2016年、新築マンションは減ったけど、新築一戸建ては増えていた!
東京カンテイが2016年に分譲した「マンション・一戸建て住宅データ白書」を公表した。公表されたデータのなかから新築一戸建てについて見ると、好調な市況がうかがえる結果となっていた。詳しく見ていくことにしよう。【今週の住活トピック】
「マンション・一戸建て住宅データ白書2016」を公表/東京カンテイ
■三大都市圏一戸建て住宅分譲戸数・価格動向
2016年の新築一戸建ての市場は、新築マンションの1.55倍と好調
新築一戸建ての市場を把握するのは、実は意外に難しい。
というのも、
・全国展開の大手デベロッパーやハウスメーカーがまとまった戸数を分譲する高付加価値型の分譲住宅地
・地域ビルダーが特定のエリアで効率よく供給することでリーズナブルな価格で販売する分譲一戸建て
・地元ビルダーが地元の土地を買って数戸の一戸建てを建築し、不動産会社が仲介して販売する一戸建て
など、販売経路や販売方法がさまざまにあるからだ。
東京カンテイでは2014年4月から新築一戸建ての全国のデータを集めて分析するようになり、2015年と2016年の年間データが比較できるようになった。
これによると、2016年は新築一戸建てが全国で15万1744戸分譲され、新築マンションの分譲戸数(9万2122戸)の1.55倍の供給量の市場だったという。また、新築マンションが2015年に対して+2.5%の伸びだったのに比べ、新築一戸建ては+6.2%の伸びで増加率が高くなっている。
次に、三大都市圏の動向を見てみよう。
まず、一戸建て・マンションともに過半数のシェアを占める首都圏では、2016年に8万3474戸の新築一戸建てが分譲され、対前年で+6.2%の伸びを見せた。近畿圏は、2万5242戸の分譲で対前年+3.3%だった。
中部圏については、東京カンテイによると「伝統的に一戸建て住宅が“終の棲家”として認識されている」ということで、1万7821戸が分譲され、対前年で+5.9%と高い伸びを見せている。中部圏の2016年の新築一戸建ては、新築マンションに比べると3.18倍の供給があったというから、一戸建て志向の強さがうかがえる結果だ。【図1】三大都市圏・新築一戸建ての供給戸数の推移(出典:東京カンテイ「マンション・一戸建て住宅データ白書2016」より抜粋)
平均価格は首都圏で若干の上昇、近畿圏と中部圏で横ばい
では、価格や面積の動向はどうだったのだろう?
首都圏は平均価格が3659万円、平均の土地面積が116.5m2、建物面積が100.1m2だった。また近畿圏は、平均価格が2954万円、平均の土地面積が116.7m2、建物面積が99.7m2と、面積は首都圏とあまり違いがないが、価格は700万円ほどの差が出る結果だ。
中部圏は、平均価格が2936万円、平均の土地面積が152.7m2、建物面積が105.3m2と、価格は近畿圏に近いものの面積は他の圏域より広いという特徴が見られた。
価格は対前年で、首都圏は+3.3%と上昇し、近畿圏は-0.1%、中部圏は+0.5%とおおむね横ばいで推移した。これは、近畿圏と中部圏では2015年の平均価格が対前年で+2.5%、+2.3%とそれぞれ上昇したのに対し、首都圏は+0.6%とあまり上昇しなかったことの影響が、2016年に表れたという側面もあるだろう。
また、より詳細なレポート掲載している東京カンテイの「Kantei eye vol.90」を見ると、2016年に首都圏では4000万円台や5000万円以上の比率が増えているので、高価格帯の供給戸数が増えたことが首都圏の平均価格を押し上げたともいえそうだ。【図2】三大都市圏・新築一戸建ての価格と土地面積・建物面積の推移(出典:東京カンテイ「マンション・一戸建て住宅データ白書2016」より抜粋)
新築マンションの供給戸数や平均価格の推移の変動の大きさを考えると、新築一戸建ては安定した市場が続いていると見てよいだろう。もともと一戸建ては不動産投資の対象となりにくく、居住目的で購入されるのが大半なので、需給バランスがよいということが安定した市場の要因になっていると考えられる。
2016年のマンション市場は、新築マンションの市場の縮小を中古マンションの市場拡大でカバーしたという構図だった。これに対して、一戸建て市場は中古で若干の価格上昇傾向が見られたが、新築・中古とも安定した市場となっているので、2017年もこの傾向が続くと見てよいだろう。
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