難しいテクニックは不要!相手に好印象を与える5つのコミュニケーション術

「言葉でうまく説明できないけど、なんだか素敵な人だな」

初めて入ったカフェの店員さん。行きつけのコンビニに入った新しいアルバイト。後任の挨拶に来た営業担当など、相手に対する情報を何も持っていないのに、なぜか「この人はきちんとしている」「何だか清潔な感じがする」「信用して仕事が頼めそうだ」などと、感じさせる人がいます。

このような「人が感じる印象の差」は、持って生まれた容姿や育ってきた環境のせいと思われがちですが、実は誰でも印象をポジティブに変えることができます。

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そこで5年後、10年後の未来に後悔しないために、印象上手が意識しているコミュニケーション術について、広告代理店勤務時代に3000人以上のVIPに対応した経験を持つ「気配り」のプロフェッショナル・後田良輔さんにお話を伺いました。

コミュニケーションとは「教養」である

「成果を出し続ける人」を20年以上研究し続けて、わかったことがあります。それは成果を出し続ける人は、「コミュニケーションにおけるちょっとした印象の差」を重要視しているということです。

このちょっとした印象の差を積み重ねた結果、他の人よりも信用され、たくさんの人たちが力を貸してくれるようになり、継続して成果を出し続けることができていたのです。

彼らはコミュニケーションに効率や利益は求めません。その代わり「今、自分が何をすると、相手はどう感じるのか」に心をくだいていました。彼らにとっては、コミュニケーションとは持って生まれた才能や才覚ではなく、ある意味、相手がどのように感じるかを追求する「教養」と言えるのです。この相手の心を動かす「教養」を身に付ければ、思うように結果が出せなかった人でも、想像以上の成果を上げることができるようになります。

「教養」とは誰でも後天的に身に付けるものです。彼らが数多くの失敗を重ね、痛い目に遭いながら開発した「このように対応すると信用される」という代表的な5つの教養をご紹介しますので、ぜひ日常の生活に取り入れてみてください。

■お辞儀するときは、相手に「自分のつむじ」を見せる

人は、自分よりも深々と長くお辞儀されると、自動的に「この人は礼儀正しい人だ」「自分を敬ってくれる」と感じ、好感を抱くものです。就職活動の面接や名刺交換の場で、「お辞儀は大切だ」と教わったのもこれが理由です。とはいえ、深々とか長くとかを自分で正確に把握することは難しいものです。「面接の時は30度~45度、腰を曲げて挨拶する」「お辞儀のテンポは、1で曲げ、2で止めて、3、4で戻す」と言われますが、緊張状態の時にこれらをうまく意識することは至難の業。

そこでお辞儀の教養としておススメするのは「自分のつむじを相手に見せる」ということです。相手に自分のつむじを見せれば、自動的に深々としたお辞儀となり、相手よりも遅いテンポで起き上がることになります。目上の人やキーパーソンと挨拶する際は「つむじ」を相手に見せてください。たったこれだけで、一目置かれる挨拶上手になれます。

■ミーティングでは「A4サイズ以上の大きめのノート」を使う

相手がキーパーソンであればあるほど、メモを取ることが重要になります。あなたが使っているノートは「相手の気分を乗せるノート」になっていますか?ポケットサイズの小さなノートや簡単に切り離しができるルーズリーフでメモを取っていませんか?

キーパーソンは自分が話す情報に価値があると確信しています。そんな価値ある情報を他の書類に紛れてしまいそうなものにメモするのは失礼にあたることも。

だからこそ、きちんと見た目から「あなたの情報は大切です」という姿勢が相手に分かるように、ノートを用意しましょう。その際、使えるのが「A4サイズ以上の大きめのノート」です。学生時代によく使用した大学ノートの「Campus」はB5サイズ。それよりも大きいノートを選んでください。見開きにすればA3サイズ以上となり、メモでも「あなたの話をきちんと聞きます」という迫力が演出できます。ノートの選び方でやる気が演出できるのですから、使わない手はありません。

■うなずきは「小さなうなずき2回+大きなうなずき1回」をセットにする

話し手は、聞き手の表情が読み取れないと、「自分の話をきちんと聞いてくれているのか」がわからず、不安になります。不安になると口が重たくなり、「この人と話しても楽しくない」と思ってしまいます。一方、タイミングよくうなずくと、「聞いている」ということを「目に見える動作」で伝えることができ、相手の心を掴むことができるようになります。

でもこのうなずきが難しい。自分はうなずいたと思っても、相手がうなずかれたと感じなければ意味がありません。そこで使うべきなのが、「小さなうなずき2回+大きなうなずき1回」をセットにすることです。小さなうなずきだけでは、本当に相手に伝わっているかはわかりません。2回、小さくうなずいたら、次は大きく1回、うなずいてください。

その際、メモを取りながら、それに大きく〇を描くこともおススメです。聞き上手とは「きちんと聞いていますよ」と目に見える形で、体を使って演出する人のことなのです。

■メールでは「拝」を使う

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という名言の通り、成功すればするほど、出世すればするほど、謙虚になるのが成功者です。その成功者のメールの多くに使われている言葉が「拝」です。「メールを拝受しました」「〇〇(名前)拝」など、社会的に成功している人は、どんなに目下の人に対してもメールの返信には必ず「拝受」と言ったへりくだった表現を使い、メール文にも感情や情緒を入れ込んでいます。

また「拝受」は「目下から目上」に対して使っても、「目上から目下」に使っても失礼にあたりません。メールは、電話や手紙、対面でのコミュニケーションに比べると手軽なツールです。ただし手軽だからこそ、つい礼節をおろそかにしてしまいがちに。メールにおいては「拝」を使う。たったそれだけで礼儀正しく見えるようになるのです。

■お客様とタクシーに一緒に乗る時は、支払いはスマートに

お客様とタクシーに乗る際は「お客様が奥側に乗り、自分がその横に座る」のがマナーです。しかしこの席次だと、自分がタクシー料金を支払い終えるまで、お客様をお待たせすることになります。ドライバーによってはお釣りがない場合もあり、数分お待たせすることもあり得ます。そんな時、お客様は「もたもたしていないで、早くしろよ」と内心思っているものです。

こうしたシーンに遭遇した場合は、100円単位の端数のお釣りは受け取らず、「おつりはいいので、コーヒーでも飲んでください」とドライバーに言って、支払いを手短にしましょう。小銭よりも「お客様をお待たせしないこと」で、もっと大切な「スマートな印象」をお客様に与えることができます。相手がVIPであればあるほど、この効果は絶大ですので、ぜひ試してみてください。

――「コミュニケーションにおけるちょっとした印象の差」とは後天的に身に付ける「教養」です。ちょっとした印象の差を積み重ねれば、信用を得ることができ、仕事でも人生でも思う以上の結果を出すことができます。人生は今から、誰でも意識的に変えることができます。ぜひコミュニケーションにおける「教養」を意識的に身に着けてください。たったそれだけで本当に信じられないくらい、いろいろなことがどんどんつながりはじめ、人生が劇的に変化していきます。

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。

著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。

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