その体調不良ストレスが原因かも 心が体に不調をもたらす仕組み
原因不明の体調不良 ストレスが関係している可能性
頭痛がする、胃が痛む、急にお腹が痛くなる、動悸が激しくなる。
この様に明らかな身体症状が起こりながら、受診して検査をしても異常なしと診断される。
そんな経験をされたことはありませんか。
実はこの原因不明の体調不良には、ストレスによる自律神経の乱れが関係していることが多いのです。
検査で器質的な異常はなしと診断されても症状が継続する場合は、様々な診療科を受診することになります。
しかしそれでも異常が見つからない場合は、最終的に心療内科の受診を勧められることになります。
心療内科というと「うつ病」などの精神疾患を治療するイメージが強く戸惑うかもしれませんが、ストレスの慢性化によって自律神経がバランスを崩し身体症状が起こっている場合は、薬でストレスを和らげたり、カウンセリングを受けてストレスを取り除いたりすることは有効な治療法なのです。
自律神経の乱れが体調不良を引き起こす理由
自律神経は我々の体の様々な器官の調整を行っている神経で、昼間はもちろん夜寝ている時も働き続けています。
自律神経にはリラックス時に活発となる「副交感神経」と緊張時に活発となる「交感神経」があり、この2つの神経のバランスが乱れることで、前述のような体調不良が起こるのです。
この自律神経のバランスを乱す原因が「ストレス」です。
「ストレス」とは簡単に言えば「いやな気持・マイナスの感情」と言えます。
辛い・悲しい・怒り・憎しみ・不安・緊張などの負の感情を感じた時、「交感神経」が活発になり、例えば心臓は動悸を打ち始めます。
また胃や腸は活動を止めてしまうので、吐き気・むかつき・胃痛が起こり、腸では、下痢・便秘・ガスが溜まる・などの症状が起こります。
肺は気道開放と言って膨らんだ状態になり、息苦しさや胸のつかえを感じます。
また筋肉は硬直し体の震えがおこります。
ストレスの慢性化が自律神経失調症につながることも
しかしこの交感神経が活発になる状態はごく普通に起こることです。
人前で発表するときに緊張して心臓がドキドキする、大きな仕事を任されてそのことを考えると胃が痛くなる、大切なプレゼンの前にお腹を壊すなど、社会人の方なら一度は経験されているのではないでしょうか。
一時的なストレスは誰もが感じることであり、これによって交感神経が活発になることは、我々が生命を維持していく上で必要なことです。
危険に遭遇した時には、体を硬くし活動出来るように体に血液をいつもより多く循環させ、不必要な胃や腸の働きは止めてその分のエネルギーを他へ回すことで、自分の身を守る行動に集中するために、交感神経が活発になるのです。
しかしこの「ストレス」が慢性化してしまうと問題です。
ストレスが慢性化するということは、周りの状況に関係なく交感神経が活発化しているということなので、何でもない時に頭痛がしたり、吐き気や腹痛が起こったりします。
この状態が継続すると「自律神経失調症」と診断されます。
「ストレス」の慢性化にまでは至らなくとも、場面に対して必要以上に不安や緊張などの「ストレス」を感じる傾向があると、その場面に遭遇するたびに身体症状が現れることがあります。
例えば電車の中でたまたまお腹を壊した経験のある人が、そのことを強く気にしていると、次に電車に乗る時にも「またお腹を壊すのではないか」と不必要な不安を感じ、その不安が自律神経のバランスを乱して実際にお腹の調子が悪くなり、「過敏性腸症候群」と診断されることもあります。
日々の生活の中で「ストレス」を感じないことは不可能ですが、状況や出来事をできるだけ前向きに楽観的にとらえ、「ストレス」と上手に付き合っていくことで、自律神経の乱れはある程度防ぐことが出来ます。
何事も一人で抱え込まず気分転換を心がけ、必要であればカウンセリングを受けるなど専門機関に相談してみることも有効です。
(西尾 浩良/心理カウンセラー)
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