教えて住タコ先生! 「新耐震基準」で家を建てれば本当に安心?
先生! 新築で家を建てるときは、「新耐震基準」を満たしていないとだめなんですよね。その基準を満たせば安心だと思っていましたが、熊本地震の調査の結果、新耐震基準の導入後に建てられた住宅でも倒壊したものがあったそうで驚きました! 新耐震基準って大丈夫なんでしょうか……。連載【教えて!住タコ先生】
新米編集きのっぴーの“家に関する素朴なギモン”に、住タコ先生が答える不定期連載です。【画像1】きのっぴー(左):新米の住宅編集者。とにかくお金のことに弱いがお金以外にもよく分からないことが多い。編集部内で自分の知らない話で盛り上がっているときは、木のごとく気配を消してその場をやりすごしている/住タコ先生(右):不動産業界に携わってウン十年。特にお金について詳しいが、なんでも知っている。いつも穏やかな物腰でさまざまなことを教えてくれる。怒りスイッチが入るとスミをぶちまける習性がある(イラスト/つぼいひろき)
新耐震基準を守ってきちんと施工されていれば、大地震にも十分強い
きのっぴー:新耐震基準の導入後でも倒壊って、もう家を建てている人やこれから家を建てる人は不安ですよね……。
住タコ:熊本地震のときに震度7や6強が2回計測された益城町の中心部で、日本建築学会が木造建物の被害状況を調査したところ、1981年5月以前のいわゆる旧耐震基準の建物は28.2%に当たる214棟が倒壊してしまったそうじゃ。
きのっぴー:旧耐震でも約3割にとどまっているんですね。
住タコ:気になるのは1981年6月以降の新耐震基準で建てた木造建物でも倒壊したケースがあったことじゃが、その大半は2000年5月以前のもので76棟(倒壊率8.7%)じゃった。2000年6月には基準が見直されており、それ以降の建築で倒壊したものも7棟(同2.2%)あったが、「その大半は基準どおりに建てられていなかったものや、地盤の崩壊など建物以外の原因によるものと考えられます」(国土交通省 住宅局 住宅生産課、以下同)とのことじゃ。
つまり現行の耐震基準できちんと建てられた住宅なら、震度6強から7に達する程度の大地震でも、地盤の崩壊などでもない限り倒壊する心配はまずないと言ってよいのじゃ。
きのっぴー:そうなんですね! ちょっと安心しましたけど基準どおりに建てられているかどうかって素人では分からないから怖いです……。
第三者のプロがチェックしてくれる「住宅性能表示制度」というものがある
住タコ:素人が基準どおりに建てられているかどうかを見抜くのは難しいが、プロがチェックしてくれる仕組みがある。それが住宅性能表示制度じゃ。第三者の住宅性能評価機関が住宅の設計図や施工現場をチェックし、耐震性や省エネ性など10分野の性能について等級などで表示する制度じゃ。
きのっぴー:へぇ~! そんな制度があるんですか!
住タコ:ブシャアアアアアアア!!!!(スミをぶちまける音) たとえ新米住宅編集者でも制度のことはちゃんと知っておけい!!!
きのっぴー:……(ぐうの音も出ないので無言で顔を拭く)。
住タコ:性能表示制度を利用した住宅には、評価機関が設計段階と完成段階に住宅性能評価書を交付する。評価書を見れば住宅の性能が分かるし、戸建て住宅の場合なら4回の現場検査をしてくれるので、きちんと基準どおり施工されていることの証にもなるのじゃ。評価してもらうには十数万円程度の費用がかかるが、それだけの価値はあるじゃろう。
きのっぴー:安心を買う、というイメージですね!
住タコ:ちなみに性能表示制度には耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)という項目があって、新耐震基準を満たせば等級1となり、最も性能の高いのは等級3じゃ。今回の益城町中心部の調査では等級3の建物が16棟あったが、いずれも倒壊はしておらず、約9割(87.5%)は「被害なし」じゃった。等級3の家を建てるには、「木造住宅なら、推計でプラス10万円程度で建てられるようです」(国土交通省)とのことじゃ。
きのっぴー:この10万円を高いとするか安いとするか……悩みどころですね。
住タコ:住宅性能表示制度を利用するだけでも安心感は高いが、耐震等級3ならさらに心強い。家を建てるときには設計者や施工会社に制度を利用してもらうよう相談してみるといいじゃろう。【本日のまとめ】
現行の耐震基準を守って建てられた家なら、大地震でも十分強い。問題はきちんと施工されているかどうかなので、第三者のプロにチェックしてもらうのが安心じゃ。
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