配である。

実力者であるルシファー吉岡にも期待したい。

ゆりやんも大きな爆発力をもつ女芸人だ。外見とフレーズの力、天丼をうまく使うこと、そして意外にしっかりした設定で大きな笑いを生む。去年のR-1での2本目のネタはよかったが、優勝をつかむだけのパワーがあったかどうかは難しいところだった。今年は勝負できるネタを2本用意していることだろう。

期待を込めて、優勝予想はゆりやんレトリィバァとしたい。

R-1ぐらんぷり2017、決勝戦は、カンテレ・フジテレビ系で2月28日(火)19:00から。熱戦を楽しみにしている。

引用元

なぜ女芸人はウケにくいのか? 女だらけの「R-1ぐらんぷり2017」を女芸人が徹底考察

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