賃貸でもVRでの内見が可能に! どんなメリットがあるの?
「VR※(Virtual Reality、バーチャルリアリティ)元年」ともいわれていた2016年。住まいの領域でも続々とVRを活用したサービスが登場しているものの、新築マンションでのモデルルームの内覧や、リフォーム後の様子をVRで体験できるなど、住宅購入での展開が中心だ。しかし昨年、賃貸向けのVR見学サービスを開始する会社がでてきた。では、具体的にはどのようなメリットがあるのか、リアルでの内見は不要になるのか? 今後の展開について聞いてきた。
部屋探しはVRとグーグルマップが主流……にはならない!?
最近では、VR用のゴーグルが量販店などで数千円くらいから購入できるようになり、確かに身近になりつつあるVR。一方で、アラフォーの筆者は「いくら精巧につくったところで、リアルにはかなわないのでは……?」という、少々冷めた気分でもあった。
では、賃貸でVR見学ができるようになると、どのようなメリットがあるのだろうか。リアルでの見学は不要になるのか。11月からVRでの内見サービスをはじめた、リズム株式会社の経営本部マーケティング部課長の挽地裕介さんに聞いてみた。同社は一般的な賃貸住宅ではなく、中古物件を買い取って、「部屋の半分がキッチン」「壁一面が本棚」などとテーマをもたせてフルリノベーションし、入居者募集や管理などを行っている。【画像1】リズムが管理・運営している部屋の例。テーマをもたせてフルリノベーションしていて、人気を集めている(画像提供/リズム)
「当社では、現地でしか分からないことがあると考えているので、現場での内見が基本だと思っています。ただお部屋を見学する時間も限られているなか、事前に部屋のVR見学ができれば、足を運んだのに“思っていたのと違う”というミスマッチを減らせますし、複数の候補がある場合では、あるお部屋を実際に見学しながら、別の部屋をVRで見て比較検討できるようになります。また、部屋に入居者が住んでいても内覧ができる点もメリットです。VRで分かることはVRにまかせておき、手触りや雰囲気など、現場でしか分からないことは現場で見て、感じてもらいたい、と考えています」(挽地さん)
なるほど、遠方で生活していて物件見学に行けない場合や、忙しい人の物件選びには役立つものの、VR内見とストリートビューだけで、部屋の成約へつなげることを想定しての導入ではなく、VR見学はリアルの住まい選びをアシストするポジションという位置づけのようだ。
ちなみに、現場でしか分からないこととして、挽地さんは、無垢(むく)材や漆喰などの素材感/質感を例にあげていた。また最寄駅から部屋までの道のり、周辺環境もリアルでしか分からない。一方で、天気の悪い日の内見でも、景色・眺望の疑似体験ができ、喜ばれているそうだ。 【画像2】VRで見られる画面はこんな感じ。写真とは違う、臨場感に驚く(画像提供/リズム)【画像3】部屋からの眺め。雨や曇の日でも、晴れの日の眺望を確認できる(画像提供/リズム)
バーチャルで家具やアートを配置し、より自分好みの空間に近づける
11月にはじめたばかりのこのVRサービスだが、早くも好評のようで、「VRを見ました」という声も多く寄せられているとか。しかし、全物件でVR見学のサービスを展開するとしたら、かなりの手間がかかりそうだが……。
「360度カメラで10カットほどの撮影で終わるので撮影時間は5分、10分。それほど手間はかからないんです」
また、リズムが提供しているリノベーションブランドは、30ほどのシリーズがあり、現在、VR見学できるのはごく一部のシリーズだけ。少しずつ拡充していき、どのシリーズでもVR見学を可能にしていく予定だという。
一方で、VR見学ならではの展開も予定しているという。それは、家具やアート作品を仮想現実で配置する、というもの。
「当社の物件にお住まいの方からよく聞くのは、部屋を契約したはいいけれど、家具はどうしたらいい? どんなアートをかざったらいい? ということです。おしゃれな部屋にしたいという思いはあっても、実際どうしたらいいのか分からないと悩む方が多いんです。そのため、当社ではこの部屋に合う“家具“という提案・販売もしているのですが、さらにVRで踏み込んで、実際に置くとどんな感じになるのか、体験できるようにしたいと考え、現在、システムを外部の会社とともに開発中なんです」という。
確かに家具を購入する機会は、人生でそう多くはなく、「部屋に家具を置いてみたものの、思っていたのと違う……」「気に入ったものを置いているけど、なんかちぐはぐ……」「高い家具だったのに、失敗して後悔……」ということも少なくない。VRの擬似空間に家具や家電を置くことができれば、失敗も少なくなるし、より自分好みの空間に近づくことができそうだ。
「当社はキッチンやガレージ、といった個性的な部屋へのリノベーションを手がけていますが、昨今の“部屋飲み”に代表されるように、居心地のよくおしゃれな空間に住みたい、という人は増えているように感じています。VR見学や疑似体験は、それを助ける良いツールとして浸透していくのではないでしょうか」
なるほど、VRで住まい選びの時間が短縮できたり、家具を配置した部屋を疑似体験することでより住みたい部屋に近づけられるのかもしれない。住まい選びの基準や方法、あわせて部屋づくりの方法も、確実に変化しているなと実感する取材となった。●取材協力
・リズム
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