野田首相、”全国”を対象とする放射性物質の飛散調査に否定的な見解
野田佳彦首相は2011年12月1日に行なわれた記者会見で、各地で福島第1原発事故由来の放射性物質が検出されていることや、国民の不安に応えるために全国規模での調査が必要ではないかとの問いに対し、「いきなり全国かどうかというと、これは対象をもうちょっと絞っての話ではないか」と語り、政府による全国都道府県を対象とした放射性物質の飛散に関する調査の実施に否定的な見解を示した。
文部科学省は放射性セシウムの沈着状況の東日本の汚染地図を公表しているが調査対象は1都21県。文部科学省は「これまでに測定してきた月間降下物の測定結果を見ると、北海道や西日本についても、微量であるものの、放射性セシウムの降下が確認されている」として、今後「放射性セシウムの沈着量が少ないことを確認するため、航空機モニタリングを実施する」としている。ただ、この声明文からもわかるように文科省は「全都道府県」を対象とした汚染マップを作成する考えがないばかりか、当面、調査する自治体名さえ明らかにするつもりはないようだ。
だが今回、文科省が「北海道や、西日本」を調査することに決めた「月間降下物の測定結果(平成23年3月~6月の月間降下物の合計値。単位はMBq/k㎡・月)」によると、四国の高知県には、調査が決まっている北海道の4.28倍もの放射性セシウムが降下しており、こうした放射性物質がさらに九州の宮崎県や沖縄県にまで飛散しているのが一目瞭然となっている。
10月2日付けの琉球新報では「琉球大機器分析支援センターの調査で分かった」として、(西原町を調査地点とする)最高値はいずれも4月6日時点で「1立方メートル当たりヨウ素131が1.27ミリベクレル、セシウム134が1.31ミリベクレル、セシウム137が1.56ミリベクレル」と述べ、これらの放射性物質が「沖縄本島のほぼ全域に到達していたと推測できる」と伝えている。
■野田佳彦首相とニコニコ動画記者(七尾功)の一問一答
七尾記者: 福島県以外に、関東圏やそれ以外の地でも、福島第1原発由来の可能性の高い放射性物質が各地で検出されております。そのたび国民は不安になわるわけですが、例えば汚染マップの作成は、現在までのところ全都道府県対象とはなっておらず、国民自らが調査、自衛していくしかないとの声が高まっています。
冒頭総理からございましたように、国民が安心して暮らせるように、あるいは風評被害を防止するというのであれば、放射線物質の拡散に関する調査等を、全国規模でより充実していくということも必要だと思います。総理はこの点いかがお考えでしょうか。
野田首相: まずは、その発生源である福島第1原発における、まさに冷温停止、これに全力を尽くすということ。これは、何としても今月中に成し遂げて、いわゆるロードマップにおける第2ステップを完了したいと思います。
その上で、拡散をしている放射線については、特に被災地域においては除染を全力で進めるということ。それ以外の、(地域住民が)不安を持っていらっしゃるところで、特に、例えば可能性が指摘されるところについてのモニタリング等も含めての対応は必要だという風に思いますが、いきなり全国かどうかというと、これは対象をもうちょっと絞っての話ではないかというふうに思います。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 七尾記者の汚染マップに関する質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv72787967?po=news&ref=news#25:50
・(※)平成23年3月~6月の月間降下物の合計値(27ページ目) – pdfファイル
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/11/1910_1125_2.pdf
(七尾功)
【関連記事】
溶融した核燃料は今、どこに!? 東電、11月30日に見解発表
細野担当相、原発手順書めぐり「過酷事故対策は電力会社との情報共有が絶対必要」
枝野経産相、電力会社の原発手順書「国との共有、ルール化を検討」法改正も視野
藤村長官、前原氏の「TPP交渉途中の離脱あり得る」発言に理解
小沢元代表は総理を目指すのか 後進に道を譲るのか
ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。