「いたいコンサル」ってどんなコンサル?
1970年代後半から80年代、本格的に日本に上陸し始めたという”外資系戦略コンサルティング”。今や”コンサルタント”という職業は広く認識されるところとなりましたが、自身も外資系戦略コンサルティングの業界に16年間在籍していた長谷部智也さんは、著作『いたいコンサル すごいコンサル 究極の参謀を見抜く「10の質問」』の中で、とくに2010年以降、「『大衆化』へのシフトが加速」してきたと言います。
長谷部さんは、大衆化に伴い、コンサルタントを名乗る人が急増し、「個々のコンサルタントの個体差が史上かつてないくらいに大きくなってしまった」(本書より)現状を受け、起用する側も、本物のコンサルタントをしっかりと選び、正しく起用する必要に迫られているのだと指摘します。
そこで本書では、自らの経験を踏まえ、しっかりとしたスキルを持ち財務的成果を出すことのできるコンサルタントを見抜くための10の質問を紹介。その質問に対する理想的な答えを、具体的な事例とともに解説しており、起用する側はもちろん、「現役のコンサルタントの方々にとっても、自身のコンサルティングスキルを総ざらいできる、簡潔にまとまったテキスト」(本書より)となっています。
コンサルタントのスキルを見抜くための質問――たとえば、コンサルタントから提言を受けた際には、「いま言われたことが『明日の朝から』自社の現場が実行に移せる、意味のある『アクション』かどうか」(本書より)を考え、もしコンサルタントの提言が抽象度の高いもので、どういうアクションを取れと言っているのか明確にわからない場合には、「わが社の取るべき具体的なアクションは何ですか?」(本書より)と、何度もコンサルタントに問い正すべきだといいます。
「クライアントが実行すべきアクションを、本当に考え抜いているコンサルタントであれば、プロジェクトを始める前から、3つや5つのシンプルで財務的成果につながる具体的なアクションが即答できるばずである」(本書より)
そして、そうしたアクションの提言が、突拍子もないものであることは少なく、その多くは「愚直な行動を導くもの」(本書より)だと指摘。本書の中でも、「当たり前のことを、定石に従って徹底してやり切ることから、初めて大きな財務的成果が出る」のであり、「コンサルタントがクライアントを面白がらせること、強いインパクトを与えること自体が目的化してしまっている」ような、新鮮で面白い提言、ストーリーが面白いプレゼンテーションにはむしろ注意が必要だと説明します。
コンサルティングの価値の源泉とは、「事実と分析に基づいた正しい提言を行える青臭さ、クライアント社内の社内政治におもねらない客観性」であり、たとえ大衆化が進んだとしても、「これだけは絶対に失ってはならない価値」だという長谷部さん。コンサルタントのあるべき姿を示した一冊となっています。
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