これから家を買うなら知りたい 住宅ローンの選び方の基本
2017年こそ、家を建てたい! ―そんな夢を実現するために大切なのは、予算という現実をしっかり見つめて、自分たちに合うローンを選ぶことだ。同じ借入額でもローンの選び方次第で総支払額は違ってくる。住宅ローンの基本をしっかり押さえておこう。
住宅ローンには3パターンある。リスク×金利で選ぼう
住宅ローンには大きく分けて3つの金利タイプがある。「固定型」は返済期間中の金利が全期間あらかじめ決まっている。「固定期間選択型」は契約時に2年、5年、10年などの期間を選び、その期間だけ金利が固定される。固定期間終了後は、その時点で変動型にするか再び固定期間を選択するか選べる。「変動型」は、6カ月ごとに金利の見直しがある。
金利は変動型が一番低いが、注意が必要だ。年に2回の金利の見直しの際に金利が上がっても、返済額が見直されるのは通常5年ごと。このため、金利の上昇に気づきにくい。固定期間選択型は固定金利の期間が短いほど低金利なので、金利の低い固定期間内にどんどん繰り上げ返済できれば有利になる。固定型は、変動型より金利は高いが、途中で返済額が変わる心配がなく、将来にわたって返済計画がたてやすい。
返済額の元金の減り方で返し方は2タイプ
住宅ローンを借りて家を建てたら、借り入れた翌月から返済が始まる。その返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」がある。
「元利均等返済」は元金+利息の合計が均等、つまり毎回の支払額が一定額だ。出費の計算はしやすいが、返済当初は元金よりも金利分のほうが多く、元金がなかなか減らない。返済総額も元金均等返済に比べて結果的に多くなる。
「元金均等返済」は元金の返済が均等、つまり毎回の返済額のうち元金に充当する部分が一定で、そこに利息を上乗せして返済する方法。当初の返済額は多くなるが、元金を毎月均等額返済するので元金が着実に減り、元利均等返済に比べて返済総額が少ない。また返済が進むほど、月々の返済額が少なくなっていく。
ただし、利用できるのはフラット35や財形融資、一部の銀行商品など。対応可能な金融機関は限られる。利用するなら申し出よう。
どこで借りるかで金利や特性が違う
住宅ローンの主な借入先は、民間ローンの銀行や信金、公的ローンの住宅金融支援機構による財形、そして半官半民のフラット35がある。
利用者が多いのは銀行や信金など。取り扱う金利タイプが多く、店舗があるので身近。窓口で手続きでき、個別の問い合わせもしやすい。
同じ銀行でもネット銀行の場合は、実店舗がない分、経費がかからず金利が比較的低め。繰り上げ返済の手数料がかからない場合が多いが、審査期間が長い。借り換えなどにも自分で対処できる人向きだ。
フラット35は、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している全期間固定の住宅ローン。年収が低い人でも要件を満たせば利用できるが、取扱い金融機関によって金利は違い、融資手数料も幅がある。
財形住宅融資は、会社に財形貯蓄制度があれば利用できるローンで、財形貯蓄を1年以上継続し貯蓄残高が50万円以上あることが条件。低金利が魅力だ。
住宅ローンは長期の返済期間中、万が一に備える制度が団体信用生命保険(団信)だ。返済途中でローン契約者が死亡または高度障害になった場合、残債を保険金で支払える。民間金融機関は団信加入が必須で、一般的に保険料は金利に含まれている。一部の民間金融機関やフラット35、財形住宅融資は団信加入が任意。金利には含まれていないので、団信加入分も含めて検討したい。
実際に適用される金利は人によって異なる
銀行の住宅ローンは、店頭に表示されている金利以外に「優遇金利」や「引き下げ金利」といわれる、実際に使われる金利=適用金利がある。一般的には引き下げ金利が適用されるが、申し込み内容や審査の評価など人によって、引き下げ幅は異なる。国土交通省の「平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、金融機関の審査項目の上位は、1位完済時年齢(99.3%)、2位健康状態(98.4%)、3位担保評価(97.8%)で、給与振り込みや光熱費の引き落としが必須というわけではない。また、同じ銀行の住宅ローンでもハウスメーカーの提携ローンとして申し込んだほうが、金利が安い場合もある。
住宅ローンは長期にわたって返済していくもの。現在の金利だけでなく、将来の返済計画や繰り上げ返済のしやすさ、手数料なども総合的に判断して、自分に合うものを選ぼう。
文/中城邦子
※本記事は『HOUSING by suumo』2017年2月号に掲載した記事を、再構成したものです
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