子どもの心の病気 家族など周囲でどう気づき対処するか
子どもの心の病気に家族など周囲でできること
最近の新聞記事で、九州のある子ども病院で「心の診療5ヵ月先まで予約」というのがありました。
その中で担当の医師は、「子供の診療科は少なく、ニーズに対して医療機関の数が追いついていません。」と述べていました。
このような状況の中で、子どもを持つ親など周囲はどう対応したらいいのでしょうか。
ここでは、厚生労働省や他の専門機関からの情報を踏まえて対応法を紹介したいと思います。
「子どもの心の病気のサイン」を家庭で気づく
子どもの親など周囲の大人ができることは、まず「子どもの心のSOSサイン」に気づくことでしょう。
厚生労働省の子どものメンタルヘルスに関するサイトによれば、子どもの心のSOSは「睡眠、食欲、体調、行動」の4つの面に出てくることが多い、とのことです。
この中には一緒に生活する家族だからこそ気づきやすいサインも含まれていますので、ふだんの生活の中で子どもの様子をよく見ましょう。
➀睡眠
眠れないと言う
朝、起きるのがつらそう、なかなか起きられない、など
➁食欲
食欲がない、食べる量が減った
逆に食べすぎる
急にやせた、あるいは太った、など
➂体調
体がだるそう
顔色が悪い
腹痛や頭痛・めまい・吐き気などを訴える、など
➃行動
身だしなみにかまわなくなった
何度も同じ動作や行動をくりかえす
表情が変わらず、感情面での反応が少なくなった
話が支離滅裂になった、通じなくなった
独り言を言うようになった、など
一つ注意が必要なのは、以上のようなサインがあるからといって必ずしも心の病気とは限らないことです。
特に思春期にある子どもはふつうでも心理的に不安定で不思議はないからです。
そこで専門家は、子どもの様子が「今まではこんなことなかった」、「どうもふだんの様子と違う」場合は、「まず子どもから話を聞いてみる」ことをすすめています。
そして「その状態が続くような場合」は、それは心の病気のサインの可能性があるとして、「早めに専門機関に相談する」ことをすすめています。
「子どもの様子の変化に早く気づき対応すれば、効果がよりある」ということは内外の専門家が一様に述べていることです。
各種の専門機関相談窓口を活用する
相談できる公的な専門機関としては以下があります。
・子どもの様子について医療機関を受診すべきかどうかわからないとき
「保健所」(都道府県・政令市等に設置)・「保健センター」(市区町村)
「精神保健福祉センター(心の健康センター)」(都道府県・政令市等に設置)
・「いじめや不登校」など学校に関係した問題
「教育センター」(都道府県・市区町村に設置)
「児童相談所」(都道府県・ 政令市等に設置)
・「ひきこもり」についての相談
「ひきこもり地域支援センター」(都道府県・政令市に設置)
・「発達障害」についての相談
「発達障害者支援センター」(都道府県・政令市に設置)
また、公立の小・中・高校には、教育委員会任命の「スクールカウンセラー(SC)」(臨床心理士が中心) が配置されている場合が多いので、学校のSCに相談する方法もあります。
このようにいろいろな公的な専門相談窓口がありますので、自分だけで悩まないで積極的に利用したらいいと思います。
必要なときに相談し援助を求めるのは真の「強さ」の表れであり、生活上の大切な「すべ」(スキル)といえます。
◆参考資料
なお、厚生労働省は子どものメンタルヘルスについて、「こころもメンテしよう~ご家族・教職員の皆さんへ~」というサイトで、子どもの様子が気になる場合にどう対処したらいいかについてわかりやすく説明しています。
私も参照しましたので、皆さんも参考にされたらいいと思います。
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/parent/index.html
(村田 晃/心理学博士・臨床心理士)
関連記事リンク(外部サイト)
介護保険料の自己負担増加、少子高齢化では避けて通れない道?
厚労省も方針転換!介護保険料の地域格差是正へ
ふるさと納税、趣旨逸脱は悪いこと?
最新の気になる時事問題を独自の視点で徹底解説するWEBメディア「JIJICO」。各分野の専門家が、時事問題について解説したり、暮らしに役立つお役立ち情報を発信していきます。
ウェブサイト: https://mbp-japan.com/jijico/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。