『エージェント・オブ・シールド』フィル・コールソンインタビュー「彼は矛盾の塊なんだよ(笑)」
マーベル・コミックに登場する架空の組織「S.H.I.E.L.D.」のエージェント達が様々な怪事件に挑んでいく、アベンジャーズスピンオフ作品『エージェント・オブ・シールド』。シーズン3が2月3日よりブルーレイ/DVDリリース&一挙デジタル配信開始となります。
ガジェット通信は、12月初旬、この『エージェント・オブ・シールド』新シリーズが撮影されている、シールドのヘッドクォーター見学や、キャストインタビューなど取材を行ってきました。記事一発目は、もちろん、ドラマの中で、少数精鋭のエージェント達を指揮するフィル・コールソン!
映画『アイアンマン』や『アベンジャーズ』等で大活躍する、“マーベル界の中間管理職”であり、常にビシっとしたスーツを身にまとい、銃の扱いもなんのその、時々見せるユーモアもたまらない人気者です。コールソン役のクラーク・グレッグさんによる貴重なエピソードやコメントは読み逃し無く。
―フィル・コールソンはシリーズと通して色々なな変化をしてきましたが、演じていて彼の変化をどの様に見て来ましたか?
クラーク・グレッグ:コールソンがこれまでいろいろな変化をして来たと見抜いているのは鋭い観察だと思う。彼はまず2007年の『アイアンマン』でマイナーな脇役で初登場した。その時僕は、コールソン役はこれで終わりだと思っていたが、その後、少しずつ様々な登場人物との関わりによって、新たな要素が加わり段々キャラクターが膨らんでいった。違うライターが少しずつ新たな要素を加筆して行き、コールソンという人物は変化していったと思う。ところが『アベンジャーズ』で彼は殺されてしまう。僕はそのときこそ「これで終わりだ。これが彼の最終章だ」と本を閉じてしまうような感じだった。その後、コールソンがテレビで蘇るかもしれないと教えられて、今となっては毎週新しいチャプターを開きそのたびに新しいコールソンを知り、彼の過去を紐解いている。彼の変化に伴って彼に振りかかるチャレンジもどんどん変化していると感じている。
―フィル・コールソンは何かが起こるたびに決断を下さなければならなりません。賢明な決断、ずるい決断、厳しい決断。彼の決断の中であなた個人が気に入って「これは使ってみよう」と思うようなものはありましたか?
クラーク・グレッグ:あります!それは彼のリーダーシップ。僕は彼のリーダーシップの取り方に感銘している。それはかなり実用的なものなんだ。このシリーズの脚本家たちがコールソンのリーダーとしての方向性を実に上手いやり方で進めている。
シールドの進み方に逆らって大きく邪魔するような事をした人の中にも何か利用できる要素があるのでは無いか?と彼は考える。その部分を徹底的に考慮し何かを見つける。それを上手く活かして、シールドにとって得になるように使う戦略なんだ。相手のやり方を見抜き理解する事でコールソン自身が騙されない為の戦略でもある。敵より一歩先にいると言う感じだ。他の人たちが敵と見ても、コールソンは敵だから寄せ付けないという事をしない。「もしかしたら自分の側で上手く使えるかもしれない」と考えるのがコールソンなんだ。その良い例がスカイ。
彼女はシールドを破壊しようとしていたハッカーだった。でも今ではコールソンの娘みたいな存在で彼にもっとも近い人になっている。シーズン2の中では彼女の父親もコールソンがどんな人物なのかを理解するようになる。(確かあれはシーズン2だったよね?と確かめている)シーズン3ではその部分がもっと登場する。
―マーベルの世界に居るのはどんな感じなのでしょうか?
クラーク・グレッグ:マーベルの世界を知ったのは僕がまだ少年の頃だった。マーベル・コミックを沢山読んだし、特にアイアンマンが大好きだった。だからアイアンマンを映画化すると聞いた時は興奮したよ。僕の近所に住んでるジョン・ファブローが「もし興味があるならアイアンマンの中に小さいが君にピッタリの役があるんだ。」と声をかけてくれた。勿論「やりたい」と即刻答えたよ。だから今ではマーベルユニバースの最前列で眼を見開いて見ている感じだ。その世界の一部に自分がなってるなんて嬉しい事だよ。アニメシリーズの中でもコミックの中でもコールソンを見る事ができる。いつも僕の中の10歳の少年と一緒に仕事に行けるという素晴らしい楽しさがあるんだ。
―マーベルの中でどのヒーローが特に好きですか?
クラーク・グレッグ:その質問はいつも答えが簡単に出ない質問なんだ。それにはいろいろな理由がある訳だけど、フィル・コールソンはアベンジャーズのエキセントリックな叔父さんって感じなんだ。それぞれのアベンジャーズのベビーシッターをしなければならなかった叔父さんなんだ。だから彼らは皆コールソンに取って可愛い甥みたいなものだ。コールソンのキャプテン・アメリカに対する心情はよく知られているよね。時間が経つに連れて『エージェント・オブ・シールド』の中にマーベルのヒーロー達が登場する。これから登場するヒーローでコールソンに近い存在のヒーローが居るんだ。多分その時点ではこのヒーローがコールソンのお気に入りと言うことになるんじゃないかな。でもそれが誰かは今は言えない。シーズン3を見てない人に言ってしまったら楽しみを壊す事になる(笑)それは君達も知ってる有名なヒーローだと言う事は教えておこう。
―アメリカン・コミックが世界的にこれほどまでに人気を博している理由はなんだと思いますか?
クラーク・グレッグ:はっきりは掴んで無いがアメコミは随分昔から人気があった。40年代?スーパーマンは古いだろう?50年代には結構人気を博していたような気がする。いつも何らかの形で僕達の前にあった。時代と共に人気の対象が変わって行くだとうと言われていたけど、アメコミのヒーローたちは消えなかった。変化はあったけど基本的には変わっていない。テクノロジーの進歩は確実にアメコミの人気を支えている。コミックと言うものが伝えるストーリーは他のストーリーテリングと違う。現実離れした事をどんどんすることで見てる者を魅了する。見てる人は自分たちにできない事をしてくれるキャラクターに惹かれる。それがテクノロジーの目覚ましい進歩でどんどんストーリーテリングが魅力的になる。僕が関わった『アイアンマン』は進歩するテクノロジーを上手く使ったアメコミ映画のスタートだったと言える。テクノロジーが発達したことでこの手のテレビシリーズ、『ゲーム・オブ・スローンズ』とか『ウエストワールド』とかDC シリーズとかが可能になった。
―クリエーターのジョス・ウェドンとの仕事はどうですか?
クラーク・グレッグ:ジョスは僕に取っては最高のストーリーテラーなんだ。バフィーもファイアフライも大好きなんだ。アベンジャーズの後、少作品ながらシェークスピアの“から騒ぎ”でも役をくれた。これは今までで最高に楽しい経験だった。彼から「フィル・コールソンが生き返る。だが彼の将来にどんな事が待ち受けているか彼は分かって居ないし、今までとは違うコールソンで生き返ってそれなりの代償は払わなければならなくなると言う設定だ」と聞いた時「それはやりたい!」と即座にはまってしまった。その後彼は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の撮影に入ってしまい他の事も忙しくなって時間が経ってしまった。それはちょっとがっかりした事ではあったんだけどその後も友達関係は続いていた。彼がウルトロンの撮影に入る時、弟のジェッド・ウィードンと仕事をする事になった。ジェッドの妻のモーリッサ・タンチェロンとも知り合いになり、ジェフリー・ベルとの3人が今のコールソンの元を作ったと言ってもいいくらいだ。
―長年コールソンを演じていますが、ズバリ“フィル・コールソン”の基盤ってなんでしょうか?
クラーク・グレッグ:コールソンとの付き合いはもう9年にもなる。いつもいつも一緒に居た訳ではないけど、知り合って9年になる。彼は矛盾の塊なんだよ(笑)。『アイアンマン』で初めて彼を知った時は特徴の無い、なんて事の無い男だった。いつも背広を来て、何とかしてミスター・スタークに会おうとしている男だった。段々といろいろな面が剥がされて行ってついには結構パワフルな男だと言う事が分かる。そして彼は非常にダークな面を沢山持ってる男でもある。つまり最初に『アイアンマン』に登場したコールソンは背広を着た普通の男の振りをしていただけだった。そして『マイティ・ソー』の中で、『アベンジャーズ』の中で段々違う面を見せるようになった。彼は普通のなんの特徴もない男の仮面を付けて生きている、違う面を沢山持った男なんだ。実際は普通の無力な男ではないんだよ。
シーズン1で彼は自分の死の秘密を知る。彼はカンパニーの秘密を守り続けてきた男だけど、実は本当の秘密は彼だけが知らなかったと言う事なんだ。その後、彼はすべての事に疑問を持ち今までとは違うコールソンになっていく。
シールドに忠実な男ではあるが、シールドとの関係や周りから秘密を守ると言う部分が大きく変わって行ってるんだ。今の彼は秘密を守ると言う事から、人を守る、世界を変えるという事に焦点を変えている。
―コールソンは人を守る事に力を入れてますがプロテクトすると言えば、コールソンはデイジー/スカイをかなり過保護な感じで守ってます。お父さんとして娘にも過保護だといえますか?
クラーク・グレッグ:娘と言えば、一昨日15歳になったんだ。
―まさにティーンエイジャー真っ只中ですね!
クラーク・グレッグ:その通り。ティーンエイジャー真っ只中なんだ(笑)僕は非常に過保護な父親だと思うよ。本物のティーンエイジャーがそばにいると過保護にならざるを得ない。デイジーは20代だけど時にはティーンエイジャーのような言動を取るよね。だから過保護になってしまう。が、本物のティーンエイジャーを守ろうとするなら過保護ではダメなんだと言う事に気がついた。ティーンエイジャーを本当の意味で守りたいなら自分でいろいろな事をさせなければダメだと言う事。過保護にしていたら人生の中の大変な部分、避けられない辛い体験をすることができない。自分で辛い思いをしてこそ自分をどうやって守っていくかを学ぶ事が出来るんだからね。失敗をしなければ学ぶ事ができない。さっき言ったリーダーシップの事に戻るけどリーダーは下の者をプッシュしなければならないとコールソンは信じているんだ。彼らが自分に出来ると思ってる以上の事に挑戦させなければ伸びないと思ってる。自分でも知らなかった力が有ることを発見するかもしれない。それが成長なんだ。シーズン3の中でコールソンがエモーショナルになってしまう時がある。すると彼は自分の責任をチームの中の他の人に渡す。そして「もしかしたら自分より優れたリーダーが他にいるかもしれない」と思いだす。
―どうしてコールソンがこれほどまでに人の心を掴むのでしょうか?
クラーク・グレッグ:答えは二つ。一つは僕には分からない(I don’t know)(笑)。本当に分からないよ。このページを見て、ここにコールソンが居るなんて僕の理解の域を越えてるんだ。僕にとってはコールソンを演じるチャンスが与えられた事自体、身に余る光栄だと思ってる。コールソンの人気は周りの人にとっていつもサプライズだったんだ。最初からコールソンがどこまで行くのが未知だったからね。
はっきり分からないんだけど、マーベルファンがコールソンにいかに共鳴して彼を好きになっていったかが、かなり大きなサプライズだったんだよ。かっこいいスーパーヒーローたちの世界、プレイボーイで金持ちでスーパーヒーローのトニー・スタークやらハルクやらが居るのに、どう見てもごくごく普通のルックスの背広なんか着てるコールソンに惹かれるのか?多分あんまり描かれてないタイプのヒーロー的行動を彼の中に見るんじゃないのか?つまりスーパーパワー無しで簡単に殺されてしまう、あるいは腕を失ったり何かを失ってしまう可能性がある中で彼はそれでも毎日人を救う為に出掛けて行く。なぜなら彼にとってそれはやるべき事だから。ジョスや他のクリエーターたちが、普通の人がヒーロー的な事をする勇気を入れ込んで作ってるんだと思う。『デアデビル』にも『ルーク・ケージ』にも似たようなキャラクターが登場してるけど、こういう普通の人もヒーローになれると言う要素は大事な部分なんだと思う。
これはこれは(コールソンが人気投票二位と言う事)….娘に見せて自慢しよう。でも彼女は「お父さん凄い!」とは言わないだろうけど(笑)
―シーズン3にファンが期待できる事は何でしょうか?
クラーク・グレッグ:シーズン3はシールドのチームがグラント・ウォードとの戦いをまだ終えてない部分が明らかになる。ヒドラもまだ健在で彼らの間の戦いはシーズン3では想像も付かなかった形で進行する。個人的な関わりが増えて行く。フィル・コールソンにとってもその戦いが個人的な関わりを持っていくというところが見どころだと思う。
―これからシーズン3を見るファンへのメッセージをお願いします。
クラーク・グレッグ:難しい質問だなあ(笑)シーズン3に関しては今伝えたようにグラント・ウォードのリターンとコールソンとそのチームの個人的な決断、多大な喪失、それにコールソンと彼のチームが立ち直れなくなるような破壊力を持ったあおりが期待できるよ。
―今日は楽しいお話をありがとうございました!
作品情報
「エージェント・オブ・シールド シーズン3」
2017年2月3日(金) ブルーレイ COMPLETE BOX(20,000円+税)、DVD Part1(4,700円+税)発売!第1弾DVDレンタル、一挙デジタル配信開始!
2017年2月17日(金) DVD Part2、Part3(各4,700円+税)発売!第2弾DVDレンタル開始!
「マーベル エージェント・オブ・シールド 3」
全国無料のBSテレビ局 Dlife(ディーライフ)にて1月21日(土)21:00スタート!
(二)毎週土曜21:00~/(字)金曜27:00~
http://www.dlife.jp/lineup/drama/agentsofshield_s3/
(C) 2016 MARVEL & ABC Studios
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